恋をいたしましょうⅡ

恋をいたしましょうの8話からの分岐のお話です。

恋をいたしましょうをお読みになった方は9話目からどうぞ♪

☆恋をいたしましょう


1話:こいをいたしましょう

作:しぎりあさん

-From 1-

『合コン相手募集中!僕たちと楽しい時間を過ごしませんか?

当方、皇帝陛下のお覚えめでたい将来有望な美丈夫ぞろい 三隊長+1』

「みぃぃぃたぁぁぁんん!」

 地獄の底からのような凶悪な声で、ルサファが兵舎の戸口にたった。

手には、文字の書かれた木札を持っている。

「よう、ルサファ。風邪か?声がヘンだぞ」

 ミッタンナムワが、脳天気に振り返った。

机の上には、ルサファが握りしめているのと同じような木札が積み上げられている。

めざとくそれを見つけると、ルサファはミッタンナムワの胸ぐらを掴みあげた。

「おまえか!おまえなんだな!?」

「おいおい、俺以外の誰に見えるっていうんだ?」

怒りに、ルサファが口をぱくぱくさせていると、今しがた入ってきた扉が轟音とともに吹き飛んだ。

「ミッタンナムワァァァ!!」

スピード自慢の戦車隊隊長、カッシュだ。

戦車に乗っても速いが、足で走っても速い。

健脚で扉を蹴り壊して入ってきた。

「これは、なんだぁぁ!!」
 木札を突き出す。木札には楔形文字だけではなく、らぶりぃな花模様まで描いてある。
「なにがって・・合コン相手募集案内だ」
「カッシュ!?それをどこで?」
「王宮東の廊下つきあたりの、お知らせ掲示板でだ」
 言ってから、カッシュはルサファも同じモノを握りしめているのに気づいた。
「・・・これは、城門そばの掲示板に貼ってあった」
「王宮内のすべての掲示板に貼りだした。これから、市街の掲示板にも貼ろうかと・・」
「やめろぉ!!」
 同時にくり出されたパンチとキックをよけながら、ミッタンナムワは豪快に笑った。
「おいおい、照れるなよ。こいつは陛下の勅命でもある」
「勅命!?」
 思わず、ぴんと背筋が伸びたが、皇帝が合コン命令を出すはずがない、と思い直し、歩兵隊長をにらみつけた。
「忘れたのか?陛下は『子孫を残し、我らの子孫に永く仕えさせよ』と、おっしゃった。ユーリ様も立后され、無事ご懐妊となった今、我々もそろそろ、身を固めるべきではないか?そこで、だ」
 ミッタンナムワは、制作中の木札を掲げた。
「合コンをして、結婚相手をみつける!!」
 べつに合コンでなくても、他にいくらでも手段はありそうなものだが。
「だからって、掲示板にこんなもの貼る必要があるのか?合コンってのは、誰かの彼女の知り合いとかを紹介してもらえばいいことだろう?」
 カッシュがうなる。みょうに詳しい点が、ちと不審だ。
「だーめだ」
 ミッタンナムワが、ちっちっと指を振った。
「ここに、いるやつで、彼女持ちはいるか?」
 がーん。いなかった。さっきまでの怒りもどこへやら、しんみりしてしまう。
「気にするな(あんたに言われたくない・・・)軍隊ってのはむさ苦しい男ばっかりで、出会いの機会がない場所だ。だから、合コン」
 言われてみれば、なんとなくミッタンナムワが正しいような気がしてくる。
「合コンはいいとして、三隊長+1ってのは、なんだ?俺たちの他に、誰かいるのか?」
 ルサファが口にする。まさか、キックリじゃないよな。双子で手一杯のはずだし。それとも、イル・バーニ!やばい、口のうまさで人気独り占めされるかも・・・(けっこう真剣に考えている)
「おまえは、+1のほうだ」
 ミッタンナムワがあごで示す。机の向こうの方で、まったく目立たずにシュバスが木札に花模様を描き込んでいた。
「・・・シュバス・・・」
「こいつは、どうも人が良すぎて、女から最後には『シュバスっていい人だけど、友達以上には思えないの』と言われちまうタイプだ」
 ミッタンナムワの言葉を聞くと、新弓兵隊隊長は、筆を取り落とし机に突っ伏した。
・・なにか、つらい過去でも思い出したのだろうか?
「と、いうわけで、合コンをし、新たに出会い、燃えるような恋をして、一気にゴールインしてぼろぼろ、子供を作る」
 完璧だろう。ミッタンナムワが胸を張ると、シュバスがつっぷしたまま拍手を送った。
「・・・こ・・い・・」
 ルサファとカッシュは、ミッタンナムワの口からあまりにも似合わない言葉が出たので、呆然とした。
   


