DNAに惑わされ 57

おはようございます。

純粋無垢に進みすぎてるような駿君の恋バナ。

なんとなく何か起きないかなと思ってる私。

ネタ!出て来いやぁ!!!!!

ただいま頭の中に何も落ちてこない・・・(;^ω^)

困ったもんだ。

「駿!助けて~」

修学旅行で浮かれて跳ねてた蒼を現実に引き戻す期末試験。

1週間前に迫っている。

「テストに出そうなとこを予想してくれ」

「テスト範囲を全部覚えろ」

こんな会話を繰り返しては「駿~様~」と蒼が泣きついてくる。

その結果なぜか僕のマンションの部屋の前に期末テスト対策本部と張り紙が貼り付けられた。

蒼・・・まだ本気で勉強しようと思ってないだろう。

メンバーには鮎川に蒼についでのように青葉もなぜか混じってる。

ちょと遅れると伝言を残して先に帰った鮎川。

青葉も今日は用事があるとかで行けないと断ってきた。

蒼がいなければ・・・

僕と鮎川が二人で・・・なんて・・・

思い浮かべた言葉が蒼の声で聞こえた。

「それくらい思ってるよな?」

さっきよりはっきりと届く蒼の声。

「邪魔ってわかってるんだ?」

「駿・・・」

立ち止まった蒼が呆然と僕の名をつぶやく。

そんなに悲しそうにするな。

「冗談だよ」

本気で思っていたことは一応隠す。

鮎川と二人っきりになったらそれこそ勉強どころじゃないって思うから。

鮎川から目が離せなくなりそうで・・・

話したくて・・・触れたくなりそうで・・・

僕だって健常な思春期。

異性を意識しないほど悟った生活を送れるわけない。

蒼がどうしようもない18禁のやつ持ってくるからいけないんだぞ。

このまえはわざとソファーの下に置いて帰ったろう!

それも鮎川がいつも座る場所の下。

先に見つけた僕はその18禁を何食わぬ顔で蒼の鞄に突っ込んだ。

鮎川に見つかっていたらどうなっていたか・・・

冷や汗ものの10数秒の出来事。

何気に下げた視線の先が捉えた女性の裸体の画像。

二度見したのは言うまでもない。

身体を微動ださせずに腕を伸ばすのは至難の業座。

この時ばかりは蒼の悪戯を本気で恨んだ。

「おい!あれなんだ!?」

突然グイッと蒼が僕の顔を左上に持ちあげた。

なんだと質問されても空に浮かぶのは一直線に白く伸びた飛行機雲。

昔父さんが母さんに描いた文字。

東の空に描かれた『Love Tsukoshi』

飛行機雲を見てそれを思いだす今の僕と同じころの両親の姿。

結構二人の恋愛を僕ら子供は刷り込まれてると思う。

「大事なところで間違ってるんだから」

いまだにその時のツコシと間違えたミスを母さんは嬉しそうに話すんだ。

父さんは父さんで間違えたのは俺じゃなくパイロットだって言い張ってる。

パイロットは指示されたとおりに書くって思うけどね。

UとO・・・間違えそうと思えば間違えなくもないのかな?

あのころの父さんはどれだけ母さんのことを思にながら日本を離れたのだろう。

「ただの、雲だろう?」

くすぐったい思いを胸の奥で感じながら顔をもとの位置に戻そうとする。

「よく見ろ」

「よく見ても一緒だろ?」

わざと僕の視線を空に向けたままにしたいような蒼の強引さ。

蒼の腕を振り切るように身体を揺らして反動をつけて振り切った。

180度回転した身体は交差点の向こう側の歩道に僕をくぎつけにした。

鮎川・・・

呼びかけそうになった声はやさしく微笑みを浮かべる横顔に唇の動きが自然ととまる。

スーツ姿の若いサラリーマン。

立ち止まって話してる雰囲気は鮎川にしては珍しく心を許してる感じに見える。

知り合い?

それよりももっと密な関係に見えて心臓がチクッと痛みを覚えた。

「友達かな?」

友達と呼ぶには5歳くらいは年が離れてるきがする。

友達と呼ぶ年齢差には思えない。

蒼がどうして僕の顔を空に向けたかったのか・・・

僕が気にするんじゃないかって思ったからだよな?

「鮎川の親父さんの知り合いとか?」

「どうかな・・・」

妥当な答えを僕たちで話してもそれは憶測で・・・

意味がないことで・・・

それでも無難な答えを探してる。

「聞くほうが早い」

点滅し始めた信号機を無視するように僕は交差点を鮎川を目指して駆け抜けていた。