短冊に願いを込めて

もうすぐ七夕と言う事で短編のお話を書いてみました。

*

「何やってんだ?」

テーブルを囲んでちっせぇ頭が3つに一回り大きな頭が並ぶ。

「もうすぐ七夕でしょ?だから願い事をするの」

テーブルの上に散乱する色とりどりの短冊。

駿は水色の短冊にペンを走らせる。

「見ちゃダメッ」

両手で隠された。

翼は赤の短冊にクレヨンでマル?塗りつぶしてるし・・・

なんの意味があるのか分からないまま・・・

口の中に入れた!

「食べちゃダメッ」

つくしが慌てて翼の口の中に指を入れてる。

この光景は駿の時もあった様な気がする。

やっぱ兄弟?

舞は・・・

短冊を両手に持ってじっと見つめてる。

迷ってる?

そして桃色の短冊を俺に見せてにっこッと笑顔になった。

俺に渡しても「あ~~」だけの言葉じゃ分かんねえよ。

2歳児に願い事を書かせること自体が無理だよな。

つーか実際、 願い事って、俺に言う方が早くないか?

お前たちの願いならなんでも俺が叶えてやりたいんだけど。

「願い事なら俺に言え、とか思ってるでしょう?」

つくしがそう言いながら俺に短冊を1枚渡す。

「道明寺財閥の総帥でもかなえられない願い事ってあるんだからね」

確かに・・・

素直なつくし。

俺に甘えて抱きついてくるとか。

つくしから俺を欲しがるとか。

二人っきりの時間て最近少ないよな?

こんなこと願わなきゃいけない俺って・・・。

「なんもねぇ」

短冊を手の中でクシャッと丸めた。

書きあげた短冊を笹の葉につるす。

七夕飾りでにぎやかに揺れる笹。

「皆が手伝ってくれたんだよ」

目に付いた短冊には『坊ちゃんのご希望が叶いますように』・・・って、タマ?

自分の心臓が止まらないようにと願った方がいいぞ。

『若奥様に手を焼かせない様にお願いします』って、誰だよ。

名前が書いてない。

願い事じゃなくて俺への注文が多いんじゃねえか?

駿の願い事は・・・

『翼と舞とが早く大きくなりますように』

祈らなくてもすぐ大きくなるぞ。

兄弟思いのいい兄貴だよな。

やっぱ、兄ちゃんだなって言ったらうれしそうに駿が頬を染める。

つくしは・・・

「家族で元気に過ごせますように」

ありきたりだ。

でもそれが一番幸せって今の俺は知っている。

7月7日は家族で夜空を見上げよう。

つくしが寝静まったあとそっとベットを抜け出す俺。

誰も手の届かない一番てっぺんに1枚の短冊を吊るす。

『つくしと二人の時間が持てますように』

出会ったころに戻れるような気がした。

案外女性より男性の方がロマンチストだったりしますよね。

司の場合は?

う~ん・・・( 一一)

拍手コメント返礼

MI様

家族がそろう話になるとほのぼの系になります♪

ふらまる様

幼稚園での七夕の飾りつけ。本当にグッドタイミングですね。

なにを書いてるか分かんない短冊もかわいいですよね。

二人の時間って子供が生まれるとなかなか持てませんよね。

今なんて子供抜きだと旦那と一緒にいると暇を持て余すなぁ。

つかつくの場合はそんなことなくていつまでもラブラブを見せつけて欲しいと思ってるんですけどね(^_^;)。

 hanairo様 

今年の七夕はあいにくの天気かもしれませんね。

昔は七夕は旧暦7月7日の行事で、今の8月になるそうです。

現代は梅雨にも重なるので天気が悪いことが多いのでしょうね。

今年はうちも飾りました♪