迷うひつじを惑わすオオカミ 35

人目を気にしないデリケートのなさ。

それは代表じゃなくてあなた。牧野つくしでしょ!

「道明寺から告白された?」

デリカシーの欠片もない質問。

「告白されなくても私のこと熱く見つめるから、私を見る目で分るわよ」

「おい!勝手にカン違いするな!お前なんて見てねェぞ」

焦った様に代表が大声を上げる。

カン違い・・・カン違い・・・カン違い!!!

カン違いしてるのは代表じゃないんですか!

私を見つめる秘書課の女性社員。

私のこと心配して見つめてる。

「朝まで道明寺と一緒で疲れさせられて、朝まであたしを離さないから 寝不足でクタクタで辛い身体に鞭打って、しぶしぶ塚原さんに付き合って来たのに」

一気にまくしたてる牧野つくし。

それって・・・

え?

視線があった秘書課の女性社員が顔を赤らめて皆、壁とか天井、床に視線を落とす。

うそーーーーっ。

しょうがなく付き合ってたってそんな関係になることもあるわよね。

代表だって男なんだから。

「それに…返してってなによ!

返すも何も道明寺は私のなんだから」

「いい! 耳をよ~くかっぽじって聞きなさいよね!

道明寺は始めから、あたしの男なのよ!

誰にも渡たすつもりもないし、この男の初めても、あたしなの!

わかったら、とっとと出てけ~! 」

私の知ってる牧野つくしじゃない!

牧野つくしは女子にも男子にも好かれてて、クラスの中心で賑やかだったけど、それは小学校の流れみたいな子供のノリ。

人気のある男の子はみんな私のことが好きで私の方が勝っていたはず。

この私がどうして牧野つくしに負ける?

「牧野」

目の前で代表が牧野つくしに背中から覆いかぶさるのが分った。

それは怒るわよね。

私の男宣言されて言われたまま喜ぶような男性じゃないもの。

プライドも超一流のはず。

・・・

・・・・・?

え?

なんだか代表の御尻にグルグルと大喜びにシッポを回すのが見える気がする。

ついでに耳が生えて長い舌でペロペロと牧野つくしの顔を舐めつくすようにみえる。

獲物を掴めて有頂天なオオカミ・・・

「お前は俺が愛した女だ。やっぱすげーよ」

「ちょっ、道明寺、なにはしゃいでんの?」

「俺はお前のものだしお前は俺のものだ」

「お前がそんなこと言ってくれると思わなかったからすげーうれしい」

私の好きになったクールにカッコよく決めてる代表はどこ?

もう立っていられない。

そんな代表が好きなんじゃないわ。

「塚原大丈夫か?」

私を力強く抱き起して心配そうに覗き込む瞳。

ゆっくりとその瞳にすがる様に伸ばした指先を大丈夫だと言う様にギュッと木崎君の手の平が包み込む。

この悪夢から連れ出してくれるのは貴方も知れない。

牧野つくしじゃなくて私のことを木崎君は好きだったのかも。

牧野つくしに発情できちゃうような代表に私の魅力は理解できなくても仕方ない。

お願い!

私をここから連れ去って~。

地に足がついてない。

舞い上がってる。

有頂天な道明寺。

それ以外のこの部屋の住人は私と目を合せないように視線を外す。

背を向けた西田さんが見える。

その背中は僅かに震えてる。

「俺はお前のものだしお前は俺のものだ」

「お前がそんなこと言ってくれると思わなかったからすげーうれしい」

私の背中に乗っかる様に道明寺が覆いかぶさって来るからよろめく身体を立て直すのに必死だ。

ふらつきながら目に飛び込んできたのは木崎君に抱き着いてる塚原さん。

「ちょっ、塚原、力抜け」

塚原さんの上に木崎君が倒れ込むのが見えた。

そしてその木崎君の首にしっかりと腕を回す塚原さん。

「ごめんなさい、幸せはすぐ傍にあったのね。気が付かない振りをしてたんだけど木崎君も私嫌いじゃないから」

え・・・と・・・

標的は道明寺から木崎君に移った?

