Troublemaker 番外編 2

Troublemaker 番外編 1からの続きです。

-From 1-

*私の沸点はゆうに超え蒸気を吐き出しながら桜井の屋敷へと向かった。

だだっ広いエントランス。

どうしてこう金持ちの屋敷とは無駄な広さを誇張しているのだろう。

神社の鳥居じゃあるまいし、玄関なんてそんなに大勢で押しかけてくることなんてないだろうに・・・

ぜいぜい4~5人入れる広さで充分じゃん。

玄関まで憎たらしく思えてきてアホらしいが無機質なものにも八つ当たりしてしまう。

まあ・・・私の場合、感情さらけ出して爆発出来るのは道明寺ぐらいのものだ。

今回ばかりは桜井のジー様も加わりそうだけど・・・。

私を迎えてくれたのはジー様の手下、第一秘書の川崎さん。

私の怒りなどさらりと受け流す感じで「会長はいらっしゃいません」と川崎さんが頭を下げた。

シュルシュルシュルと蒸気が湯気へと変わる感じに私の怒りが拍子抜けする。

「つくし様を会社の方へお連れするように言われてお待ちしてました」

シュッシュッシュッ!湯気が蒸気に変わりだす。

「連れてってもらおうじゃないの」

クスッと川崎さんが笑って、コホンと一つ咳払いで誤魔化した。

黒塗りの車に乗りこんで私有地を抜けて車は公道を走り出す。

「最近の会長はとても楽しそうで、つくし様がお孫さんとわかって生きる張り合いができたとおっしゃてました」

感謝していますなんて川崎さんが頭を下げる。

その楽しみが孫娘の恋路の邪魔だとでもいうつもりなのだろうか。

それが楽しみなんてことじゃないよね。

川崎さんの話をまともに聞く気にもなれず外の風景をぼんやりと見ている。

しばらく進むと高層ビルのそびえたつ一角に車がスーッと寄せて止まった。

ついた先は首が痛くなるほど見上げても最上階が解からない高層ビル。

「このビルは桜井物産の本社ビルですが、道明寺財閥の本社ビルより10階は低いですよ」

「大きい・・・」と圧倒される私に川崎さんが教えてくれた。

1Fのエントランスでは行きかう社員が川崎さんを見るたびに歩みを止めて軽く会釈していく。

第1秘書て一目おかれている存在なんだと、妙に感心してしまった。

受け付けでは美人のお姉さま3人が優雅な仕草で立ち上がり会釈している。

「会長につくし様をお連れしたと連絡をお願いします」

「はい。、解かりました」そう言ってまたまた美女がほほ笑んだ。

川崎さんは最上階直行の重役専用エレベーターに私を案内してプチッとボタンを押す。

この時私は一つ重要なことに気がついた。

もしかして・・・

私が今日、会長に文句を言いに来ること解かっていたのだろうか。

川崎さんが待ち構えていたんだから、そういうことになるよね・・・

じーと川崎さんの顔を見つめる。

「なにか?」事務的な返事が川崎さんから返ってきた。

「あのう・・・なぜ会長は屋敷の方に私が来ることが解かってたんですか?」

私の心に一抹の不安が芽を出した。

「午前中、会長が道明寺の本社ビルを訪問されるのに私も同行しましたから」

「今日中にはつくしがどなりこんでくるだろうと会長はおっしゃっていました」

会長のおっしゃった通りになりましたと川崎さんがにっこりほほ笑んで付け足した。

ゲーーーッ

私の行動、読まれてるっ!

私・・・この後ジー様に文句を言うことしか考えてなかったんだよね。

無謀過ぎた!作略家のジー様になんも対策考えてない。

まだ花沢類の防衛線がどんな作略なのかも聞いてないのにっーーーーー。

このまま素直に会って大丈夫かーーーーー

すでにお見合い相手が準備されてるてこと・・・あるかもっーーーーー

「私降ります!」

クルッとエレベーターの扉に身体を回し急いで↓ボタンを押し続ける。

「最上階に着くまではどこにも止まりませんよ」

クスと小さな笑いを川崎さんが漏らす。

「チン」最上階にエレベーターが着いた事を知らせるベルが鳴った。

「私、このまま降ります!」エレベーターの閉と書かれたボタンを必死に押し続けた。

いつまでたっても開いたドアは動かない。

にっこりほほ笑んで立っていた川崎さんの肩足がエレベータのドアを抑えていた。

やっぱりこの人悪魔の手先だーーーーー。

思わずエレベータの壁に貼りつく。

川崎さんの合図にエレベータの扉の外で待ち構えていたSPが私をベシッとひきはがし、両脇を抱きかかえられエレベータの中から引きずり出されてしまった。

「ガチャン」

無情にもエレベーターのドアは私の目の前でしまり下降を示す数字がパカパカと点滅し減点されていく。

バタつかせて抵抗していた私の体の力が急激に抜ける。

もう駄目だ・・・

どうしよう・・・

まだ、打つ手はある!

