門前の虎 後門の狼 10

一気に一緒に住むことになるのかどうか・・・?

それは司の腕次第!

F4が結束すればつくしちゃん対抗できないような気がします。

類に丸め込まれるとか?

あったらおもしろいだろうな。

一つここで小話で楽しんで本編をお読み下さい。

「俺も牧野の部屋に遊びに行くから」

「どうして類が来るんだ」とムカつく司。

それに牧野の部屋じゃなくて俺と牧野二人の部屋だろ眉を吊り上げて司は類を睨みつける。

「今までだって牧野家にはよく遊びに行ってるから問題ないでしょう」

「そういう問題じゃねぇだろう!俺だって牧野んちに数えるほどしか行ってねぇんだぞ!」

と指を折って片手で足りる司。

「俺がいない時は牧野を頼むって頼んだのは司だから」

「俺たちは牧野に変な虫が付かないように司に言われたことを忠実に守ってるだけだよな」

総二郎とあきらも類の肩を持つ態度を見せる。

「俺たちの新居には誰も来るな!」

最後は切れて怒鳴る司をにんまりと眺めるF3に頭を抱えてつくしが床に座りこんだ。

まだ一緒に住むッていってないのにッ!

え・・・?これ・・・なに?

「勝手に決めるな!」

そう叫んで道明寺の会社を飛び出した二時間後、すぐに家に戻る気にもなれずに遠回りしてようやく戻る。

帰ってきた娘に両親は驚いた顔でお帰りの言葉もなかった。

その怪訝な顔に気にも止めずに落ち着かないままに自分の部屋のドアを開けて目を見開いたまま力が抜けてポトリと手に持っていた

鞄を畳の上に落としてしまった。

古びた小学校から愛用の勉強机・・・

たくさん並んでるはずの教科書に参考書に六法書が綺麗になくなってる。

まさか生活苦で売れるものはすべて売ったとか?

私の私物であふれていたはずの部屋は軽くなってる気がする。

「なんで、おねぇちゃんがいるの?」

私の後ろに立つ進の気配。

振りかえった私が見たのは両手いっぱいに漫画を持って立つ進。

「今日からこの部屋は僕がもらうから」

にっこりとご機嫌な笑みを進が私に向ける。

「ごんっ」

割といい音が響いた進の頭。

「なにすんだよ」

頭を押さえて座りこむ進に「100万年早い」と言葉を投げ捨てた。

「おねぇちゃんどうせこの家から出るんだろ」

ジンワリと涙をためた瞳が私を見上げる。

「もしかして・・・私の荷物って・・・?」

「道明寺さんの使いだっていって引っ越し業者が来てつくしの荷物は全部運びだしたわよ」

「なにそれ?」

道明寺のやつ先手を打つにしても早すぎだよ。

早く帰ってこなかった自分に腹が立つ。

「どうして、勝手に運ばせたのよ」

「だって、道明寺さんだぞ」と「だって道明寺さんよ」のパパとママの声が重なる。

「つくしが大学を卒業すれば結婚するんだし、パパたちは反対する理由なんてない」

「理由あるでしょ!嫁入り前の娘だよ」

「外泊してるのに?」

え・・・っ?

まっすぐに娘を見つめる親の真顔。

非難するわけでもないきょとんとした当たり前の表情で親に外泊を言われるのも気恥ずかしい。

「ほら、一緒に暮らしてみてわかることっていうのもあるから。

物は試しに一緒に住むのも悪くないってママは思うのよ。いやなら帰ってくればいいんだし」

「つくし・・・」

ギュッとママが私の両手を掴む。

「どんなことがあっても結婚は我慢だから!

道明寺さんを逃がしちゃだめ」

いやなら帰ってくればいいのって言ってなかった?

その言葉はどうなった?

「玉の輿~♪」

パパとママと進が浮かれてる。

コタツの周りを扇子を振りながら跳ねてる感じに盛りあがってる。

「あっ!これ新居の住所」

ママが思いだしたように私にメモを渡す。

「絶対帰ってくるから進は私の部屋を使うな!」

私の声は無視するように宴が続いてる。

もう!うちの家族はなぜこんなに道明寺にすぐ介入されるのッ!

情けなくなるよ。

道明寺のやつ!

怒りのままに玄関のドアを開いて思いきり閉めて駆けだした。

住所ってここで間違いないよね?

メモの文字と建物の名前を見比べた私はその意外さに息を飲んだ。

高級マンションの最上階のイメージとは程遠いこじんまりした3階建てのマンション。

建てられたばかりの真新しさはある。

一般的なオートロックの入り口。

エントランスがあって・・・・

警備員がいて・・・

受付があって・・・

24時間職員が在住的な厳重さがないマンション。

3階の305号室。

3階建てでエレベーターが付いてるってことはそれほど安い家賃じゃないってことはわかる。

1DKとかじゃないよなぁ・・・

3階全部が部屋とかだったりして・・・

ドアの前でもう一度息を飲んでインターフォンに指先を伸ばした。

ボタンを押す前にガチャリと開くドア。

思わず前のめりになりそうな身体を必死で立て直した。

「一緒に暮らさないと啖呵をきった割には早かったな」

ドアを開けた道明寺は横柄にそうつぶやく。

ドアの前で待っていたといわんばかりにドアを開けた道明寺には言われたくないつーの。

「あんたが、人の下着も服も、パジャマまで持っていったからでしょう!」

「本当は捨ててもよかったんだけどな。

あんな色気のねぇパジャマで俺に迫るなよな」

クマさんパジャマ気にいってんだから!

それに誰が迫るか!

ずかずかと入りこんだ部屋の中は意外と狭かった。

それは道明寺の家と比べてのことでリビングだけで30畳の3DLのつくり。

二人で住むには贅沢な広さ。

「せっかく二人で住むんだから邪魔されたくないだろう。

牧野が一人で掃除とかできる小さな部屋がいいだろうってあいつらが言うから、この部屋を選んだんだけどな、どうだ?」

全然私には相談もなく決めといて今頃聞くんだ。

どうだって聞く態度も私が嫌だっていう答えは考えてない自信たっぷりの表情。

「私に全部させる気?」

道明寺の自信たっぷりな表情が一瞬崩れる。

「ここには使用人はいないんだから、掃除も洗濯も料理も二人で折半だから!それが嫌なら一緒に暮らすのはなし。

まさか道明寺は自分の世話も全部私に押しつける気じゃないわよね?」

一気にまくしたてた私をじっと道明寺が見つめてる。

道明寺が口を挟めない感じに言いきった。

生まれた時から全部使用人がやってくれる生活に浸りきってる道明寺には耐えられるわけないもの。

これなら道明寺も三日も持たないだろ。

どうだ!

心の中で私はガッポーズを作った。

拍手コメント返礼

ゆみん 様

つくしちゃん手綱とれたのでしょうか?

微妙な気もしますけどね。