ドッカン !! 6

昨日に引きつづきドッカンを更新しました。

今回は司君登場!!

ばれるのか?

危うし公平!となるのかどうか・・・(^_^;)

これじゃ結婚前と変わらない。

ガチャリと開かられる後部席のドア。

開いたドアの横で運転手の里井が頭を下げる。

一歩車から出して地面につけた足。

虚脱感は足元から身体に伝う。

夜空を仰ぐように眺めて自然とため息が漏れた。

無人島で二人で眺めた満天の星空。

あの時のほうがよっぽど幸せだったって本気で思う。

「どうかしましたか?」

人のいい里井が心配げに俺を眺めてた。

「大丈夫だ」

あいつと離れてまだ1週間だぞ。

もう飢えている。

会いたくて・・・

声が聴きたくて・・・

触れたくて・・・

抱きしめて全てを感じたい。

手のひらを見つめて寄せる思い。

つくしの肌の感触は会えない時間の分だけ鮮明に甦って俺を困らせる。

離れていても面倒くさいやつだ。

電話ぐらいしろッ!

つーか、昨日まで時差8時間の出張先にいたから無理か。

分ってるのに無性に腹が立つ。

何時もの様にエントランスに並ぶ使用人に出迎えを受ける。

この中につくしの笑顔が混じるのはそう長くはない未来。

俺にとっては長ゲェッ。

「おかえりなさいませ」

恭しく先頭で頭を下げたのはセバスチャンとつくしが呼ぶ我が家の執事丸山孝三郎。

「つくし様がお帰りです」

にっこりとほほ笑んだセバスチャンのその後ろで数人の使用人も満面の笑みを浮かべて俺を見つめる。

「帰ってくるなら連絡ぐらい入れろよな」

「不手際をお許しください」

「お前に言ったわけじゃねぇよ」

昨日までのセバスチャンなら恐縮気味に俺の前に出る。

今は謝りながらも朗らかな声。

俺の機嫌をとる必要はないって分かってる態度。

それが今の俺の感情を代弁してる。

これだからあいつは使用人達に絶大な信頼を得てる。

「つくし様がいてくれないと困ります」

使用人たちの訴えに帰りかけたつくしが何度思いとどまったことか。

こいつらも意外と役に立った。

駆け出す俺の後ろを使用人たちの明るい笑いが見送っていた。

「おい、帰るんだった連絡を入れろ」

「そしたら少しでも早く帰ってこれたぞ」

ドアを開けながら部屋の中にいるはずのあいつをさがす。

・・・?

おかえりって俺に飛びつく笑顔を期待してた俺。

返事もなしって、イラつかせるなよ。

きっとつくしの顔を見たらお前に負けないくらいの笑顔が作れる。

帰ってないって事はないよな?

嘘だったらセバスチャンを筆頭に使用人たちを怒鳴っても怒鳴り足りない。

道明寺に長年仕えてるセバスチャンが身の危険が迫ることをするはずもない。

何処かに隠れて俺を驚かそうとか?

子供じみたマネをするな。

どこだ?

部屋の中に進んで中央に置いてあるソファーの背に手をかけた。

いた!

ソファーの背にもたれ掛って規則的な寝息を立てている。

俺の腕時計の針は11時を回ったところ。

寝るの早くねェか?

「む・・・り」

わずかに開いた唇から洩れた音。

それでも確かに聞きたかったつくしの声。

思いっきり食べてる夢でも見てるのかと想像しそうな寝言。

俺に迫まられて無理とか拒否してんじゃねェよな?

漆黒の髪のウエーブが肩を覆う。

緩やかなアーチを描く整えられた眉。

薄化粧の肌はそのままでも真珠の様な輝き。

少し濡れた唇も魅力的に映る。

つくしの横に腰を下ろしてまつ毛にかかる前髪をなぞる。

頬に・・・

唇に・・・

指先が柔らかい弾力を楽しんでいる。

近付く息が触れあう距離。

あつらえたようにぴったりと吸い付く唇の熱さが俺を誘う。

離した唇は「ンッ」と小さく苦しそうに呟いて顔を俺から逸らす様に横に向けた。

いい加減起きろッ!!!

嫌だという様に首を横に振って規則的な寝息が漏れる。

熟睡ッ。

朝までこのまま寝せるってねェからなッ。

もて遊ぶように指先に髪を絡ませる。

しなやかな髪先から零れる柑橘系のシャンプーの香り。

なんだか、こいつ違ってねェか?

色っぽくね?

修習所に行くときは目立たないように、地味にと髪も一つに束ねて伊達メガネもかけて化粧もほとんど色がなくて出て行った。

今俺の目の前のつくしは髪を整えてウエーブまでかけて目鼻立ちを引き立てる化粧。

ニット素材のチュニックからわずかに覗く胸元。

俺のためにって思うほど楽天的じゃね。

つくしの性格じゃ司法修習が終わるまでダサいままって言うのがこいつらしい。

なぜ急に変わる必要がある?

疑問が不安に変わる。

俺の目の届かないところで無防備なつくし。

オオカミの群れの中にウサギを入れ込んでしまったようなものじゃねェのか。

つくしはモテる。

その自覚がないから俺が落ち着かなくなる。

誰も俺からつくしを奪うことはできないって自信は不安に押しつぶされる。

こいつは俺と結婚したって自覚はあるのだろうか。

「おい!起きろ!」

甘いキスと愛撫の刺激で起こすつもりが怒鳴り声とともにつくしの身体を揺さぶってしまってた。

拍手コメント返礼

ソフィ様

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