お見合い相手がいるとは限らないし、いたらぶっ壊せばいいだけじゃん。

こうなりゃあなんでも受けて立とうじゃないか、なんて気分になって開きなおった。

雑草魂見せてやる!つくし復活!

結構鼻息荒くなってきた。

「会長はつくし様にお会いするだけで、何の意図もありません」なんて言いながら奥まったところの部屋の前で、「トントン」と川崎さんがノックした。

-From 2-

川崎さんは私を案内するとドアを閉めて出て行った。

壁にはどこかで見たような名画がこれ見よがしに掛けてある。

数人で囲んで会議ができそうな机を前に黒革張りの椅子にドカッと腰をおろした会長の目の前で、ぐっと腹に力を入れて背筋をピンと伸ばして立った。

「よく来たな」

顔面崩して椅子から立ち上がったジー様が部屋の中央に位置するソファーに腰掛けるように私に促した。

「なにか飲むか?」

「いりません」

思いっきり不機嫌に言葉を返す。

「いつ、私が道明寺の事を納得したのか聞きたいですね」

「バン!」机に叩きつけた私の手から思ったより大きい音が響く。

「そんなに怒らなくてもいいだろう」

ジー様は悪びれた様子なくゆっくり唇の端を上に持ち上げる。

相変わらず余裕のある態度に私はムッとしてしまう。

「で、どんな作戦でくるのか話し合いは終わったのか?」

F4集結がよまれてる!?

「えっ・・・」

「そっ・そ・・そんなことより私が来たのは・・・」

会長が右手を私の目の前に出し私の発言を制する仕草を見せた。

「つくし、お前・・・あいつらの話しは聞かずに私に悪態の一つでもつくつもりで乗り込んできただけか」

「アハハハハハ」

ジー様の笑い声が部屋中にこだまする。

「イヤ、失礼。お前らしい」

笑いを必死に噛みしめているのが私にもわかる。

「お前達の考えてることなど私の想定内だがな」ようやく笑いをおさめたジー様が顎をなでながら私を見た。

「どういうことですか」

目の前のジー様はまだ私も聞いていない花沢類の言っていた作戦が解かるとでも言うのだろうか?

這ったりの可能性は・・・うすいよね・・・

「たぶん4人で同時につくしの婚約者として名乗りを上げる・・・まあこんなとこだろう」

「えっ!」

私は間抜け面の見本のような表情でジー様を思いっきり凝視する。

それ・・・どう言うこと?

ますますこんがらがる展開じゃないか。

道明寺はそれに賛同できるのだろうか・・・

「日本に並び立つ御曹司集団が名乗りを上げれば、ほかに競おうとする者は出てこないというのが大方の考えだろうからね」

悩んでる私をしり目にいかにも楽しそうな感じでジー様は言葉を続ける。

「それでしり込みするような男を私は選ぶつもりはないけどね」今度は悪戯小僧の様な顔になった。

見たくもないウィンクをされたような気分だ。

選ぶつもりはないって・・・

誰か選ぶつもりなのかよ、このジー様

楽しみにしておいでって・・・

楽しみになんかできるわけないっーの!

