永遠のラビリンス 1

やっと一つ連載が終ったのに、新しいお話をすぐさま開始。

少しのんびりしてから始めればいいのにって何時も後悔するんですよね。

このせっかちな性格は直りそうもありません。

新作にも楽しくお付き合いをお願いします。

ちょっ・・・

その指の動きはやめてーーーッ。

腰のあたりを彷徨う道明寺の指先。

キスからは逃げようもなくて口内を浸潤してくる舌先に迷う。

まだ太陽は真上だし!

家の中だって言っても道明寺の屋敷は廊下も博物館並みに広くて、誰がいるかわかんないんだから!

みられたらどうする!

ここで襲うな!

部屋のドアの前の壁際に押し付けられたまま両手は両肩の脇に押し付けられて抑制されまま必死で歯を食いしばった。

昼間の常識に色情を加えないでほしい。

「なに抵抗してんだよ」

「なにって・・・こんなとこでその気になれるわけないでしょ」

「ここじゃなきゃいいわけだ」

視界を遮るように近付いたアップで迫る顔。

片方の口角をフッと上げて見せる不敵な笑みは魔王そのもの。

見おろしたまま私たちの合間にヒンヤリとした空気が流れ込む。

私から目を逸らさないまま道明寺の右腕が横に動いてドアのノブをガチャリと回した。

薄暗い部屋から少しかび臭い匂いが鼻先に匂う。

客間というよりは物置の雰囲気。

「きゃー」

グッと腕を引き寄せられて部屋の中に連れこまれた。

バタンと閉められたドアで部屋の中は真っ暗になった。

「チッ」

舌先を鳴らしながら道明寺の足音がコツンと響く。

「電気をつけない方が良くねェ?」

まだライトの下に肌をさらすのは抵抗がある。

暗闇の中、手探りっていうのもヤダ。

つーか、この部屋にこもる必要はない。

道明寺の部屋でいい!

受け入れるの?私?

やっぱり今はヤダッ!

焦ったまま壁を探る様に電灯のスイッチを探す。

パチンとスイッチに触れた瞬間にホッとため息が漏れた。

物置と言っても我が家の部屋よりは整理整頓された室内。

埃をかぶらない様にかけられた白いシーツ。

目を引いたのは私の等身大の大きさのもの。

なにげにシーツをとって声を上げそうになった。

「捨てられなかったんだよな」

悪びれない声が私の横に並ぶ。

すーと伸びた道明寺の指先が目の前の形成するラインをそのままなぞる。

優しそうな指の動きを見つめてる私がどうにかなりそう。

「こんなの取っとくな!」

「捨てられるわけねえだろうが、これはお前の分身ッ」

道明寺の言葉が終らないうちに私の右腕からパンチが飛び出した。

「殴るな!」

「殴るようなことしてるの自分でしょう」

大学に入ってすぐの頃、道明寺が私のドレスを造りために作り上げた等身大のマネキン。

サイズの合ったドレスを作るためなら納得も出来る。

顔までそっくりに作り上げた私に内緒にしてたやつ。

道明寺ってあんな風に私を触ってるのだろうか・・・

自分が幽体離脱して外から道明寺と自分を見てるようなおかしな錯覚。

恥ずかしさは極限。

だから、愛しそうに熱い視線を漂わせて、どこ触ってんのよ!

道明寺の視線を隠す様にマネキンを体で覆う様に抱き締めた。

「私が処分する」

「おまえんちに置く場所ねェだろうが」

「俺んだぞ」

昔もこんな言い合いした気がする。

マネキンを真ん中に交差する4本の腕。

「だめ」

「やめろ」

「力で俺にかなうわけねェだろうがぁ!」

グッと力を引かれた瞬間にバランスを崩してマネキンを挟んで二人と一体で床に転がった。

んっ

本当に加減というものを知らないんだから。

開いた視線の先には天井が見える。

左には転がった私のマネキン。

私って・・・道明寺の上に乗っかる様に落ちたんじゃなかったっけ?

身体が重く感じるのはどこか打ったか?

確かめるように顔の前に持ってきた指先。

私の手にしては指が長くて大きい。

何処かでみたしなやかな指先。

私のじゃない!

でも・・・

私が動かしたんだよね。

「ツッ」

錘の掛かる身体のまま身体を起こした。

錘が角度の付いた身体からずり落ちるように太ももの上に移動するのが分かる。

えっ?

えっ?

えっーーーーー。

私の膝の上に乗っかる私がいた。

「ウソ!」

耳に聞こえたのは低い道明寺の声。

「きゃー」

悲鳴には似合わない声が部屋中に響いて思わず耳を塞いだ。

『マネキン』のお話は覚えてらっしゃるでしょうか?

初期の頃に書いた短編のお話です。

ここで絡めるとは思ってませんでした。

懐かしいと思い出していただけたら嬉しいです♪

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拍手コメント返礼

まめすけ様

行ってらっしゃいませ~。

もう旅行楽しんでいる最中かな。

携帯観覧は疲れそうな気がします。

ほぼPC画面しか見てない私。

携帯でもブログ管理をしようとスマフォに変えたのにあまり役に立ってないしなぁ。

マネキン呪われてる?

最初は司はマネキンに入ってしまって司は目を覚まさない設定も面白うそうかと思ったりしてました。

帰国された時にま次はUP出来てるかなぁ・・・。

ことり 様

つくしマネキンにもぞっこんでしたものね。

良くあんなしょうもない話がかけたものだと・・・(^_^;)

マネキンが絡むとドタバタ感満載なお話になりそうな気がします。

おかゆ

マネキン作成から1年経過程度の設定かな。

他の人に見られてなきゃいいんですけどね。

やなぎ 様

オロナミンC♪

倒れるまでにはまだまだ体力は有りますよ~。

ありがとうございます♪

倒れなくても差し入れは何時でも大歓迎です♪(笑)

いの様

執筆が大変というよりは以前のものが滞ってる感じで喉の奥に小骨が刺さってるような感じがしちゃうんですよね。

あきら君に総ちゃんのお話に手が付けられず・・・(/_;)

入れ替わってからの周りの反応気になりますよね。

つくし君エロくなり過ぎて司ちゃんに殴られなきゃいいけど。

司のつくしが殴ったら大変だぞ~。

あずきまめ 様

真昼の常識 久々のヒットだと思っています。

これ思いついた時はニンマリがなかなか治らなかったなあ。(笑)

マネキン覚えていてくださいってありがとうございます♪

プンちゃんのママ 様

転校生は覚えてますよ。

困った表情のJ♪

いっぱい困らせっていっぱい幸せって~

最初と最後はそうなるのかな?