2話:盛り上がらなくて、どうする!?

作:しぎりあさん

-From 2-
「た、大変です!ミッタンナムワさん!!」
 シュバスが走り込んできた。
「さん、はいらねえ。おまえも隊長だろうが!」
 ったく、落ち着けよ。ぶつぶつ言いながら、ミッタンが振り返る。鉄剣の手入れ中で、ぴかぴかに磨き上げた刀身に自分の姿を映して悦に入っていたところだ。
「すみません・・でも、大変なんです!」
「なにが?」
 鏃を矢柄にくくりつけていたカッシュが顔をあげた。
「合コンの申し込み、来たんですよ!」
「ええっ!?」
 同時に声があがる。もちろん、ルサファもいた。
「どんな、女だイケてるのか?」
「イケてるも何も、元老院議員のお嬢さんがたですよ!!」
元老院議員のお嬢さんが、なんで掲示板を見るんだ?」
「・・・父親の差し金だな」
 なんといっても、現皇帝のお覚えめでたい側近である。娘を嫁がせたいと願う議員がいても、おかしくない。
元老院議員のお嬢さんなんて、身分が高すぎます。一晩遊んでポイなんてわけにはいきませんよ~」
「・・・シュバス、お前いいひとなフリして悪人だな」
 そうか、身分が高くて、美しい(かもしれない)深窓の令嬢などにお目にかかる機会は滅多にない。ミッタンは、不敵に笑った。
「俺は、陛下やルサファと違って女には乗馬能力や、剣の腕前や、気の強さなんて求めない(別に、二人が求めていたわけではない)、むしろ、カッシュのように胸のでかい女が好きだが、とくにそれにこだわるつもりもない。ただ、軍人として、帰るべき家に安らぎをもたらしてくれる女がいい」
「それと、燃えるような、恋、です!」
 うっとりと、シュバスが言った。 
  

3話:予想通り

作:しぎりあさん

-From 3-
 いやがるカッシュとルサファを説き伏せて、なんとか日にちのセッティングも済ませた。あとは当日の頑張りだ。
「ミッタンナムワさん、この服地味じゃないでしょうか?」
 シュバスが、いつもと全然変わらない服(少し上等かも知れない)を見せる。
「いや、似合ってるよ」
 性格の地味さに。ミッタンは頭を磨きながら適当に応える。
 カッシュとルサファは不満そうに、それでも装身具を磨いている。
 相手は元老院議員のお嬢さん。相手にとって不足はない、とはこのこと。
「ねえねえ、聞いたよ!!」
 叫び声と共に、飛び込んできたのは、皇后ユーリだ。
 あわてて室内のものが立ち上がる。
 ユーリはぴょんぴょん飛び跳ねながら(確か、懐妊中)嬉しそうに言う。
「あなたたち、合コンするんだって?」
「ええっ、どこでそれを!?」
 ユーリはいつぞやの募集広告を取りだした。
「噂になってるし、これも見つけたの!!」
「ユーリ様、私は決して・・」
 ルサファが言おうとしたが、ユーリはひらひら手を振って言葉をとめた。
「いいのいいの。でね、相談なんだけど・・・あたしも合コン、出ていい?」
「いけませんっ!!」
 同時に叫んだ。そんなことが皇帝に知れたら、どうなるか分かったもんじゃない。おまけに、しつこいようだがユーリは妊娠中だ。
「大丈夫だよ~カイルには黙っとけばわからないし。それにね、あたし女の子で出るんじゃないよ、男として出る!!」
「はあ・・」
 合コンに男として出てなにがあると言うのだろう。なにかあっても困るが。
「あたしね~合コンしたかったんだ~女子大生になったら!!でも、こっち来ちゃったでしょ?アバンチュールとか出来なくて・・」
 遠くに目をはせながら語り、急に服を取り出した。
「イル・バーニから服借りたの!!見習い中の書記ってことにして!!」
 イル・バーニ、なんで服なんか貸すんだ。4人はめまいを感じた。 

