ソラノカナタ 6

今回のお話の重要人物はもちろんオリキャラの王子様。

昨日までは金髪の王子様の人物像の設定をどうするか悩んでおりました。

この物語を思いついたときはエレベーターに閉じ込めらるのはつくしと王子の二人ッきりの設定のはずが・・・

人物増えています。(^_^;)

そしてこの王子二人のモデルは実は私の好きな小説『銀河英雄伝説』のラインハルト・フォン・ローエングラム

ジークフリード・キルヒアイス なんです。

銀河英雄伝説について話し出したらきりがないのですが、銀河系を舞台に、数多くの英雄たちによる攻防と権謀術SF的な話なのですが物語はむしろ歴史小説に近い小説です。ベルバラを思い起こす宮廷内の愛憎劇に、政治に宗教も絡まって、奥が深い。

アニメ版もなかなか面白い。

恋のお話も絡めてあるので読み応え十分です。

私がハマって読んでいたのは20代の若かりし頃、ジークフリードに恋しておりました。

・・・と余談はこのくらいで(^_^;)

それでは続きをどうぞ

「あなたにです」

プル~と鳴ったエレベーターに備え付けの非常時の電話。

ジェームズと王子に呼ばれていた彼が私に差し出した。

座り込んでいた床から立ち上がり埃を払う様にドレスの裾を直す。

きっと道明寺だ。

「もしもし」

バカ!何やってる!って、怒鳴り声が聞こえてきそうで受話器を手で覆って漏れる声を最小限にとどめる。

「怪我してないか?」

その声は静かで、優しくて、心をそのまま包み込んでくる。

「大丈夫、かすり傷一つないから」

「よかった」

受話器の向こうからため息とともに道明寺の切なげな声が聞えた。

「なるべく早くそこから出してやるから、無理スンナよ」

「今の状態じゃ、別に無理することはないと思うけど・・・」

立方体の箱の中で何も出来るわけがない。

止まったままのその箱が動くまで待つしかないのだから。

「怪力でエレベーターをこじ開けようとか、壁をよじ登ろうとするんじゃないかって心配してるんだろうがッ」

「おとなしくしてろよ」

ウッ・・・

それさっきやった。

だってさ、映画とかドラマでよくあるじゃない。

エレベータの天井から抜け出して壁をよじ登ったり、ドアを開けてそこから抜け出したり。

でもこのエレベータは密閉状態で出口はドアだけ。

何やってるって冷めた目で見ていた王子が私の理由を聞いて『フッ』て、鼻で失笑されたばかりだ。

「・・・もしかして、ドアに蹴りまで入れたか?」

「それはやってない!」

しまった!

自分で道明寺に指摘されたことやってるとばらしてる。

「確かに怪我の心配はなさそうだ」

クスッとした声が聞こえた。

「ごめん、一緒にいてやれなくて」

少しの沈黙の後にらしくない落ち込んだ声。

そのまま背中から抱きすくめられてるみたいに心が熱い。

受話器を握りしめた掌までも熱を持つ。

「どうみょうじ・・・」

えっ?

そのまま途切れた声。

「道明寺!どうッ」

呼びかけた声はそのままエレベーター内でこだまする。

「あっ、ライトが!」

電源が途切れたように暗くなる密室。

仕方なく受話器を置いた。

確かクラッチバックの中に・・・。

座り込んで座り込んで手探りで床に落ちているはずのバックを探す。

床とは違うシルクの手触りの感触にピクッと指先を反射的にそこから外す。

スーツの下のしなやかな筋肉の硬さ。

この二人のどちらかの脚に触ったみたいだ。

ぎゃーーーッ。

胸の中はどうしようって感情がグルグルと渦を巻いている。

「痴女ッ」

聞えた声は王子。

「わざとじゃありません」

見えないんだからしょうがないでしょうがぁぁぁぁぁ。

「バックを探してるんです」

「これ?」

差し出してくれたのはジェームズさん。

バックを手渡されて触れる指先。

「落とさないで」

両手でしっかり握られた掌。

暗さに慣れて捉えた瞳の先にはジェームズさんの鼻先が当たりそうで、思わず後ろに体を引く。

「すいません」

暗くて助かった。

今の私は道明寺からもらった熱とジェームズさんのハリウッドスター並みの美貌を想像して体が噴火寸前の状態のはずだ。最悪なのは

、王子には痴女扱いだぞ!

あった!

小さなおもちゃの光でもないよりはましだ。

閉じ込めれる1日前に日本にいた私の昼間のバイト。

ベビーシッターで、子供と一緒にお昼に食べたハンバーガー。

子どもはお決まりのおもちゃ付きのハッピーセット

ぴ○ちゅーのしっぽが光るだけの単純なもの。

私がもってきちゃって返さないと泣くよねって失くさないようにとバックに入れていた。

こんなおもちゃがこのブランドの高級バックから出てくるのはドラ○もんのポケット並みの驚きに値するはずだ。

「ブッーーーーー」

「おもちゃって・・・ブハハハハハ」

「殿下」

王子をたしなめたのはジェームズさん。

「不釣り合いなとこから意外なものが出てくるから」

「おもちゃでもないよりはましなはずです!少しは明るいし・・」

幾らエレベーターの中と言っても蛍のお尻にともるほどの明かりでは何の足しにもならない感じだ。

さっきまではいい考えだと思ったんだけど・・・。

今度は恥ずかしさで顔が熱くなってくる。

あっ・・・

点いた。

天井のライトが明かりを取り戻す。

そのままじっと天井のライトを眺めた。

この視線を他に移す勇気はない。

私の右手にはスイッチの入ったまま耳としっぽが赤く光ったままのぴ○ちゅー

どう考えても女子大生の姿じゃない。

それも今夜はそれなりに着飾った格好だ。

「似合ってるから面白い」

王子には完全バカにされてる感じだ。

ジェームズさんにまでクスッと小さく笑ってしまわれてた。

「日本の子どもには人気なんですから」

言い訳になってないッ。

その子供のおもちゃを私がもっていたらどうなるのよ。

私の精神年齢は子供だと思われてるとかあるかも知れない。

そして道明寺もそうだと思われたらどうなる?

ガキの相手はできないなんて思われて仕事がうまく行かないとか足元を見られるとかの影響あるのかな?

「私の子供のです」

架空の幼児でもでっちあげてごまかすか?

すごく無理がある。

アメリカでは道明寺がいなければ高校生にも見られなかった現実。

王子たちもきっと私に子供がいるってことにしたら今度は腹を抱えて笑われそうだよ。

どうしよう!

ウッ・・・。

泣きたくなってきた。

拍手コメント返礼

みるく様

応援メッセージありがとうございます。

拍手をいただけるだけでうれしいです。

これからもよろしくお願いします。

ひ**様

一癖ありそうな王子。

花男の登場人物って個性的なタイプが多いですよね。

それに負けない登場人物を作り出すのを楽しんでます。

こちらこそリンクありがとうございました。

Gods&Death様

英伝は私も久々です。

ハマっていたのは結婚前でして(>_<)。

その頃寮にいた私は友達を部屋に引き込んでビデオの鑑賞をしていました。

「卿ら」ってセリフありましたね♪

スカートの中の大将と言われるジークフリード

あ~思い出がよみがえってきました。

オスカルとアンドレもしっかり読んでました。

ゆげ様

王子にも気に入ってもらわないとお話はおもしろくないですが・・・

つくしがすぐ惚れられるのも面白くない!

王子が司が気に入るとかないかなぁ~。

今はやりのBLものだと王子が華奢な男の子ってパターンは王道ですよね。

司じゃ無理かぁ・・・。