恋の駆け引きは密室で 9

昨日UPの8話では、ここで終るの~次回を早く的な?感想をいただきました。

うんうんわかります。わかります。

でもまだ数話ではつくしちゃんが巻き込まれたトラブルの全貌はすべては解き明かせないかな?

ただ今の連載数は5つ。

5日に一度の割合じゃ待ちきれそうもないので続けてUPしちゃいます。♪

*

「俺達、しばらく距離をおこう」

「えっ?」

携帯の向こうで戸惑いを残す声。

「俺とお前の結婚への温度差あり過ぎだろう。考える時間をやるよ」

焦ってる牧野を想像して笑いそうになる声を、押しとどめてゆっくりと細く喉を絞って出す声。

そのまま牧野の返事を聞かずに通話を切った。

ヨシッ!

あいつはうろたえてすぐに俺の携帯に折り返して連絡を取るはずだ。

手の平に握りしめた携帯に視線を落とす。

1秒

2秒

3秒

鳴らねぇ・・・。

徐々に腰の高さから腕が上がって目の前まで持ってきた携帯を睨む。

普通すぐ返事くるだろうッ!

携帯に向って吐く毒。

俺達の関係が壊れそうだって意味があいつには通じなかったか?

あいつならあり得る。

鈍感だからな。

でもあの声のトーンは暗かったよな?

慌てて俺に会いに来てる途中とか?

執務室のドアの向こうに目を凝らす。

携帯を切ってから1時間が経過。

もう来てもいい頃だろうがぁ!

コンコンと聞こえたノックの音。

やっと来たか・・・。

フッとゆるみそうになった頬を引き締めた。

えっ・・・

西田?

その背中に牧野が隠れてねェよな?

「私の顔に何かついてますか?」

「いや・・・俺に連絡来てないか?」

「いいえ、この後は予定も入ってませんし、何方からの連絡をお持ちですか?」

腕時計で時間を確かめながらいつもの仕事モードの西田。

「ちょっと出てくる」

しばらくあいつを無視する計画。

もろくも崩れかかってる。

俺の予定通りに反応しない牧野が悪い。

ここはすぐさま事情を確かめるために必死になるとこだろうがぁ。

俺を愛してるなら!!!

どういうつもりか確かめないと気が収まらない。

牧野の家の社宅。

家の近くまでは幅の広い高級車は近づけない狭い道。

途中で降りながら足早に歩く。

ここで、牧野に会って大丈夫か?

2、3日様子を見るくらいできないと俺は総二郎やあきらにそれ見たことかと言われる気がしてきた。

思い返して方向を転換させて元来た道を引き返す。

「えっ?牧野と類・・・」

公園のベンチに並んで座る二人。

思わず物陰に身体を丸めて隠れた。

ここじゃ声が聞こえない。

類の渡した缶ジュースを受け取って大事そうに牧野が手の平に包み込む。

今にも泣き出しそうな牧野。

慰めるように優しく牧野の肩に類の右手が触れる。

おい!類!バカッ!それ以上牧野に近づくな!

上がりそうになる腰をグッと地上に引き戻す。

俺の連絡の後、大学で類にあって、牧野が類に相談。

・・・・で、今の牧野は泣きそうな悲しい表情を浮かべてる。

上手くいってるって事だろう。

まて・・・

牧野を泣かせたら許さないって類は言っていたよな?

いや・・・

類は俺が本気で牧野と別れようと思ってるとは思ってないことを知ってる。

俺から牧野を奪うなんてことは絶対にあいつはしない。

おーーーーっ。

類の身体が動いて牧野を抱き寄せた。

慰めるように類の手のひらが牧野の後頭部を撫でる。

「大丈夫だから、俺に任せて」

類の唇がそう読み取れた。

我慢の限界。

「ママ、あの人なにしてるの?」

物陰から飛び出そうとした瞬間に歩道から聞こえてきた子供も声。

「気にしちゃダメ」

パタパタと急いで立ち去る足音。

この俺様が変質者と間違われてるじゃねェかッ!

クソッ。

あいつら、どこに行った?

目を離した隙に牧野と類の姿は公園から消えていた。

拍手コメント返礼

かよぴよ様

司君が恋の駆け引きだなんて~似合いません!

この題名に一番似合わない二人に駆け引きを仕掛けたらどうなるのか?

この発想からこのお話ははじまったんですけどね。

駆け引きしてる場合じゃなくなってます。

りん 様

司君の作戦がうまくいきはずはないと、たいていの人は分っていたと思うんですよね。

思ってないのは司君だけ!