秘書西田の坊ちゃん観察日記 27(ある日の一コマ 家族編)

さっちき様の『 駿ちゃんが、出た時の西田さんを、想像しちゃいました、ぜひ…』

ということで西田さん目線の「ある日の一コマ 2」からのお話です。

文字色

*

「はい、西田です」

代表からの着信音。

今は支社からの移動の最中のはず・・・。

嫌な予感を感じながらボタンを押した。

「俺だ、今からの予定キャンセル」

「キャー」とか「ダメ」とか漏れ聞こえる声は幼い声と女性の声。

代表は本社に戻る前に自宅に寄られたわけだ。

あれほどぎりぎりで支社を出て本社に戻る様に言い聞かせておいた新米秘書。

使えないと評価する。

返事も聞かずに静かになる携帯。

すぐに代表の短縮ボタンを押す。

30分ほどの時間でも空くと直行で帰社出来ずに自宅に戻られるのは駿坊ちゃんが生まてからで、代表の親ばかぶりも慣れてきた。

誕生前から落ち着かず、初めて我が子を抱く代表・・・坊ちゃんが涙流すのを見て私も感動しました。

執務室で「おはようございます」の私の挨拶のあとに「駿が座った。はいはいした。歩いた」と携帯動画を見せる代表。

うれしそうに話されるのはほほえましいですが、「ミルクの後のゲップをうまくさせられたぞ」までの報告はいらないと思います。

が・・・

こんな普通の当たり前の出来事に感動できる代表を見ることができて私も確かに幸せなのです。

お側にお仕えして良かったとうれしさに浸るにはまだまだ気が抜けませんけどね。

携帯に代表がなかなかでないのは分かっている。

代表の傍にはつくし様もいらっしゃるはずで、着信音を鳴らし続ける携帯を無視して代表の相手をする可能性は薄いのが私の強みだ。

午後の会談は首相ですよ。

簡単に調整の聞く相手じゃない。

それでもきっと「延期しろ」その一言。

悪びれずに一国の首相を足気に出来るのは代表くらいのものです。

そんな巨大な権力が今の道明寺財閥にはあるからなおさら悪い。

今のクルクル変わる政局では海外からの信頼も薄いのは確か。

道明寺ホールディングの道明寺司の世界における知名度はどの日本人よりも高いはずだ。

その代表も自宅に戻れば緊張感の解けた年相応の青年の顔に戻る。

知ってるのは側近のみ。こんなやりとりをしてるなんて公表できるわけがない。

ようやく携帯がつながった。

「代表」

「おーだ」「わーた」「るーぞ」

「・・・・・」

?????

その声は駿坊ちゃん!?

俺だ?

分かった?

切るぞの意味か?

一人で喋って切れる携帯。

その不機嫌そうな言い回しは確かに代表そのもので・・・。

いつも聞きなれたパターン化された会話。

「西田です」

「俺だ」

「要件ですが・・・」

「分かった」

「よろしくお願いします」

「切るぞ」

仕事の確認の連絡事項の会話は駿坊ちゃんの前で武骨に繰り広げられていたに違いない。

これがつくし様からの携帯なら・・・

その連絡を受けた代表の真似もやってもらいたいものだ。

きっとその時は緩んだ表情で・・・。

駿坊ちゃんにこの真似は少し高度かも知れない。

代表の真似をする駿ぼっちゃん。

側で目撃したら・・・

いや実際に見たかった。

今度駿坊ちゃんに携帯を持たせてみようか?

ここ数年来味わったこともないおかしさがこみ上げる。

代表とつくし様も大笑いされてることに違いない。

「プッー」

「室長どうかしましたか」

「いや・・・ゴホゴホ」

部下の声に咳で誤魔化した。

気を取り直してもう一度同じ短縮番号を押す。

鳴り響く携帯。

「分かりました。調整します」

駿坊ちゃんに免じてと伝えるつもりで片方の耳にあてた携帯を鳴らし続けた。

駿君が絡むと西田さんも甘くなりそうな気がします。

拍手コメント返礼

なおピン様

このシリーズは本当に根強い人気を誇っています。

西田さんは陰の主役?

>こんな司を傍で感じてみたいです!!架空の人物と思えないんですよね。

そこまで思っていただけたら書き手としてはうれしですね。

ありがとうございます。

さっちき様

なんとかUpできました~

久々の西田さんの観察日記。

書きながらニヤついてる私って・・・(^_^;)

西田さんドンドンいい人になってます。

b-moka

あの受け答えで分かるのは西田さんだからでしょう(笑)

司が解かったことの方が不思議な感じがします。

親子って不思議と変なことが似ますよね。

似なくてもいいのにって思う様なとこが

これからも駿君にはもっと真似をしてもらいたい様な気がします。

どこが似て欲しいかランキングっておもしろそう♪