LOVE AND PEACE 12

類、総二郎、あきらの策略?に乗せられた司クン。

つくしに言えるのでしょうか?

楽しみだなぁ~ ← 私が楽しんでどうする!

*

俺が帰ってきても気がつかなくて、ダイニングテーブルで頬杖をついている牧野。

テーブルの上に広げられた大学の本。

勉強するだけにしては真剣だ。

焦点は本からずれてるし・・・・。

ペンを指と指の間でクルクルまわして考え込むのはこいつの癖。

「おい」

「あっ、帰ってきたんだ。気がつかなくてごめん」

ポトンとペンが指の合間からこぼれて落ちた。

「悩みでもあるのか?」

「えっ?」

「考え込んでたろ?勉強してたなんて今さら言い訳するなよな」

「花沢類がね・・・今日大学であったんだけど、変だったんだよね」

「あれは絶対何か悩んでる」

悩んでるって・・・

「司がダメって言っても、牧野ならすぐOKだよな?」

「類の為なら喜んで付きあってくれるよな」

「俺、牧野の前で少し心配ごとある素振り見せたんだよな」

さっきのあいつらの言葉がクルクルと頭の中で回る。

「何か知ってる?」

いきなり本題ついてきやがった。

俺まだ心の準備出来てねぇンだぞ。

「さっきまで、あいつらと一緒だった」

「理由は何となく聞いたけどな」

「それで!」

一気に顔が高揚した牧野。

期待感いっぱいで俺を見つめる瞳。

俺意外のやつのことがこいつの心の中を占めてるって思うだけでむしゃくしゃする。

「類にも嫉妬しないって懐の深いところ見せた方が牧野も感動するんじゃねぇ?」

「司から類に1日付き合ってやってくれないかなんて牧野に言ったらなぁ~」

言えるわけねぇーーーーーーッ。

「仕事関係のパーティーのパートナーを探してるらしい」

類!総二郎!あきら!ここまでは言ったからな。

でもここまでだッ。

牧野の携帯から流れる着信音。

「西門さん?」

画面に表示された着信名を見て牧野はすぐに携帯のボタンを押す。

「でるなッ!」

携帯を取ろうとする俺に背を向ける牧野。

「だから出るなって」

牧野に背中から覆いかぶさる俺。

「司から聞いたか?」

「なに?」

「類のパートナーを牧野に司が頼んでくれるって言ってくれたんだけど」

「えっ?」

牧野はしっかり携帯を両手で握ったまま俺を振り返る。

総二郎の声はしっかりと俺の耳にも聞こえた。

「今さらごねたりするなよ」

聞こえてきたのはあきらの声。

「牧野、大丈夫」

「・・・あっ、うん」

「よろしく、その日は俺が迎えに来るから」

類の声に牧野が了承した。

静かになった携帯を力なく握ったまま牧野は口を閉ざしたまま俺を見つめる。

その少しの沈黙が雰囲気を重くしてる。

「私が花沢類と一緒でも大丈夫なの?」

俺を睨んだような目つきの牧野。

「な・・・なにがだ?」

「本当に怒らないの?嫉妬しないの?」

何でここで俺が責められる?

「お前、今引き受けたじゃねぇか」

「いいんだ」

「あっ?」

牧野のやつなに怒ってるんだ?

機嫌悪くするのは俺の方だろうがぁぁぁぁぁぁぁ。

「帰る」

「はぁ!」

「夜中だぞ」

「じゃ、別な部屋で寝る」

そのまま牧野は俺の部屋を地響きを立てる様な勢いで出て行った。

「ドンッ」

閉じたドアに側にあった本を投げつける。

それぐらいじゃ俺の気持ちは納まんねぇーーーーーッ。

類のパートナーをお前に頼むってことは・・・。

類に牧野を貸すってことで・・・。

腕組んでにこやかにほほ笑んで・・・。

俺以外のやつの為に着飾る牧野なんて見たくねぇし。

俺もそのパーティー出てやる!

プルーと音を立てたのは俺の携帯。

あきらからだった。

「なんだ」

不機嫌に怒の上乗せで声を出す。

「パーティーのことだけど司、お前は来るなよ」

「なんで」

「我慢できずに暴れ出すと困るだろう」

「るせッ」

今度は携帯を切らないままに壁に投げつけた。