4話:合コンのお勉強

作:ポン子さん

-From 4-
「さぁ、これで準備はできたわね。」
ユーリが張り切って言う。
「はい、ユーリ様。」
4人が声をそろえて言う。
「ちょっと、ちょっと、私は男として合コンに参加するんだから、ユーリ様はやめてよね・・・。そうねぇ、ユーリをさかさまにして、リュウ。うーん、リュウじゃ平凡すぎるから、リューイにしよう。わかった?リューイよ。」
ため息まじりにミッタンナムワがつぶやく。
「また、一人で目立とうとするんだから・・・。平凡なほうが我々にとっては都合がいいのに・・・」
「ん?なんか言った?ミッタンナムワ?」
ノー天気にユーリが聞いてくる。
「・・・いいえ、何も・・・。ハァ~。」

いざ出陣!!という所で、ユーリが大きな声を出した。
「そうだ!!」
「ちょっとみんな、合コンの盛り上げ方ってちゃんと知っているんでしょうね?山の手線ゲームとか、席変えのタイミングとか・・・」
「???ヤ、ヤマノテセンゲーム・・・?何ですかそれは・・・」
シュバスが不思議そうにたずねる。
「ほらほら、言わんこっちゃない。よし、まだ待ち合わせまで2時間あるから、山の手線ゲームの特訓をするわよ!」
なぜかユーリがいつも以上に生き生きと見える・・・。
(こんなところを陛下に見つかったら・・・・かなりヤバイ・・・)

草むらで、5人が丸くなっている。
「いい?山の手線ゲームっていうのは、ひとつの『お題』があって、それに連想して言葉を続けていくゲームなの。で、詰まっちゃった人が負け、って言うやつ。わかった?」
「はぁ・・・。」
「じゃあ、やってみよう。お題は・・・『カイル!!!』私からね。」
パン♪パン♪
ユーリは一人ノリノリで手をたたき始めた。
しょうがなく、残りの4人も手をたたく。

パン♪パン♪「かっこいい!」(ユーリ)
パン♪パン♪「えらい」(シュバス)
パン♪パン♪「もてる・」(ルサファ)
パン♪パン♪「スケベ」(ミッタンナムワ)
パン♪パン♪「キスがうまい!」(ユーリ)
パン♪パン♪「強い」(シュバス)
パン♪パン♪「幸せそう・・」(ルサファ)
パン♪パン♪「ヤキモチ焼き」(ミッタンナムワ)
パン♪パン♪「テクニシャン!」(ユーリ)
パン♪パン♪「肩幅広い」(シュバス)
パン♪パン♪「うらやましい・・・」(ルサファ)
パン♪パン♪「人の目なんか気にしない」(ミッタンナムワ)
パン♪パン♪「床上手♪♪」(もちろんユーリ)
パ・・・・ン・・・・。
「。。。。。」
「ユーリ様・・。それはちょっと・・・。」
(はっ)←ユーリ
「ハ八、ごめんごめん、なんだか楽しくなってきちゃって・・・じゃあ、もう一度ね。」
「さぁ!次のお題は~~~!!!」
中庭にユーリの大きな声が響き渡る。
こうして、まだまだ、5人の山の手線ゲームは続くのであった。




