君じゃなきゃダメなんだ 8

いよいよご対面♪

あきら君の家族。

そういえばあきら君以外の家族て・・・

名前ついていたっけな?

記憶がない・・・。

*

葵と俺を乗せた車はいつもとは違う道筋を走る。

黙り込んだまま車窓に向けたままの顔。

俺から見えるのはスモークガラスに映りこんでいる憂いな表情の葵。

うなじから見える磁気の様になめらかな白い肌。

少し茶色がかったサラサラの髪。

すっきりとした輪郭、ややぽってりとした愛らしい唇が今日なんどめかのため息をついた。

膝の上に置いていた俺の手のひらを葵がギュとにっぎり絞めている。

少し汗ばんだ手のひらは葵の緊張を俺に伝えてくる。

「緊張するなって言っても無理だよな」

「えっ?まあ・・・」

ようやく俺と向かい合ってかさなりあう視線。

「今日やっと俺をまともに見てくれた気がするんだけど」

葵の手のひらに残りの手のひらを乗せる。

緊張を解きほぐす様に軽めに力を入れる指先。

葵の指先が一度力を緩めて一度ゆっくりと俺の手を包み込んだ。

俺の両手に挟まれたままの葵の手のひら。

その重みは十分に俺も分かってるつもりだ。

「俺の家族に葵を会わせたら今度は俺がお前の両親にあいさつに行くから」

「あいさつって、一緒に住むときに会ったじゃない」

「あれは結婚のあいさつじゃなかったからな」

「あれだ、ドラマみたいな台詞言ってみたいし」

「そんなこと思ってるって思わなかった」

ようやく葵の口元がかすかにほほ笑む。

「お嫁さんにくださいと結婚させてくださいのどっちがいい?」

「どっちって、わかんないわよ」

クスッと開いた口元は緊張がほどけたように笑顔を運んできた。

「いつもの葵だな」

俺の肩に落ちてきて寄せる葵の頭。

片腕にまとわりつくように脇から差し込まれたほっそりとした腕。

「少し落ち着いた」

胸元でくぐもる声。

その振動はなんとも言えない幸福感を俺にもたらしてくる。

くすぐったくて・・・。

身動きもできない狭い車の中が窮屈でたまらない。

息を吐くと同時にネクタイを片手て緩めた。

「着いた」

門をくぐって現れた邸宅。

白い壁の洋風の造形。

「お城みたい」

中を見たらもっとそう思うメルヘンさ。

すべて母親の趣味。

それに最近は妹たちも感化されてるから俺の落ち着ける場所は自分の部屋だけだ。

開かれた左右の扉。

最初に目に入るのはロッキングチェアに座って出迎える巨大なウサギ。

「妹がいるんだったものね」

それは違う。

この椅子に座る住人は形を変えながら妹が生まれる前からここにある。

「あきら君~」

甘ったるい声。

両手を広げて身動きできない強さで抱きしめられた。

「さびしかったんだから、今日は帰さないわよ」

「あっ、貴方が葵ちゃんね。もう、この子ったらなかなか紹介てくれないから」

「ダメね、まず最初に紹介してくれないと」

「紹介って、最初に抱きついてきたのは母さんだぞ」

「よろしくね」

俺の声など聞こえてないようににこやかに葵の両手を握ってるおふくろ。

「おかあさん?」

確かめるような困惑気味な葵の視線にコクリと頷く。

「お姉さんがいたのかと思った・・・」

「まぁ、お姉さんだなんて、葵ちゃん正直ね」

「東条葵です・・・」

葵は焦ったように頭を下げた。

ぴらぴらのワンピースとそのテンションの高さは同じ年代の女性とズレがある。

母親を年相応に判断できる人物はいないと思う。

「父さんは?」

「ダイニングルームで待ってるわ」

親父と会うのは葵との見合いのことを告げられて以来の対面。

数か月ぶりの計算になる。

「絵夢と芽夢は?」

あいつらの反応が一番心配なんだ。

「まだ、部屋にいると思うけど」

部屋から出てこないつもりとかの抵抗はないよな?

二階に続くらせん状の階段を見上げた。

同じ体型、同じ顔、着てるものまで全く一緒にそろえられた妹達。

上から覗き込んでいた顔がにっこりとほほ笑む。

「おにいちゃま」

甘ったるい声は母親譲り。

ただ違うのはその声は確かに可愛いと俺に思わせる。

「身長伸びたな」

左右の腕にしがみついてきた妹たち。

「大人っぽくなったって言ってほしいのに」

少し口をとがらせたのは絵夢。

頬を摺り寄せたまま甘えるのは芽夢。

「紹介するよ」

「紹介してもらわなくても知ってるもん」

「おにいちゃまの彼女でしょう?」

にっこりとほほ笑んで俺を見上げるそっくりな顔。

裏がありそうな笑顔にしか見えない。

「いいか、お前ら葵に何かしたらおにいちゃんは本気で怒るからな」

「何もしないよ」

言いながらクスと二人で合図を送る視線。

安心できそうもない。

二人を両脇に抱え込んでなかなか歩かない妹を引っ張るように葵の前に連れて行く。

「お前らのお義姉さんになる人だ」

ジッと葵を見つめるだけの妹たちの頭を俺は思わず手のひらで押し込んだ。

拍手コメント返礼

ゆめ***様

最近更新が遅くて(^_^;)

紅白の番宣見ました。

真央ちゃんの次に松潤

うれしかったな。

期待してますがあんまり期待してるとがっくりする気もします。

でもやっぱり花男を想像させる企画を見たいですよね。

b-moka

とうとう対面です。

ドラマと原作がごった煮で美作邸を想像してます。

この後は多分楽しい食事会♪

だと・・・(^_^;)