ウエディングベルは二度鳴らす 22

おはようございます。

1週間ぶりのご無沙汰でした。

うちの更新は月曜日?的な状況になってしまいましたが、今日からいつも通りに更新していきたいと思ってますので

どうぞよろしくお願いいたします。

新相棒はようやくWindows 8になりました。

まだ慣れたいんですよね・・・(-_-;)

「いちゃいちゃしてんじゃねぇよ。目を離すとすぐこれだ」

片手はポケットに突っ込んだまま不愉快な感情はそのまま声になる。

ぴくんと一瞬動いたあいつの背中がくるっと勢いよく回って不機嫌な表情が俺を見つめる。

この状況で怒っていいのはおれだけじゃねぇのかよ。

「意外と道明寺さんもイチャイチャしたいんだ」

つくしに向けた視線の先でその声は響いてきた。

「誰もそんなこと言ってねえだろう」

つくしに向けた声よりももう一回り不愉快さが声を包み込む。

「俺にはイチャイチャしたいって聞こえたんだけどな」

指で顎を支えながらわざとらしく考え込む表情を作ったのは松岡公平。

ほんと、癇に障るやつだ。

「公平!」

余計なことは言うなの意思を込めた牧野の声は絞り出すような小さな声。

別につくしに文句を言われたいわけじゃないが、俺じゃなくつくしの気がこの男に向かったことも気に食わない。

「みんな、見てるから・・・

ここは冷静にいこう」

松岡と俺との間に壁を作るつくし。

「いたって、俺は冷静だよ」

伸ばした腕は松岡からつくしを遠ざけるように腰に巻き付けて華奢な身体を抱き寄せた。

「あいつに何を渡された?」

耳元に寄せた唇は息を吹きかけるように声になる。

真っ赤になった耳たぶはそのま俺の唇から逃れるように首を回す。

重なった視線の先でキョドッた落ち着きのない瞳に俺が映り込んでる。

「何って・・・」

「なにか受け取っていただろうが」

画像では確認できない手の動きはしっかり何かを受け取ってた。

隠すんじゃねぇよ。

嘘は直ぐわかるかなら。

正直に白状しろと目で脅してる。

「あれは、つくしが落としたのを拾って渡しただけですから」

「そう、拾ってもらっただけで何も受け取ってないから」

松岡に同調してしっかりとした口調でつくしが言葉を返す。

「てめぇには聞いてねぇよ」

つくしが息を吹き返すバトンを渡すこいつが気にくわない。

「何を落とした?」

ぎょっとなった表情は俺を見つめたままぱくぱくと息をはくだけで声にならない。

「言えないのか?」

「え・・・っ・・・言えないわけじゃないけど・・・」

「見せろ」

「なにを?」

「お前が落としたもの」

数秒の沈黙が微妙な空気が俺とつくしの間に流れ込む。

「ここで渡すの・・・?」

「後で見せられても俺の機嫌は直らねぇぞ」

催促するようにつくしの目の前に手をさしだした。

「見たら機嫌は直ると思いますよ」

ククっと笑みをこぼす松岡公平につくしがキツイ視線を投げる。

「ほら、見せろよ」

手のひらを上下させてもう一度催促。

躊躇を見せて動いたつくしの指先はそのままバシッと勢いよく俺の手のひらと重なった。

「どけろ」

「え?」

「手をどけねぇと見えねぇよ」

「・・・」

ゆっくりと動くつくしの指先はじれったいとしか言いようがない。

つくしの指が俺の手のひらから離れる前に親指と一人差し指でつまんで目の前に近づけた。

あっと小さく聞こえた声は直ぐに消え去って聞こえなくなる。

「これって・・・」

指先に輝く黄金色のカード。

書かれた文字はこのホテルの名前と四ケタの番号。

ルームキーだとすぐにわかる。

まさか!

このキーを松岡に渡されたとか?

つくしがホテルのキーを持ってるわけがないと思う違和感。

「言い訳してるんじゃねぇだろうな」

リザード級の冷ややかな視線を射る相手は松岡公平。

動じない視線はじっと俺を見つめたまま一瞬たりとも動かさない。

「おっ」

爪先立ちのつくしがの腕が俺の襟首をつかんで強引に俺を振り向かせる。

鼻先の触れ合う距離でつくしが大きく息を吐いた。

「この後、つつつ・・・」

つ?

つってなんだ?

「この後、司と一緒にいたいなって・・・」

目の前で茹で上がったつくしが必死につぶやいたのは道明寺じゃなくて俺の名前。

思わぬ意外性に俺の思考が止まる。

聞き間違いじゃねよな?

それにこいつから俺を部屋に誘ってるわけで・・・

俺と牧野・・・

二人の時間が止まった気がした。