この展開・・・

道明寺には聞かせられないよ~。

気合いが抜けて全身が風船がしぼむ感じに思えてくる。

「ずいぶん嫌がらせを受けていたみたいじゃないか」

突然真面目な顔でジー様がしゃべりだした。

「えっ?」

この人・・・なにを言うつもりなのか・・・私の思考がパタッと止まる。

「二人の交際・・・妨害されて、追い込まれて、悲しい想いしてきたんだろう」

どんな展開でそんな忘れかけてた話につながるのだろう。

いったいこのジー様、抜け目なくどこまで調べつくしているんだろうか。

私の知らないところまで調べ上げているのでは?なんて気がしてきた。

確かに・・・

それは、本当の事で・・・

泣いて諦めてずぶぬれの気持ちのままパパ達のいた漁村に逃げ出すしかなかった。

偽りの言葉で道明寺と決別のしたあの時・・・

言った私も聞いた道明寺も・・・

二人いっぱい傷ついた。

道明寺のお母さんの事を怨んでないと言えばうそになる。

でも今は二人の事を認めてくれて、私の事を受け入れてくれたはず。

あの日、あの時があったから今の私達がいるはずで・・・

「それは・・・昔の事で・・・今は大丈夫です」

今さらそこをついてきて、どうするつもりなのだろうか。

「人の心なんて口で言うほど変れるものじゃないよ」

「司君を疑ってるわけではないが、母親の楓さんはなかなかの人だからね」

「長い人生の中、なにがあるかわからない」

「今すぐ結婚するわけではないんだし、考える時間はたっぷりあると思うんだが・・・」

こういう時の説得力ってさすがだわと思わず納得しそうになった。

確かに結婚した後での嫁姑問題はありそうな気配はあるが・・・

今までの事よりひどいことがあるもんか!て・・・思うのは楽観的なんだろうか。

その考えを頭をブルッて追い出す。

「絶対、道明寺とは別れませんから」

腹のそこからそれだけ絞り出すと、クルッと背中を向けて大股で入り口のドアに向け歩き出した。

「お送りします」

川崎さんの声が聞こえたが、聞こえないふりをしてエレベーターのボタンを押した。

-From 3 -

牧野の後を追った。

あいつらの計画に頼むしかない現実。

「俺たち以外の知らない男が牧野の婚約者として名乗り上げるのを耐えられるのか?」

お前らだけでも内心はギザギザとげとげの針の山ができかかっている。

桜井物産の孫娘、結婚相手募集中!

なんてプラカード掲げてみろ!

どれだけの男どもの視線が牧野に集中するか考えただけでも吐き気がしそうだ。

あきらの一言で俺の気持ちは固まったようなものだ。

車を桜井物産の本社ビルに向かわせる。

降り立ったビルは俺ん所のビルよりチョイ小さめの高層ビル。

「フッ」溜息か笑いか解からないような声が小さく漏れる。

俺の前に立ちふさがるジーさんが最上階から威嚇しながら見下ろしてるかもな・・・。

・・・そう思えてきた。

・・・・ 余裕あるように笑わなきゃ立ち向かえねえ。

目の前の自動ドアがスーッと音もなく開く。

両脇に立っている警備員がチラッと俺を目視した。

さすがのおれもこんなところで怒りのオーラまき散らすほど馬鹿じゃねえ。

牧野に会うことができなければどうなるか・・・

それは保障できねえけど。

落ち着いた足取りでゆっくりと数歩歩み出す。

「チン」

奥のエレベーターからちょうど降りてきたばかりの二つの人影。

牧野の後ろにじーさんの秘書がくっついているのが解かった。

そっちの秘書の方が牧野より先に俺に気がついて杓子定規に頭を下げた。

秘書が牧野に俺の訪問を告げているようだ。

牧野がうつむき加減に歩いてた顔を上げて、やっと俺に気がつく。

ホッとしたようなため息ついて少しだけ片唇を上げ表情を作った。

歩調を速めて牧野の前に立つエントランスの中央付近。

桜井物産の社員らしい人影がまばらに行きかっている。

「大丈夫だったか?」

俺の問いにコクリと声なく牧野が頷いた。

類の屋敷を出て行く前の爆弾抱えたような態度は影を薄め不発弾に変わっている。

「なんか言われた?」

コツン・・・

「えっ・・・」

牧野が俺の胸元に顔を押し付ける。

滅多にねえレアな瞬間。

普段なら喜んでしまりのねえ顔の3連発ぐらい起こしそうな感じなんだが・・・

こいつから俺にすりよってくるなんて・・・今まであったか?

走馬灯のように頭の中を思い出が駆け巡る。

一度だけ・・・あった。

ばばぁの画策で牧野の周辺まで迷惑が及んでそれに心痛めた牧野の心が折れかかった時だと気がついた。

じーさんとなにかあったことは明白で・・・

こいつがなにか考え込んで・・・悩んで・・・抱え込んしまっている。

「心配ねぇ・・・」

俺が・・・

なんでもすべてお前の悩みも不安も全部受け止めてやるから・・・

一人で解決しようとするんじゃねえぞ!

俺がいる・・・

そんな思いを込めて両腕を牧野の体に回しギュッと力を入れて抱きしめた。

「道明寺とは・・・・絶対別れないて・・・言ってきた」

牧野は顔を俺の胸に預けたまま、こもった声を胸元で反射させる。

俺は返事する代わりにもう一度腕に力を込めて牧野の体をいっぱいいっぱい自分に密着させた。

「なあ、こんな目立つとこで会長の孫娘が男と抱き合ってたらすぐに噂広まるだろうな」

類達の作戦の布石としたら上出来じゃねえか。

牧野が俺の胸元から顔をあげる。

「・・・・」

「キャッ」小さく声を上げると頬を染めて「ドン」と両手で思いっきり俺の胸を押しやがった。

なんで今頃照れるんだ!

