第14話 DOUBT!!  11

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-From 1 -

見渡せば見渡すほど落ち着かない。

のんびりとくつろいでる道明寺を見ればなおさらだ。

必要なものは全部お前んチから運んできたってッ!

許可なくか!

もともと私にというか、人に許可を得る必要性なんてモノが道明寺の頭の中に生息してるはずがない。

道明寺が顎で示した部屋のドアを開ける。

荷物持ってきたって・・・。

私の部屋の物がすっぽり全部移動させてるよッ。

ただ違うのは部屋の中が私の部屋の3倍はあると言うことか。

「これで困らないだろう?」

中越しに頭の上から聞こえる横暴な声。

「困る困らないの問題じゃないでしょう!」

必要以上に高くなって裏返る声を発しながら見上げる。

目の前の道明寺は私の不機嫌な原因には関知してない様な無頓着な表情を見せる。

「いったいうちの親になんて言ったのよッ」

「しばらく俺んチでに住まわせます」

「もしかしたらそのまま結婚までということになるかもって言っておいた」

涼しげな表情で音符付きの機嫌のいい道明寺の声。

「お前の親もどうぞ、どうぞだって」

道明寺に言われてダメだなんて言える強気な根性はうちのパパもママも持ってないつーの。

道明寺と会えないと思ったら花沢類にパーティーに連れられてこられてた。

そのパーティーで久しぶりに道明寺にあったと思ったら私の命が狙われているって聞かされた。

その夜はホテルで道明寺と過ごして、そしてマンションで道明寺と同棲!

なんて目まぐるしい展開だ。

こんな展開を誰が予想できるのだろう?

自分の知らないところでいい様に道明寺に誤魔化されている様な気がする。

「そう、じゃあ、私この部屋を使わせてもらうから、1歩も行ってこないでよね」

道明寺の目の前でバタンとドアを閉めてやった。

何が何だか分からないままに始まった同居生活。

朝からご飯を用意して、向かい合って食事をとる。

冷蔵庫の中もしばらくは料理に困らない食材であふれてた。

エンゲル係数はうなるほど高いけど・・・

私に言わせれば豚肉も三枚肉で十分だ。

こうなれば庶民の味を道明寺に植え付けてやる!

力入れるところが違う気もするが、私にできるわずかな抵抗の気がする。

でも・・・

1日と経ってない短時間でここまで完璧に準備できるなんてさすがだわ。

この手まわしの良さは絶対道明寺だけの考えではないと思えるけどね。

F3もきっと絡んでる。

全部の思いを飲み込む様に箸でご飯を喉にかき込む。

「なぁ?」

「なに?」

お茶碗を口に持っていたまま眼だけをじろりと道明寺に向けた。

「おれ、いつまでお前の部屋に入れないの?」

「そんな状況じゃないでしょう!」

御飯粒を吐き出しそうになる一歩手前で声をしぼる。

「全部事が収まるまでダメだからね」

「チッ」

道明寺から聞こえる舌打ち。

「まぁ、しばらくはおとなしくしといてやるよ」

そのしばらくは、数時間?数日?

微妙だよなぁ。

緊迫感なんて全くないじゃないか!

食後に何事もなく普通にあいつは会社へと向かう。

それを見送りながら出るのは溜息。

左右前後とガタイのいいお兄さんたちに取り囲まれて、背伸びをしても、飛び上がっても道明寺の姿なんか見えなかった。

「おとなしくしてろ」って、言い残してステップ踏みそうな軽い足取りで車に乗り込む道明寺がわずかに、立ち並ぶ数本の脚の間から見えた。

「あの・・・、もしかして大学もこの感じですか?」

おずおずと下から目線で顔なじみのSPさんに問いかける。

「そうなります」

手短だが威圧的に感じる態度。

選択の余地は・・・ないよね。

やっぱり、溜息しか出てこなかった。

 

