サンタはプレゼントで苦悩する
2012年クリスマス第二弾!!
今回はファミリー偏でお届け♪
*「クリスマスどうする?」
「もち洒落たホテルで彼氏と過ごす」
どこもかしこも聞こえてくるのはクリスマスソングと楽しげなデートの話。
「今年もシングルベルだーーーー」
叫んだのは甲斐さん。
どうも最近彼女に振られたらしい。
「12月にフラれるのが一番痛いわよね」
そう言ってる玲子さんにも彼氏の気配はない。
「つくしちゃんは賑やかそうでいいわよね」
結婚して3回目のクリスマス。
今年は駿も生れて家族3人で過ごせるはずで・・・って
「仕事」
「日本人がクリスマスで浮かれんじゃねェよ」
海外で過ごすことも多い奴の言葉とは思えない。
ことなげに言った後で「冗談、楽しみだよな」ってニンマリと笑った。
「おい、駿が喜ぶプレゼントってなんだ」
乳幼児が喜ぶものって、音の出るおもちゃとか、動くものとか・・・
見て触って噛んで楽しめるもの。
なんでも口に入れちゃうから目が離せないのよね。
「サンタさんの恰好で司が現れたら喜ぶんじゃない」
「俺のスマートさじゃ、似合わねェだろう」
私の目の前にお腹を突き出して見せて口角を少し司が上げた。
なによ!その意味深な視線!
出産前の体重には戻ったんだからねッ!!
失礼なんだから。
クリスマス当日、司はサンタの格好じゃなく朝会社出社したままのオーダースーツでご帰宅。
両手に大きな箱を抱えたSPを引き連れて登場。
箱の大きさのわりには中身は小さい。
箱を開けて出てきたのは小さなコップとフォークとナイフ。
「そろそろ、駿も離乳食を始めてるんだろう」
少しづつ母乳から果汁を与えてる時期。
離乳食を知ってる司が意外。
司のデスクの一番上の引き出しに数冊の育児書が入ってることは知ってたけど読んでるとは思わなかった。
「銀の食器は滅菌作用をあるから抵抗力の弱い乳幼児にはいいんだと」
あのね・・・
手のかかる銀製品よりプラスチックの方が使いやすいんです。
「それに一生食い物には困らないって言うしな」
道明寺の息子として生まれてきた時点でその心配は皆無だって思える。
銀のスプーンを加えて生まれてきたというなら駿はダイヤモンド付きじゃないのか?
絨毯の上に座ってる駿の前にコップを置いてその中にフォークとスプーンを司が入れる。
「どうだ、いいだろう」
ほぼ興味なしの駿。
そのまま私に抱っこをせがむように腕を伸ばす。
「これだけじゃない」
駿にフラられて歪む司の表情。
舌打した司がスクッと立ち上がってパチンと指を鳴らす。
エッ・・・・
アッ!
驚きの声を上げそうになったまま口が動かなくなった。
それって・・・
ソリですか?
ソリノ上には雪崩を起こしそうなプレゼントの山。
それ全部駿のなの?
雪の上が似合いそうな大きなソリの先にはトナカイのロボット付き。
ジングルベルの音に合わせて4つの足が交互に動く。
瞬く間に駿の興味を捉えたトナカイ。
ハイハイもまだなのに必死でお尻を浮かせて飛び跳ねてる。
どっちにしてもパパの存在感は薄い。
「よし、駿、来い」
駿を抱き上げた司はそのまま駿をトナカイの背中に乗せる。
駿の身体を支えて司がトナカイの歩きに合わせて步く。
駿を気に掛けながら笑顔を浮かべる司に胸の奥が温かくかなる。
昔からこの屋敷にいる使用人さんたちはハンカチで目を拭いてるし・・・。
「親だねェ」
私の後ろでしわがれた声が聞こえた。
タマ先輩・・・。
一番優しそうな表情で司と駿をタマ先輩が見守ってるって気がした。
でも!
このプレゼントやり過ぎでしょう!
初めてのクリスマスがこれじゃ来年はどうなるの!
プレゼントの箱を開けるのも怖い。
と・・・思ったら・・・
ソリの中の箱を一つ一つとって周りの使用人さんに司が渡してる。
投げて渡す横柄な態度はどうかと思うけどそれも司らしい。
「タマにもあるぞ」
「気遣いが出来るようになったんですね」
タマ先輩が気丈な表情を作ってのは泣きそうになってるのを我慢してる様にも見える。
「つくし、お前まで半べそかくんじゃねェよ」
「らしくないことするからでしょう」
「おまえにはこれな」
小さな箱を私の手の平にコトンと司がおいてくれた。
照れくさくなるような優しい瞳と極上の笑み。
「メリークリスマス」
頬に軽く触れた唇が小さくつぶやいた。
お楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。
拍手コメント返礼
FOO 様
クリスマスも忘れずにご訪問いただき感謝!
大人な司君いに会いたくなることあるんですよね。
大人な気遣いはあきら君担当なんですけどね。(笑)
おかゆ 様
親してますよね♪
子供の笑顔に癒される司を見ていたい気がします。つくしちゃんが羨ましい。
ココチャン 様
涙って・・・(^_^;)
え~ッ。
我が家でクリスマスを楽しんでるのは子どもだけだな・・・
私は一人でシャンパンを1本空けてしまってました。
意外に淋しいぞ!