「牧野、俺はお前のものだ」

私に抱き着く道明寺の力が数倍に膨れ上がってる。

「そんなこと、私、言った?」

「ああ、ここにいるみんなが証言してくれるはずだ」

嬉しそうな道明寺。

道明寺の言葉に何とも気まずい表情があちらこちらで赤く染まる。

覚えてない・・・

私何をしでかした?

言わなくてもいいようなことを言ったような・・・

塚原さんの態度にムカついた。

いきなり道明寺にキスされたことも驚き。

いやこれは驚くところじゃなくて恥ずかしかっただけ。

塚原さんが道明寺が自分ことを熱く見つめるとか言い出したあたりから完璧に爆発しちゃってんだよ。

道明寺の喜びと周りの秘書課の社員の態度を突き合わせるととんでもないことを言ってるのは分る。

私が道明寺のもので・・・

道明寺が私のもの?

記憶・・・

真っ白・・・

「もう一度言えよ」

「言えるわけないじゃん」

命令口調は相変わらずだが甘ったる声。

何言ったか覚えてないものが言えるわけない。

覚えていても正常な私なら言わない思う。

「もう・・・本当に二度と来れないよ」

出来るならここにいる全ての人に記憶を消去してもらいたい。

「俺、お前を本気で怒らせることは避けるわ」

「道明寺ッ!」

からかい気味の道明寺の胸を叩くように上げた拳は直ぐに道明寺に捕まれてしまって胸元に引き寄せられた。

「お前が言わなくて見ようと思えば何度でも見れるけどな」

道明寺が見上げた壁の天井。

そこから私たちを捉えてるレンズがキラリと光った。

防犯カメラ・・・

「あいつ等にも見せるかな」

「俺がお前にどれだけ愛されてるかの告白みたいなもんだしな。

俺一人で見るのはもったいないよな」

二ンマリと口角を上げる道明寺が悪戯な視線で私を見下ろす。

あいつ等って・・・まさか・・

ぎゃーーー。

記憶より先にその画像削除!

拍手コメント返礼

メガネちゃん様

このお話を盛り上げてくれて塚原劇場もそろそろ終焉ですよ~ん。

なんだか寂しい・・・(^_^;)

某所で盛り上がったトーク

暴走列車はパワーアップしちゃってるから私のパワーもアップしちゃってます。

still・・・ 様

そうそう、映像は永久保存版。

つかさ君は高笑いでつくしちゃんは泣く~

なる 様

ダビングテープどの位になるんでしょう?

再生用 配り用 もちろん保存用。

結婚式で流されたらどうなるのかな~。

Jackie 様

拍手100回いただきました♪

ありがとうございます。

カメラ映像リプレイされたらつくしちゃんどうなるんでしょうかね。

うさこ 様

激レアで、映像まで残ってて~

確かに司が一番得したのかも♪

ゆきこ 様

浮かれポンチ~

このコメに爆。

浮かれすぎると後で損することになるかも~

やっとこれで司も無事につくしの元へ。

木崎君はどうなるかなぁ~

アーティーチョーク様

これで塚原さんもやっと沈下。

高い代償をはらったのはつくしちゃんかも。

花より男子大好き様

塚原さんとの攻防は終わっちゃいましたけどね。

この後ですよね。

つかさ君とつくしちゃんの攻防。

逃げられなきゃいいんですけど。

つくしちゃんをマジで怒らせたら怖いから~

瑛里 様

司の後は木崎君にレッドカード、一発退場で排除してほしいような、それともまだ踏ん張って欲しいような・・・・

仕事しないな・・・

たぶん西田さんの頭の中はすでにスケジュールの調整に入ってると思います。

みわちゃん様

ここまでくると、もう知らんって言いたくなりますよね。

木崎君どうなる?

カメラの映像見せられたらつくしちゃん何の抵抗も出来なくなるかも。(^_^;)

まちゃこ 様

ここまでくると常識じゃ計り知れない危ない人ですよね。

よっぽど暗黙に惚れてくれる人じゃないと塚原さんには付き合えないと思います。

木崎君の正体も秒読み開始かな。

Gods & Death 様

木崎君にはバシッと切って欲しですね。