ソラノカナタ 37
おはようございます。
爆弾娘?登場でどうなる?
今回は司君サイドのお話です。
西田さんとのやり取りがなぜかツボの管理人です。
PW申請のご連絡。
本日20時までに申請された方は返信しております。
年齢の記載のなかった方には返信しておりませんので再度の申請をお願いします。
yuriyui様メールがエラーで返信できませんでした。
お手数ですが再度ご連絡をお願いします。
*ダメだ・・・。
気が付くと頬が緩んでる。
あいつの家で、部屋で、朝まで一緒で・・・。
見送られて出社した朝。
小さな間取りはどこにいても視界の端であいつの姿をとらえてた。
ずっとそばにくっ付いているような牧野の匂いを感じる部屋。
狭い空間を気に入ってる俺。
だだっ広い俺の屋敷よりこっちの方が落ち着くって思えた。
これ以上密着できないくらいに抱きしめて眠った夜。
NYの出来事もばっちりと修復できた。
これ以上何が望めるのだろう。
目を通してるのは面白くもない仕事の書類。
『会社更生手続き中の半導体大手の支援企業を決める入札に関する報告書』
これを読んで顔がしまらなくなるのは今日の俺だけだ。
今日の俺の機嫌のよさをなくすのは無理な話。
仕事が終わればまたあの狭い空間で、二人っきりで過ごせる夜が待っている。
笑うなって言うのは無理な相談だ。
ノックの音で戻す澄ました表情を作る。
「アル王子の国内のゴタゴタも収まったようです」
「妹君のプリンセスも来日されると連絡がありました」
西田は王国との提携の内容の重要書類を俺の前に置きながらテレビのスイッチを入れる。
画面に映し出される空港の様子。
別に興味はない。
それより西田!お前まで「アル王子」って、呼ぶってどこまで親密になってるんだ。
そっちの方が気になる。
「これで、安心してつくし様のもとから離れられますね」
「屋敷には帰れずに不自由な生活をおかけしました」
「えっ・・・もしかして・・・」
牧野のうちへのお泊りは予定は1週間じゃなかったのか?
もう終わり?
たった1日で?
「残念そうな表情を浮かべないでいただきたい」
何でも知りつくしてると言いたげな顔で西田がつぶやく。
「つくし様に事が片付いたってことは内緒にしておこうと思っても無駄ですから」
「なんでわかった!?」
ギクッとなったまま変わり映えのない西田の顔を食い入るように見つめる俺。
「素直にこの楽しみを手放なす坊ちゃんを想像はできません」
やれやれって感じでため息をつく西田。
「あと2,3日は目をつぶってます」
「スケジュールもそう忙しくはありません」
やけに手回しがいい返答が俺を喜ばせる。
最初からそう教えろよ。
飛行機から降りてきた一人の女性。
にこやかに手を振る穏やかな雰囲気。
アレックスに似てる顔のつくりは血のつながりを認識させる。
すぐに切り替わった記者会見の会場。
会見する必要があるのか?
兄貴は極秘来日だぞ!
画面に流れるアレックス王子は極秘に来日中の白い文字。
ばらしてるのか・・・。
命を狙うやつが捕まったんだからもう極秘の必要はないわけだけど。
今日も牧野は類と二人で王子に会いに行っている。
つーか、ことが片付いたんなら牧野の役目も終わってるはずだ。
行く必要あるのか?
西田に問いただそうとしたときに聞こえたテレビからの声。
「アレックス王子も訪日中と伺いましたが?」
「日本人の女性とアメリカから訪日してるはずですの」
流暢な日本語。
王女も日本語ペラペラかぁ。
日本女性って…牧野?
頬杖を付いたまま興味も持てずに耳だけ傾けて聞いていた体がピクリとなった。
「お兄様、今度は結婚する気かな?」
「なに!」
バンと大きく両手をデスクについて椅子から立ち上がる。
「アレックスの奴!」
「代表・・・。おっしゃってるのは妹君です」
床に飛び散った書類を何事もなかったように拾い集めて俺の前に西田が置いた。
几帳面に角を並べてデスクの縦に平行に並べた書類。
相変わらずの冷静さ。
こんな時まで丁寧な仕業は俺の神経を逆なでする。
西田の冷静な表情を崩すのはどんな時だ?