自分から俺に抱きついてそれはねえだろう!

正気じゃなかったって・・・ひでーいい訳じゃないか。

俺を振りほどいて走って自動ドア通りぬけていってしまった。

「おい!待ちやがれ!」

牧野の背中を追いかけ俺も走り出す。

一瞬警備員が俺の視野を遮ったが、会長の秘書が警備員に下がるよう仕草を送ったのが横目で確認できた。

ビルを飛び出し高層ビルの谷間をスピードを上げ牧野を追う。

橋のたもとで歩き出している牧野に追いつく。

「逃げるな」

今度は俺の方から牧野の背中ごと包み込むようにギョッと抱きしめた。

-From 4-

「逃げないでくれ・・・」

哀願するよな言い方・・・

こいつにはさらりと言えてしまう。

俺の手にスッポリと収まったと思ったら・・・

照れたり・・・

笑ったり・・・

怒ったり・・・

俺の予想をてきめん裏切って、いつの間にかスルリと逃げ出してしまうそんな奴だから・・・

追いかけて、無理強いしてもダメなこと頭じゃ理解しているが、今の俺には追いかけるしか能がねえ。

そして・・・

抱きしめて、「逃げないでくれ」と哀願する。

「なんか考えて悩んでいるだろう?」

返事をする代わりに胸元に回している司の腕をつくしは両手でギュッとつかんだ。

「言いたくなければ言わなくていいから・・・」

司は自分の体をつくしに密着させるとそっと自分の頬をつくしの頬に寄り添わせる。

中越しに司の体温がつくしを暖かく包み全身に流れ込んでくる。

「言いたくない訳じゃないけど・・・なんだか頭の中がまとまらなくて・・・」

会長は道明寺と無理に別れさせようと思ってる感じじゃない。

ただ、別な人生を考えてもいい余白を残してみてもいいはずだ。

お前はまだ若いんだからと言われてる気がした。

道明寺がプロポーズしてくれた日から・・・

ずっと一緒にいると心に決めて、一緒に生きていく事に何の迷いも感じないで今日まで来た。

それが当たり前で・・・

考えることなんてなかった。

「道明寺と絶対、別れません」といった言葉は会長に向けて言った決意だった。

確かにそのはずだった。

だけど・・・

自分に言い聞かせているような思いが心の片隅にあることを見つけてしまった。

道明寺を愛してる思いに嘘はないはずなのに罪悪感で素直に笑えない自分がいる。

私を力強く、やさしく抱きしめるこの腕は、私がなにを悩んでいるか知っても「そんなの俺様には関係ねえ」ときっと笑い飛ばして同じように抱きしめてくれるにちがいない。

でも・・・

それじゃダメな気がする・・・。

あぁぁぁぁぁぁぁ  

不執拗に不自然に考え込む、私の悪い癖が出てきた気がしてきた。

道明寺の腕にすべてを投げ出して素直になれたら少しは私は楽になるのだろうか。

この腕を離しがたい想いがつくしを包む。

その思いを受け止めるように司の体が力強くつくしを包むように強く抱きしめた。

「俺・・・お前をずっと抱きしめて平常心でいられるほど大人じゃねえ」

心臓が飛び出ると思えるぐらい高鳴る鼓動。

いつも牧野を抱きしめてもここまではならないはずなのに・・・

今日に限ってどうしてしまったんだろう。

このままだと俺の心臓持たねぇ・・・司は本気でそう思った。

「言ってる意味・・・わかるよな?」

「嫌ならこのまま俺をつき離せ」

つくしを抱きしめていた腕を司は少し緩めた。

つくしに無理強いしたくない司の思いが今すぐ抱き合いたい本能を必死で抑え込む。

隙間の出来た空間でつくしがゆっくりと向きを180度変える。

今顔を上げて道明寺に見つめられたらきっと立っていることが出来ない。

緊張で震えだしてきた。

道明寺の気持ちに応えたい自分がいる。

居心地がいいと感じてる胸の中・・・

振り払うことなんて出来ないという思いがつくしを突き動かした。

「わかった・・・」

そう言ってつくしが司の胸元にそっと顔を押し付けた。

最初に目についたホテルに二人飛び込む。

1秒でも早く二人になれる空間ならどこでもいいそんな感覚だった。

受け取ったカードキー。

刺し込むのも手が震えてうまく差し込めない。

赤から青へ点滅が変わり開いたドアの先、ツインのベットでいっぱいになってる狭い空間。

部屋に一歩入って、ドアがパタンと閉まった瞬間、急ぐように二人ベットに倒れこむ。

