Perfect dungeon 28

別館でのボツになったお話はいかがだったでしょうか?

いまだにその続きまで頭が作り出してるぅ~。 

本編の方のお話は続きからですのでお間違いなく。

「どけ!」

聞こえた迫力のある声は道明寺そのもので・・・

気が付かないままに「道明寺?」と声が確かめていた。

上気した顔の顎を覆う髭も嘘くさく思えてきてベットから立ち上がって確かめるように指を伸ばす。

触れた髭は思ったより柔らかくて、触れた途端に怯むように指先がビクンとなった。

その指を王子の手のひらが包み込む。

顔がわずかに動いて唇が指先に軽く触れた。

どうして気が付かなかったんだろう。

私との目線の高さの違いも道明寺で・・・

輪郭も・・・

声も・・・

長身のすらりとした細身の体つきも・・・

道明寺そのもので・・・

唇から送られた熱はすぐに私を優しく包み込んでいく。

変装なんて何もならないじゃない。

直ぐにでも抱きつきたい衝動。

だけど、今回のことは許せないんだからね。

道明寺の乗せた飛行機が消息不明って、最悪のシナリオを信じ込ませてッ!

どれだけ心配させたと思ってるのよ!!!

グッと耐えて怒りを蓄積中。

サングラスの下に隠れて道明寺の表情が見えないことで助かってる。

甘ったるく愛しむように見られたら、反抗できなくなるって知ってるから。

バシッ!

思いっきり髭を引っ張って顎からはがしにかかる。

「テッ」

少し赤みがかった肌を道明寺の手のひらが顎を何度となく擦って動かしてる。

これくらいじゃ済まないんだから。

道明寺に会えたうれしさを誤魔化す様に今回のひどすぎる嘘を心の中でなじる。

バカ!

アホ!

横暴!

傲慢!

我儘!

いつも言ってる事と大して変わらない発想しか浮かんでこないのが自分でも笑える。

本当に心配したんだから。

涙をこぼしそうになってしまってた。

道明寺に会えてうれしいのか、悔しいのか、グジュグジュした感情が表面に出てきそうで困る。

「まきの・・・」

小さく聞こえた力ない声が近付いてガシッと胸の中に抱き込まれてしまった。

別館からの続きの一コマでした。

*

人間はどうやって立って歩くことが出来るのだろ。

真直ぐに身体を保つことに不自由を感じてる。

筋肉に指令を出すことを脳が拒絶する。

頭を隕石が直撃したような衝撃。

額に滴り落ちる血液を感じる錯覚を覚えながら頭を抑え込んでしまってる。

父親が誰かわからないって、牧野が言ったんだぞ!

落ちつけるか!!

あいつに被害が及ばない様に細心の注意はしていた。

なにが一番俺を傷つける事ができるのか。

それは、牧野を傷つけられることに他ならない。

会社の上層部は俺と牧野のいきさつを知らないはずがないんだ。

母親に反抗して、道明寺の家も捨てるつもりで飛びだしたのは数か月前。

冬山の遭難の後の牧野救出のことは次の日の朝刊の一面を飾ったのだから。

牧野のことを調べるのは簡単。

沢村が俺がうまく片付かなかった時のために牧野を襲わせる。

計画してもおかしくない。

何時だ!

婚約指輪を贈った後に逃げ回っていた牧野。

あいつはギャーギャーと元気だったよな?

あの状況じゃ牧野の身に何かあったとは考えにくい。

俺が日本を離れたフリでいなくなった後?

パーティーで落ち込んでいたのは俺の失踪の心配だけじゃなくて、それが原因とか?

ここがクサイ・・・。

俺は牧野を守ってやれなかったってことだ。

誰だ!

牧野を襲ったやつ!

タダで済むと思うなよ。

砂漠の中に放り込んでやる!

医務室のドアが壊れる様な勢いでドンッ!と音をたてて閉まった。

いや・・・

それより・・・

一番大事なのは牧野のことだ。

きっとあいつはお腹の子供を産むって言うよな。

そして俺の前から姿を隠す。

このくらいはやってのけるやつだって思う。

沢村の件が片付いても大問題じゃねェかぁぁぁ。

ドア一枚に背中を預けて大きくつく溜息。

牧野を失うくらいなら俺は何でもできる。

ゴンゴンとドアを推す振動にフッと背中をドアから離した。

ガシャとドアノブが回る音がしてゆっくりとドアが俺の前に押し出される。

「あっ・・・」

気まずそうな表情を浮かべる牧野に後ろには落ち着き払って西田の表情。

良くこんな時に落ちつてられるものだ。

西田は多分俺の子だって思ってるからそれはそれでいいかもしんねェけど。

「俺が父親になる」

すれ違いざまの牧野の腕を掴んで呟く。

一歩俺を追い越した牧野の足がうしろに戻ってよろけそうになった足を踏ん張る様に力を牧野が足にいれた。

不審に満ちた瞳はしっかりとした輝きを秘めてこんな時でも動揺を見せない勝気さは牧野だって安心する。

本当ならスゲー不安でしょうがないよな?

「冗談・・・です・・よ・・・ね?」

「冗談でそんなことが言える立場じゃない」

本気だという様に牧野の腕を掴んでいた指先にグッと力を入れる。

「御辞退します」

クイッと身体を左右に振って俺を振り払う牧野。

「王子と結婚なんて出来るわけないでしょう」

さっと背中を向けて大股で牧野が歩き出す。

えっ?

おっ?

あっ?

牧野の言葉に慌てて自分の顔を左右上下に触りまくる。

まだ髭もサングラスもした変装のまま。

正体をばらしてなかったこと忘れてた。

つーか・・・。

普通、ここまでくれば気が付くだろうがぁぁぁぁぁ。

鈍感にもほどがある。

まて・・・

落ちつけ。

もしここで俺の正体をばらしたら、妊娠してる牧野を追い込む事にならないか?

もう少しこのまま状況を見極めて、牧野の心配と不安を取り除いて俺を頼らせる。

良い状況を作って正体をばらした方がいいんじゃねェか?

そんな気になっていた。

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拍手コメント返礼

まめすけ様

驚きました?

あれ~もうばれるみたいな(笑)

ボツのお話もここまでは作っていたので本館でアップしました。

どうせならもっと丁寧に作り上げて別館でUPした方が親切ですよね。(笑)

ほんの悪戯で~す。

ごちゃごちゃ考えると司君の場合はあんまりよくないと思うんですよね。

直感と本能で行動してほしい♪

それじゃ面白くないこともある~。

敵がいること忘れてちゃ困ります!

いや・・・忘れてもらった方が私は楽かもしれない。(^_^;)