星を掴むその日まで 5(完結)

このお話本当にスーロなペースでUpしています。

ソラノカナタを書き始めてなおさら西田さんに感情移動ができなくて(^_^;)。

違い過ぎる主人公たち。

こちらのカップルはどうなるの~

「ニシダッ!」

柱の影から通せんぼをするように両手両足を広げて坊ちゃんが立ちふさがった。

キッと眉を上げて不機嫌そうな顔が私を睨む。

坊ちゃんの気にそぐわないようなことをした記憶はない。

「まだ寝てらっしゃらないのですか?」

腕時計で確かめた長針は9時を指している。

いつもなら五歳の幼児は夢の中だ。

「最近、すぐに屋敷からいなくなるよな。前はもっと長くいたぞ」

「仕事が済めば帰ります」

私に会わなくても別に寂しいとも坊ちゃんは思わないはずだ。

逆に「お前が来るとお母様は居なくなる」って、にらまれて嫌われてるはずですから。

「稲美が寂しそうなんだ。西田が来ると嬉しそうにしてたのに」

大人ぶった口調で子どもらしい作りのない懸命さ。

普段他人には興味を示さない坊ちゃんが顔を真っ赤にして必死になっている。

他人のためにこんなに一生懸命な坊ちゃんを見たのは初めてのような気がする。

「坊ちゃんは稲美さんがお気に入りなんですね」

「違うぞ、あいつは抜けてるからほっとけないんだ」

五歳児に抜けてるって言われてるのは本人が聞いたら喜びませんよ。

フッとわずかに緩む唇。

「稲美の機嫌を直すまで帰るなッ」

大の大人が幼児に指を指されて威圧的に命令を受ける。

これが決していやじゃない。

十数年後はわたしは坊ちゃんにこうやって指示を受けてるのだろうか。

けして遠い未来じゃない。

プイと顔をそむけて坊ちゃんは自分の部屋へと駆け出して行った。

壁際で時折動く影。

「隠れてないで出てきてください」

陰影の部分から抜け出す様に現れた女性。

「すいません、最近避けられてるみたいなので・・・」

か細い声は聞き取るのやっとの私と彼女の距離。

それを縮じめられずにいる。

きっと近づけば忘れられなくなる。

まだ引き返せるうちに会わなくなる方がいい。

「あの・・・なぜですか!」

数歩動いた瞬間に動いた空気が彼女の香りを私に運ぶ。

「変な噂が立って困る」

鼻先をくすぐる香りを追い払う様に冷たく声が響く。

「私の事、嫌いですか?」

好きかと聞かれでばウソでもすぐに否定できた。

嫌いかと聞かれれば嫌いとは答えられない。

嫌いですと一言言えば収まる関係のはずなのに心が収まらない。

否定的な言葉で彼女のすべてを拒否するようで傷付けるのを恐れている。

「ずるい質問ですね」

いつの間にか二人の距離は手を伸ばせば触れ合える距離まで近くなっていた。

「あなたは、ここを出ていくのでしょう?」

「私の事を気に止める必要はないはずだ」

「どうして、気にしちゃいけなんですか」

珍しく感情をあらわにしている。

彼女も・・・私も・・・。

思わず伸ばした腕。

抱きしめることもできずにその腕を彼女の肩に置いた。

冗談抜きでこの私が彼女を愛し始めている。

表情をみられるのを避けるように頭を下げたまま脳内を必死で働かせてる。

彼女の婚約者から奪ったらどれだけの損失を会社に与えることになるのだろうか。

辞めることを覚悟で行動を起こす。

そんな冒険が私にできるのだろうか。

口元から吐き出す長い溜息。

「私が、あなたを気に入ってるって言ったらどうします?」

「えっ?」

戸惑ったままの表情がまっすぐに私を見つめてる。

「うれしいですけど・・・」

頬をわずかに赤く染めて頷く彼女。

ゆっくりと動いた彼女の指先がギュゥッと私のスーツの袖先を掴む。

片づけるものを片づけないとここからは先に進めない。

私は彼女のことをまだないも知らないことに今さら気がついた。

「あなたは婚約してたんですよね?」

「まだ、正式じゃないですけど・・・」

「その婚約を壊しても構いませんか?」

被害は最小限にとどめるように動いて身を処す。

女性で人生を変えることになるとは思わなかった。

それはそれで面白い人生かもしれない。

「あの・・・聞いてないんですか?」

「何をです?」

「私の結婚を進められてる相手って西田さんなんですけど・・・」

「えっ?」

そんなバカな・・・。

それらしき含みがどこかにあったか?

楓会長からの持ち込まれた話だとか言われても本人抜きで進められるはずがない。

あっ・・・

思い出したのは数か月前。

「西田、見合いしてみないか」

進められたのは上司から。

「仕事を覚えるのが先です」と写真も見ずに断った。

そこから道明寺の屋敷に出向くことが増えたような気がした。

断っていた見合いのはずが、自分が知らない間に話は進んでいた。

以前の私なら話が固まってしまったらそのまま断ることもなく受けてしまっていたかもしれない。

目の前の彼女は必死になってここに来るまでのいきさつを話してる。

そんなことはどうでもいいんです。

私の相手が貴方でよかった。

私は自分の一生をかけて会長に感謝しなければらないようだ。

「私は会社を辞めてもあなたを奪う決心をしていました」

ようやく私は彼女を両手で抱きしめた。

                                       

                              END

これでこのお話は終わりです♪

なんだか簡単に終わらせてしまいましたが・・・(^_^;)

西田さんの恋バナはやっぱり甘くはならないいなぁ。

拍手コメント返礼

b-moka

5歳の頃の司はまだ可愛い感じが~

どこから手が付けられなくなるのだろう・・・(>_<)

西田新婚家庭に坊ちゃん襲撃。

無事に済むのだろうか・・・。

どっちが~。

なおピン様

大丈夫ですか?

早く治るといいですね。

続編は考えています。

これで終わりじゃもったいないですもんね。

西田さんの恋バナはほかでは見れない!

3話目。

そうか視聴率下がってるんですか・・・。

私的には好きですけどね。

大泉さんとの掛け合いも♪

上がるのを期待しましょう。

Gods&Death様

西田さんはますますクールになってきそうな気もするんです。

2人のデートってどんなんだろう?

見たい気もします。

うら様

ハッピーエンドで終わりましたが、西田さんの結婚生活は私も想像がつきません。(笑)

ゆげ様

続きを密かに待っていたって表現すごく好きです。

うれしいな。

西田さんの隠れファンは多いですしね。

切ないままの悲恋。

かけるとしたら西田さんしかないかも。

後は・・・タマさんが残ってる。

     あっ、旦那さん戦争で死んだ設定でしたね。

西田夫妻の間で交わされるつかつくの話題。

どんなんだろう?

楽しそう。

今妄想すると頭が~。

いっぱいいっぱいで(^_^;)。

ハリポンママ様

2人の結婚を知った司は、素直には喜ばないでしょうね。