西田さんの坊ちゃん観察日記 (画策中! パート2)
一話で終らなかった西田さん日記♪
いよいよ旅館でご対面♪
西田さんと対面って事になっていたら・・・
司君とつくしちゃんとはどうなったのだろう・・・(~_~;)
*「よろしいのですか?」
坊ちゃんを見送った後に乗り込む車。
ハンドルをギュッと白い手袋が握る。
私より道明寺家では古参の運転手の里井が遠慮がちにちらりとバックミラーで私にチラリと視線を向ける。
「坊ちゃんにはいい薬でしょうが」
不安かと思えた表情はクスッと唇を震わせる。
「西田さんはこのまま旅館に送ればいいんですか?」
互いに気苦労の多い方の世話をしてるいわば同胞。
道明寺家に仕える負担の大きさは互いに相憐れむ。
「私たちが先回りしてるのを坊ちゃんが見たら・・・」
楽しげな好々爺の表情がバックミラーに映る。
以前なら司様の機嫌を損ねない様に戦々恐々と接していたはずの里井運転手。
坊ちゃんの性格の変化を身近にいるものなら尚更敏感に感じ取れる。
楽しんでるのは私だけではなかったようだ。
「たまには一緒に羽を伸ばしませんか?」
このまま坊ちゃんに付きあって温泉で過ごすのも悪くない。
私の場合は、夜が明ければ、坊ちゃんを仕事に引きこむ思惑があるのだが、後半日ほどは自由な時間を差し上げたい。
今頃坊ちゃんは山道を汗だくで登ってるのだろうか?
途中で諦めて引き返すなんてことはないでしょうから。
真直ぐ突き進むしか道がないような猪突猛進の性格。
その上ゴールにはつくし様。
目の前にぶら下げたニンジンを求めて付き進む以外の考えはないはずで・・・。
けして、バカにしているつもりはありません。
日々身を削る緊張感の中で、道明寺TOPとしての重圧と孤独に耐える日々。
時としては日常を忘れる時間を作って差し上げることも秘書としての務めだと自負。
「つくし様を送ってきた時も思いましたが、ここは静かでいいところですね」
部屋に案内された里井が機嫌よく声を出す。
「どうぞ」
私の世話をやくようにすぐに湯呑からお茶の匂いがかおる。
テーブルに向かい合あって正座で座る。
両手で湯呑を持って啜る緑茶。
外で野鳥が「ピーっ」と鳴いた。
この穏やかな時間が慌ただしくなるまでの数時間を温泉で楽しむまでに一つ片付けて置かなければと、一人、廊下に出た。
待ち構えて捕まえたのはつくし様の父上と弟君。
「これは、どうも」
ぺこっと頭を下げた愛嬌のある顔。
「何かあったんですか?帰るのはまだ先じゃ・・・」
「まだ今日の夕食を食べて無いんです。そうだよね!パパ!」
父君の後ろから隠れていた進君が遠慮がちに顔を出した。
「迎えに来たわけではありません」
想定の人物を一人連れてきただけのこと。
まだしばらくいてもいいと告げると二人で安堵のため息を付く。
司様がもうすぐやってくると告げると、ピンと来たように進くんが手のひらを拳で一つ打った。
「お姉ちゃんを道明寺さんにやればいいんですね」
「やればって、進・・・つくしはものじゃないぞ」
「でもさ、道明寺さんと一緒の部屋って、肩こらない?」
「お姉ちゃんに任せた方が道明寺さんは喜ぶだろうし、この旅館貸切だから部屋はある訳でだしねッ」
「つくしがどう言うか・・・」
「この際おねえちゃんがどう思うかは関係ないの!」
私に同意を求めるような眼差し。
私が説得する必要もないと思われる展開。
牧野家の中には坊ちゃんの強い味方がいるのが心強い。
「よろしくお願いします」
そう頭を下げるだけで準備は整った。
「ーーーーーしだーーーーーッ」
あれは確かに坊ちゃんの雄たけび。
西田と私の名前を叫ばれた様な・・・。
歩かなくてもいい山道を歩かされれば叫びたくもなるでしょう。
あれからジャスト3時間。
時間に正確なのは仕事じゃなくても変わらないと確認。
私のスケジュール調整も的確だと満足する。
静けさを壊す坊ちゃんの声。
ブツブツと不満げな声が廊下に響く。
「ここまで来て一人ってやってられるかッ」
しばらくすると部屋がないと追い出されたつくし様が坊ちゃんお部屋に現れるはずです。
後は坊ちゃん次第。
幸運は自らの手でつかむものです。
ここまでのお膳立てを無駄にさせないでください。
代表・・・
幸運をお祈りしております。
拍手コメント返礼
ツックー 様
たまには西田さんも秘境の温泉で命の洗濯♪
罰は当たりませんよね?
アーティーチョーク 様
仕事をそっちのけになりそうな司をそうはさせないのが西田さんのお仕事?
じゃない筈なんですけどね。(笑)
この分でロスした仕事は倍で回収されそうですよね。(^_^;)
Gods&Death 様
お孫さんの世話とお盆と御疲れ様でした。
今週いっぱいはわが家はお休みモードなので週末明けから余裕ができそうです。
そろそろ子供の夏休みの宿題の手伝いもさせられそうな気が・・・(^_^;)
絵とか読書感想文の宿題って何であるのだろう。
西田さんの日記も今回は二部作になってしまいました。
書いてても楽しいんですよね。(笑)