FIGHT!! 16

入園式は終わったけど・・・

和也君の役割は?

いろいろやってもらわなくっちゃ~~~~。

いろいろやってもらいたいのはやっぱり司ですよね♪

そんなお話は続きからどうぞ~

*

朝バタバタとお出かけの準備をして、自転車の後ろに子供を乗せてペダルを必死に踏んで幼稚園と向かう。

そんな日常風景の似合わない邸宅。

朝6時に目を覚ます駿。

眠りにつくのは夜8時。

幼児にしても規則正しい生活習慣。

親としてはパタッとベットに入る息子に手がからずに助かってる。

手を焼くのは双子と・・・

後は言わずにいる方が賢明だ。

白いブラウスにタイを絞めて・・・

絞めてと言ってもボタンで取り外し可能な小さなタイ。

紺の半ズボンにブレザーを着こんで準備は完了。

「いってらっしゃい」

車の後部席にちょこんとお行儀よく座った駿がにっこりほほ笑む。

手を振りながら感じる一抹の寂しさ。

ギャー、時間がない!

早くして!

なんて思いだすのは牧野家の日々の日常。

バタバタと送り出す状況ならそん気分にはならないだろうが優雅に余裕に流れる時間を恨みたくなる。

「お母さん~ヤダ~」と、離れる寂しさは微塵も見せない息子。

にっこりほほ笑んだ駿を乗せたまま音も立てずに走り出す車。

ついこの前まで一緒に出勤する司を見送ってたのにッ!

私の方が寂しくなるなんて思いもしなかった。

双子の産休に入る前まで自分は勝手に駿を置いて仕事に行っていた。

抱っこ~と手を伸ばす駿が可愛ゆい~♪と頬ずりしてたのはたった1年前の出来事だったはずだ。

成長が早すぎじゃないのか?

ガクッとしぼんだ背中のまま見えなくなった車に背を向けた。

「なんで、ため息をついてるんだ」

駿を見送って部屋に戻ってきた私に新聞からチラッと視線を司が移した。

「駿は全然寂しそうにしてないんだもん」

「それでお前が寂しがってりゃ世話ないな」

「それはそうだけど・・・その言い方優しくない」

「だったら、俺を見送るときに寂しいとか、一緒に行きたいとか言ってくれるか?」

新聞をテーブルの上にポンと投げて司が立ち上がりゆっくりと私に近づく。

「いッい・・・言わないわよ」

慌てた声はかすかに裏返る。

「俺が出かける前にそんな寂しそうな顔を見せるな」

ポンと頭に置かれた大きな掌。

そして子供に見せる優しいまなざしが目の前に迫る。

「俺以外の男と離れるのが寂しいって言われると傷つく」

「俺以外って・・・駿でしょう!」

「俺が我儘なのは知ってるだろう」

悪戯っぽく片方の口角を上げて作る笑顔。

「たまには俺にせがむお前も見たいけどな」

私の視線の高さに合わせて腰を折る司。

その瞳の奥から生み出される熱はそのまま私の体を包み込む。

逃れるように閉じた瞼。

それと同時に感じる唇に触れる温もり。

司のペースに飲み込まれていく。

「あっ」と重なった唇の合間から漏れる声。

わずかに開いた口元から待っていたという様に入りこんできた舌先。

激しく絡めてきたキスは単なる朝の挨拶とは言い難い刺激も私に送り込んでくる。

「行かないでって言いたくならないか?」

ようやく離れた唇はそのまま耳元まで移動して司の吐く息を敏感に肌が感じ取る。

「む・・・無理・・・で・・しょう。もうすぐ時間じゃ・・・ない」

「相変わらず我慢強いよな。かわいくねぇ」

「あっ」

胸に触れる指先は服の上からもそれとわかる刺激を送り込んでいく。

反応するように身体の力が抜けそうになるのを唇を噛んでこらえた。

「もう駄目だって」

刺激から逃れるように司の胸を突き放す。

「駿の事を忘れられただろう」

ニンマリと満足そうに笑った顔でわずかに緩みかけたネクタイを司はキュッと絞め直した。

そんな仕草までなまめかしく映る。

ホッとしたような・・・。

勿体なかったような・・・。

ドクンと心音が外に漏れ出てそうだ。

「こんなの、毎朝やられたらたまらないわよ」

「俺はいつでもOkだけど」

まだ熱の冷めないうずきは体の奥に種火を残してる。

艶っぽく聞こえる声はそこに風を送り込んでくる。

結婚して、子どもが生まれて・・・。

家庭も仕事も順調すぎるほど順調で・・・。

落ち着きと自信に満ち溢れている。

それだけでも十分なのに女性を引き付ける大人の色気も必要以上に強烈だ。

見つめられただけで妊娠させられそうだよ。

って!

いつも見慣れてるはずの私がその手管にのせられてどうするのよッ。

「あっ今日は見送らなくていいからな」

「えっ?」

クスとした機嫌のいい笑いを残しながら司は私を残して部屋の出口へと向かう。

「その火照った表情を俺以外に見せるな」

えっ?

あっ・・・。

返事もできないまま両手を頬に当てて自分の体温を確認した。

うっ・・・。

この熱じゃきっと今の私は耳まで赤く染まってる。

この熱さは直ぐにも抜けそうにないと実感した。

もう!

やだ!

お~大人な司♪

今までなら途中でやめないでしょう♪

単に私が☆を書く時間がなかっただけ!

そんな推理はしないでいてくれると助かります。

拍手コメント返礼

Gods&Death様

大人な司。

我が家ではこれが長く続かない。

好きなんですけどね。(^_^;)

隠し玉♪

あるかも?

b-moka

うちの子は幼稚園に行くたびに先生に抱っこされていました。

帰る~とは泣かなかっただけまだよかったのかな?

懐かしい思い出です。

確かに司大人になったというより駿君に張り合ってるだけかもしれませんね。

び***様

結婚して子供も出来て何年たっても旦那様にトキメキを覚えるつくしちゃんはうらやましいですよね。

もうすっかり旦那は空気と化してる我が家(^_^;)

no***様

朝からねぇ~

流石に駿君がいるときはきっと遠慮?

司はしないだろうけど・・・。