white day (司 20years) 3
*3月3日ひな祭り数日前。
なぜか俺の部屋に雛段を飾ってやった。
姉貴の7段飾り。
「久しぶりですね、お雛様を飾るのは。
つくしも喜びますよ」
「今度飾るときは坊ちゃんのお嬢様ならタマはどれだけうれしいか・・・・」
目頭を押さえるタマ。
本当は涙なんて出てねぇだろう。
お前の望みは近いうちになッ。
その前に俺の望みが未だに叶ってねぇのが問題だ。
俺んチで雛祭りするからって言ったら「なんで道明寺のうちなの」って怪訝な顔を返された。
ホワイトデー前のイベントそれしか浮かばなかったんだからしょうがねぇ。
そういって誘えたらどんなに楽か。
牧野に身構えられたら困るから「俺がお祝してやんだよ」強引に納得させた。
3月3日雛祭り当日。
「わーすごい」
さすがお姉さんのひな壇だねって見入る牧野。
ひな壇なんてどうでもいい。
「もうお前終わったのか、例のやつ」
照れくささを隠す様に視線をそらす。
「えっ?」
「だから生理だよ」
相変わらず鈍だよなとイラッとする俺。
「さすがに2週間もはないわよ」
げらげら笑われた。
「14日だからね・・・道明寺がプレゼントは・・・」
真顔になってわずかに強張る表情。
「その前に確認したいことがある」
ごくりと飲んだ唾の音が聞こえてきそうな緊張感。
「確認?」
「総二郎とあきらに類にな・・・言われた」
「言われッて?あの3人に!?」
「な・な・何しゃべったのよッ!」
急に1オクターブ高くなる牧野の声。
怒なる様に響く。
「お前がホワイトデーのお返し俺でいいなんていったことをちょっとな」
言いながら緩む頬。
って・・・ここで気を緩めるなッ俺。
「喋ったの?」
「もしかして・・・バレンタインのことも?」
「成り行きでな」
風船がしぼむ様に床にパタンと牧野が座り込んだ。
思いだした様に牧野が自分の鞄の中にがさごそと手を入れた。
牧野の手の中に10㎝角の箱。
「西門さんと美作さんがくれたんだよね。バレンタインのお返し・・・」
「これが一番必要だろうから、司と開けろって言われたんだけど」
「関係ある?」
「何も聞いてねぇけど?」
牧野から渡された箱。
リボン付き。
わりと軽め。
耳元で振ってみても大した音もしなかった。
「開けていいか?」
コクンと頷く牧野を確かめて包装を無造作に破って箱を開ける。
パッケージには英語の表記と風船・・・
じゃねぇぇぇぇぇぇーーー。
condom・・・
薄くて、フィット、感度抜群、素肌感覚。
箱をもったまま凝視する。
「確かに必要だ」
牧野にポンと箱を投げ渡す。
「コン・・ドー・・・ム?」
「えっーーーーー」
「どうしてこんなもんくれるのよ」
真っ赤になった顔は崩壊寸前気味だ。
「それより、14日にこれ使えるのか?」
「これって・・・この箱?」
「それは・・・使ってもらわないと困る・・・けど・・・」
「そういう意味じなくて、その日が生理になるッて可能性どのくらいだ?」
単刀直入!
飾る言いまわしなしの直球をズバリと投げる。
それが一番の今日の重大事項。
「・・・生理・・・?」
「あいつらが順調ならその辺また生理じゃねぇのなんて脅かされた」
「・・・あっ・・・あぁぁぁぁ!」
「・・・そうかもしれない・・・ごめん!」
先手で牧野に謝られた。
ホワイトデー・・・
ぬかよろこび。
早めるか・・・
延期するか・・・
願望としては早まる方がいいに決まってる。
「そんじゃ・・・」
「折角のあいつらからのプレゼント今から使うってダメか?」
「えっ?」
おもむろに体中に緊張が走る牧野。
そこまで緊迫感出されるって俺のプライド傷つくぞ。
言った俺も結構な緊張感だ。
「や・・・ダメ」
「やばい」
「やばいってなんだ?」
「今・・・一番危険な日だもん」
「だからコンドームあるだろう」
目の前にあいつらのプレゼントの箱を張り付ける様に差し出した。
「失敗したら困る」
「俺は困んないけど」
「出来たらタマも喜ぶぞ」
キュッとつり上がる眉。
切れかかる一歩前の表情。
「バカァーーーッ」
「いきなりは無理だからねッ」
「覚悟がいるんだから」
バシッと飛んできた牧野の鞄を胸で受け止める。
結局・・・
ここでも、撃沈。
「ホワイトデーじゃなくてもいいぞ!」
やけ気味に叫んでた。
ハルチ様のコメントから思いついたF3のホワイトデーのお返し。
使える日は来るのか!
結婚までそのままで~というドS倶楽部会員の要望もあるんですよね。