-From 2 -

「拷問だ」

テーブルに顔をうつぶせたまま牧野がつぶやいた。

それ言わせれば俺の方だッーの。

今までお預けくらってる俺。

台所に立つ牧野に背中から抱きついたら握っていた包丁を首筋に向けられた。

「邪魔すんな」って、そんな対応ありかよ。

一応来年結婚するはずだよな俺達・・・と、疑いたくもなる。

牧野の作った食事を食べる俺の反応を覗き込む牧野。

「うめっ」

俺の言葉に満面の笑みを浮かべて「良かった」って言い放つ。

さっきの反応との違いはなんだ?

違い過ぎないか?

極めつけは「好きな人に食べてもらうって幸せだね」ってほころぶ頬。

うれしそうに頬染めて、恥ずかしそうに視線をそらしやがった。

そんな表情見せられたら、平常心保てねぇーーーーーッ。

微妙な快感がおれの中心部分を刺激する。

そのくらいで反応するなッと下に視線を向けた。

どこ眺めて言ってるのか・・・。

おれを煽ったり落としたりたまんねぇよ。

これが拷問じゃなかったら地獄だと思うぞ。

非難気味に牧野の頭のてっぺんを見つめてる。

「大学のトイレの前までついてくるんだから」

中まで入って行かないだけましだろうがッ!

トイレの方まで付いていかれたら俺の方が正気じゃいられねぇかもしんねぇけど。

「明日から女性のSP手配してやるよ」

「そんな問題じゃない!」

牧野が上げた顔は眉がつり上がったままだ。

「こんな生活慣れてないんだから」

不満そうに口をとがらせた。

俺も慣れてねぇよ!

こんな生活。

いつでも抱きつける距離にいるのによッ!

屋敷なら「見られてる」と反射的に逃げの対応の牧野。

俺達意外いないはずのこの部屋で俺を邪気にする神経わかんねぇーーーッ。

「で?何か解ったの?」

「あっ?」

「だから私の命狙ってる相手のこと!」

俺の反応に牧野がしびれを切らした。

「まだなんの動きもないんだよなぁ」

「打てる手は全部打ってあるから心配すんな」

「打てる手は打ったって、人を軟禁状態にしてるのにッ!」

完全に切れかかる一歩手前で牧野がおれに食い付く。

「俺といて何が軟禁だ。人聞きが悪いぞ」

椅子から立ち上がって牧野の側に移動する。

慌てたようにガタッと椅子から牧野も立ち上がる。

警戒心丸出しの反応に浮かぶ苦々しい思い。

ぬっと牧野の顔の前に俺の顔を押し出した。

鼻先がくっ付きあう距離感。

互いの息遣いが口元をかすめ合う。

見る見るうちに牧野の頬が赤く染め上がった。

「今は待つのが一番だ」

ゆっくりと落ち着きを持った声を発したまま唇を押しあてた。

「近づくな」

離した唇が力なく小さくつぶやく。

抱きしめてとしか聞こえねぇ。

離れそうになる小さな肩を抱きしめる様に両腕を動かした。

「あの・・・あたってるんだけど・・・」

牧野の腰のあたりに当たる俺の正直な分身。

「心配すんな、こうなるのお前だけだから」

心配なんかと言いかける牧野の唇を塞いで床に押し倒してた。

さあこの後の展開は?

きっと何かが起こるはずだと・・・思います。 ← 大丈夫か!

本当は今日のUP部分から事件を展開させる予定だったのですが、同居!同棲!軟禁生活へのみなさんの期待感が

ひしひしと伝わってきて(笑) ← 妄想? 

寸止め状態で追記してみました。

坊ちゃんの我慢は1日が限界かな?

新年早々からPW付きのお話連発では身体・・頭が持ちません(^_^;)

拍手コメント返礼

b-moka

ご期待にこたえられたでしょうか?

坊ちゃん1日は持った方なのかな?

事件もそろそろと・・・