何度も角度を変え、激しくキスを繰り返す。

服を脱ぐのにももどかしさを感じる。

何の抵抗をみせることなく牧野が俺にされるがままにすべての行為を素直に受け入れる。

激流が高波にのまれ嵐が過ぎるのを待つように小さい身体は不意に震える。

俺を受け入れるだけでなく必死に応えようとする牧野がかわいくて、愛しくて・・・

抱き合って・・・

溶け合って・・・

何度も何度もその存在を確かめあう様に、はだけた胸に顔をうずめる。

しっとりと吸いつくような肌の感触に、俺は夢中になっていく。

そして、牧野から時折漏れる甘い吐息に奮い立つ。

身体全体が敏感になって心臓の音だけがすべてを飲み込む感じだ。

俺の背中を掴んだ牧野の両腕が痛いくらいに俺を抱きしめた。

こんなに俺は牧野を求めていた。

それは、当り前で・・・

仕方なくて・・・

本能で・・・

でも・・・無理強いはしたくなくって・・・

俺だけがいつも一方的に求めていると思っていた。

だから・・・

今、牧野も俺をこんなに欲しているとわかったことが、うれしくて、うれしくて・・・

愛しくて・・・

愛しくて・・・

やっと牧野を独り占めできた。

そう思えた。

-From 5-

信じられなかった・・・

道明寺と抱き合ったことがじゃなく・・・

あいつの熱い指先が私をなぞるたびに肌が焼けそうで・・・

気持ちよくって・・・

とけちゃいそうで・・・

なにも考えられなくなって・・・

こんな感覚が私にもあったんだって・・・

気がついて・・・

目が覚めたら道明寺がしっかり私を抱きしめて眠っていた。

あいつと一つになれた時、ずっと離さないって私を強く抱きしめてくれた。

うれしくて・・・

幸せで・・・・

きっとこれから・・・

こうやって何度も繋がって、絆を深めて二人の存在確かめあっていくんだよね。

このままずっと一緒にいよう。

心の底からそう思って抱き合った。

普段の私はあまのじゃくで・・・

道明寺が私になにを求めてるか解かっているのに、解からないふりをしてしまう。

抱きしめられるのも、キスされるのもイヤじゃないのに嫌がるふりをする。

「ちっともお前、思い通りにならねえ」なんてふてくされたようにそっぽを向く道明寺

昨日は私・・・

今までで1番素直だったと思うよ。

「おきろ~」

スーッと伸びた鼻筋のてっぺんを親指と人差し指でギュッと摘まんでみた。

自然に目覚めたあいつと何事もなかったように目を合わせることなんて出来そうもなく・・・

私の・・・

めーいっぱいの照れ隠し。

ガバッとあいつが突然起き上がった拍子にシーツがずれて二人の裸体が上半身露出してしまった。

「キャー」

シーツを引き上げ身体に巻きつけるようにベット倒れる。

「牧野・・・」

シーツの上から道明寺が私を抱きしめる。

も・・・もう・・・今日は勘弁。

私の身体もたないよっ。

身体全身に力を入れて子猫みたいに丸まった。

「夢じゃねえ・・・」

「もう一生離せねえ、お前は俺のものだからな」

それ・・・

昨日から何回言った?

呪文みたいに繰り返す道明寺がおかしくて・・・うれしくて・・・

「クス」と笑いがこみ上げる。

「私も離れない、覚悟しといて」

あいつの首に両腕を回して、耳元に唇近づけてそっと囁いた。

続きをお読みになる方は Troublemaker 番外編 3 へお進みください

From 3、4、5のアマアマ三部作いかがだったでしょうか?

これにて終了。

機会があればまた書けるかな?

(・・・なんて書いてしまいましたが・・・

まだ書き足らなかったみたいで短編にこの続き編みたいな展開でUPしてみました。)

以前書いた「届かぬ思いは誰のため」では道明寺がつくしをベットに押し倒すところまでしか書いてませんでした。

その後短編の方でつくしが爆睡して未遂に終わらせてしまってましたから、いつかは書いてみようと機会を狙っていました。

しかし最初の予定では書くつもりはなく・・・

From 3を書きだした途中から流れが変わってきちゃいました。

ホントならこのお話今日あたりで終了の予定だったんですよね(^_^;)

次からいよいよジー様とのバトルですよ~

お楽しみに♪

楽しみになんかしてない!なんて突っ込みはご容赦を~