第13話 愛してると言わせたい 16

 *

-From 1 -

「・・・お前ら、何かあったろう?」

相変わらず目敏いあきら。

「「何もない!」」

「なかなか息があってるじゃないか」

にやりとする総二郎。

「牧野・・・顔、赤い」

一番油断がならねぇのはやっぱり類だ。

牧野に顔を近づけて覗き込んでいる。

照れくさそうな表情で顔がゆるむ牧野。

記憶をなくしてからも類に対するこいつの反応は一貫している。

「近づくな」

二人の間に割って入って牧野を背中に隠した俺も相変わらずの反応。

「飲み物・・・もらってくるね」

言い訳を探してあたふたと部屋を逃げるように出ていく牧野を見送った。

すぐさま俺を取り囲む総二郎とあきら。

「お前らに話すことなんて何もねぇぞ」

「牧野はまだ思い出してないんだよな?」

「この前はデートしたんだろう?」

デートの単語に反応して気がゆるむ。

「まあ、うまくいった方だと思う」

確かにデートはうまくいった。

そのあとが問題なんだよなぁ・・・。

ため息が思わず顔に出る。

「何かあったんだろう?」

顔を近づられて脅されてるような気分。

「牧野がな・・・」

「「うん」」

興味本位丸出しの視線。

ちらっと俺らの様子を観察する類。

結局こいつらにはしゃべっちまうバカな俺。

「牧野が『私たちどこまでってる?』って聞いてきたからキスした」

「そんだけ?」

拍子抜け!期待外れ!みたいな顔しやがってッ。

「そんだけだ!悪いか」

「やぁー、司クン良く我慢した」

「司のことだからもう押し倒してるかと思ったけどな」

押し倒し損ねたんだよ!とは心の叫び。

大体なんでいまさらこいつらにキスした報告しなきゃいけないんだ。

今までの牧野との関係はこいつら逐一知ってるからどうってことないんだが。

初デートに誘うときもあきらに相談してたうぶな俺。

何も知らないころには戻れない。

戻っているのは牧野だけって・・・

男にしたらツレ― ぞ。

今まで何度も愛し合った関係で突然拒否されてみろ!

それも「大っ嫌い」拒否されて・・・

俺のことを嫌いから好きかもなんて心の変化を微妙に感じ取ったらイケると思うだろうがぁ!

心に身体がついていけなかったって状況作っちまってた。

・・・と、一晩考えたのが俺の結論。

「司大丈夫か?お前が考え込むとあぶねぇからな」

マジで顔をしかめるあきら。

言い過ぎだろうがぁッ。

総二郎は同意するように相槌を打つ。

完全にみ切られてる雰囲気でクスッと類は笑う。

今はこいつらにどう思われ様が関係ない。

「決めた!」

「決めたって、なに?」

類の笑顔がピタッと止まった。

「なにも我慢することはない!今までの俺のまんまであいつにぶつかる」

「ぶつかるって・・・体ぶつけるわけじゃねえよな」

馬鹿げた総二郎の反応を睨みつけた。

ぶつけて押し倒せば似たようなもんか。

「もともと俺はわがままで横暴で強引なんだよ」

何も遠慮する必要なんてねえじゃねぇか。

そうだ!最初からなかったはずだ。

無理じゃねぇの!

大丈夫か!

焦るな!

みたいな目で見んなーーーーーッ。

全部無視した。

-From 2 -

お茶を準備して道明寺の部屋へと戻る。

なんだ?

この微妙な雰囲気。

憐れみのこもった目で見られてないか?

なぜだか道明寺だけが活気にあふれてる感じがする。

「コーヒー・・・飲む?」

「お前はそんなことしなくていい。それにこいつらもう帰る」

完全な命令口調の発言。

「帰るって、まだ来たばかりじゃない」

二人っきりになるのは気まずい。

なるべくならみんなにいてもらった方がいいと思ってしまうのは昨日の道明寺のキスのせいだ。

「それじゃ、私も帰ろうかなぁ」

バン!

響くのはテーブルの上に落とされた道明寺の手のひらの音。

一瞬にして静まりかえる空気。

「牧野以外は用がねぇ」

さっさと帰れと威圧感だけで押し付けている。

「こうなったらお前しか司を止められない」

止められないって・・・

何をどう止めるんだ美作さん。

「骨は拾ってやる」

西門さん・・・骨も残らないような雰囲気なんだけど。

「牧野が泣くようなことになったら容赦しないから」

そんなことになる前に連れ出してほしい。

「頑張って」小さく耳打ちして花沢類も出て行った。

「俺と二人じゃイヤなのか?」

「えっ?」

「昨日のこともあるから警戒してるだけ」

気構えだけは強く持つ。

「遠慮しねぇから」

「何を?」

「お前を好きなこと」

あっ・・・

えっ?

えぇーーーーーーーッ!

力いっぱい抱きしめられて息もできない。

両腕ごと抱きしてられているの手の早い私への対抗策か。

遠慮しないって・・・

何する気なんだ?

「ちょっと、ヤダ」

抵抗なんか出来るはずもない押さえこまれた強引な腕。

身動きが取れずに時間だけが過ぎる。

「俺が好きにようにする」

「強引でもわがままでも傲慢でもお前を手に入れるのは貪欲だから」

「拒否はなしだ」

道明寺の右手が私の髪を愛しむようにかき乱す。

「牧野、いい加減に思い出せ」

「俺を好きだった気持ちを忘れるなんて許さない」

触れ合う唇が熱に覆われる。

私の事をスキって言ってるような甘いくちづけ。

戸惑いも、愁いもすべて呑み込んで包み込まれる。

記憶なんてなくても身体の中の細胞が覚えてる官能。

「キスだけでこんな反応できれば、俺に抱かれれば一発で思いだすぞ」

えっ?

一発って?

ギェーーーーーッ!

一撃で現実に引き戻された。

続きは 愛してると言わせたい17

暴走気味~になるのかぁぁぁぁぁ。

考えてみればそれが司なんですよね。

うちの司はおとなしすぎかも(^_^;)

期待はどちらですか?

拍手コメント返礼

poohetsuko様

暴走してもつくしのへ愛があればこそですよね。

b-moka

それでいいの?

どうでしょうか(^_^;)

終わりよければと行けばいいのでしょうが(笑)

hiro様

本能のままですか(笑)

15PW解除お知らせありがとうございます

ルール様

パスワード解除まで我慢してもらって申し訳ないです(^_^;)。

メール送らせてもらいました。