「妹も、何も関係ないだろう!」
「これは公の会見だろうがぁ!」
「俺より先に結婚会見をおっぱじめる気か!」
「王女の言葉は疑問符付きですし、正式な発表には程遠い」
「こんなもんでも十分だろう、あすの新聞の一面はこれだぞ!」
西田の冷静さに逆らう様に俺の不機嫌さは増強されていく。
牧野のことが絡むと、どうしてこうも感情が狂うのか。
さっきまでの俺の機嫌を返せ!
「西田、俺もやる!」
目の前にはいないアレックスを想像して睨みつけている。
「何をですか?」
俺の考えを探るような西田の視線。
「先に俺が牧野と結婚するって発表する」
わずかに困ったという様に西田が、こぼすため息。
「つくし様の了解も取らずにですか?」
考えるそぶりも見せずに1秒以内に言葉を返す西田。
「けんかを修復できたばかりなのですよね」
もともとが牧野が俺に反抗するのはいつものことで、素直じゃねえんだよ。
俺との結婚は決まっていることだし、もうそろそろ世間に発表しても問題ないって思ってる。
確かに、今回のけんかは今までにない危機的状態で、あいつを泣かせた負い目はある。
それもこれも西田!お前が一枚かんでるのは知ってるんだからなッ!
「牧野が大学を卒業したら結婚する予定だから、べつに問題ないだろう」
「今回のことがなければ問題はないでしょうけどね」
「彼氏の浮気を疑ったばかりの状況では・・・」
奥歯に物がはさまった様な物言い。
「つくし様の了解なしに発表したら、結婚しないと言い出されかねない」
「私は心配してるのです。代表があまり騒ぐと逆に窮地に追い込まれることもあると思います」
「ぼっちゃん・・・失礼しました」
「代表とアル王子と相手が同じだと世間にバレタラそれこそスキャンダルになりかねませんけど」
坊ちゃんを代表と言い直す時は俺を追い込むことができたと思っているときの西田の癖。
知ってるはずのなのに西田にノセられてしまってる。
「アル王子に負けるなんて思ってるのであれば別ですが・・・」
「負けるわけねえだろう!」
ですよねって言うなら少し表情を崩せ!
朝から全く変わらない無表情で諭される俺。
ほっといた方がいいって西田に丸め込まれた気分。
「つくし様との時間を取れるように調整した私を、これ以上働かせないでいただきたい」
働くのはお前の趣味だろうッ!
スーツ姿以外の西田は想像できねぇし。
西田の奴・・・
この頃は俺より牧野に肩入れしてる気がする。
「西田、お前はいったい誰の味方?」
「もちろん、ぼっちゃんです」
「代表の振られる姿は見たくないですから」
西田がようやくわずかに口元を緩めてつぶやいた。
クソッ。
拍手コメント返礼
美優様
今回は司目線ですが西田さん日記に近いものが~。
どこまで今回は坊ちゃんを操るのでしょうか(笑)
サイボーグ西田怖いものなし!
ゆげ様
おかえりなさい♪
お越しをお待ちしておりました。
出張はいかかでしたでしょうか?
真っ先に成田についてすることが我が家へのご訪問とは、うっ・・・うれしい。
ニンマリしてませんでしたよね?
そこが心配です(笑)
事件に巻き込まれる準備は着々と整っておりまする~。
西田さんの隠れファン多いんですよね。
なぜ~。
「坊ちゃん」と呼ぶ西田さんが私も好きです。
代表と呼ぶよりなぜか「坊ちゃん」の響きが好きなんですよね。
han****様
一家に一人西田さんがいたら・・・
宝の持ち腐れになる可能性もある気がします(笑)