5話:はめはずしすぎるなよ

作:あかねさん

-From 5-
「ユーリ様、そろそろお時間なんですけど・・・・。」
「あっ、本当!?急がなきゃね!・・・あっ、言葉遣い直さないと・・・。」
いちいち細かいことを気にしているユーリ。
ユーリ様がいた世界の合コンは、こんなに大変なものなのか・・・と、
四人はしみじみと思うのだった。

「あら、あなた方が陛下の御側近の方たち?まぁ、かっこいい!」
合コンの現場(街の酒場)につくと、綺麗なお姉さん達が待っていた。
みんな色とりどりに着飾って、めまいがしそうだ・・・。
「あぁ、まずは自己紹介?俺は、ミッタンナムワ!歩兵隊長だ!!」
磨きに磨いた頭が、ぴかぴかと光っていてまぶしそうだ。
「・・・・・ルサファ。近衛副隊長です・・・。」
ぼそっとぶっきらぼうなのは、元々賛成してなかったルサファ。
ただでさえいやなのに、ここにユーリがいるからもっと困っているのだ。
「シュバスです!!弓兵隊長やってます!!」
地味なわりに明るくでたシュバス。
「・・・・・カッシュ。戦車隊長。」
こちらも、あまりのりきではない。そして最後に・・・・・。
「あた・・・・ぼ、僕リューイ。よろしくねぇ!!」
一番乗り気なユーリ様。しかも一番目立ってる・・・・・・・。

姫君達の自己紹介も終わり(長い名前だから、省略)いよいよ本番。
「私、リューイ君気に入ったわ。みなさんはどお?」
「あら、私はルサファさんよ。それか、カッシュさんね!!」
「そぉ?シュバスさんも結構いいと思うけど・・・・・。」
ひそひそと、しかし聞こえるような声で姫君達はささやきあう。
「おい、姫君達にはユーリ様のことばれてないのか?」
「あぁ、そうだな。陛下が凄く心配している気がする・・・・。」
「なぁ、こんな所見つかったら・・・俺達やばいな。」
「陛下、怒りますかねぇ・・・・・。」
今四人の心の中は別の不安でいっぱいだ。
しかし、当の本人は・・・・・。
「「きゃ~ん。やっぱり合コンって楽しいじゃない。今度は女の子として出たいな。
  あっ。ギュゼル姫に頼んでみようかなぁ・・・・・。」」

そして、その頃の王宮は・・・・・。
「陛下、まだ政務が終わってませんので!!」
ユーリの合コン行きを知っているイル・バーニは、必死でカイルを政務室にとどめていた。

6話:口止め

作:しぎりあさん

-From 6
イル・バーニは焦っていた。
 カイルが、ユーリが合コンに出かけたことを知ったら。あまつさえ、自分の服を着て変装していった事を知ったら。
 イルとて、服など貸したくはなかった。けれど、ユーリには見られてしまったのだ。
 口止めとして要求されれば、従うしかなかった。

 秘密。
 イルの自慢のストレートヘア。
 薄暗い書庫に、書物をさがしに入ったとき、うっかり燭台の火が着いてしまった。
 幸い何本かがカーリーになっただけで消し止めた。が、しかし。その数本をナイフで切り取ろうとして・・・ばっさり。
 いまや、イルの髪はつけ毛である。留めてある、と見せかけて接いであるのだ。
 接いでくれたのはユーリ。
 床に落ちた髪の束を見て硬直するイル(どうやら短くなると、感覚が鈍るらしい)に気づいたユーリが、丁寧に束ねてつけ毛を作ってくれた。
「でも、ニセモノなのよね」
「ユーリ様、このことはどうぞ、ご内密に」
「いいよ」
 ユーリはにっこり笑った。

「どうして、私がユーリに会いに行ってはいけないのだ?少し顔を見るだけだ」
「陛下、急ぎの仕事がございます!!」
 ああ、こんなことなら。いっそ、つけ毛だとばらされる方が良かった・・・ 

7話:こまし

作:しぎりあさん

-From 7-
 イル・バーニが孤軍奮闘しているとき、何も知らないユーリはちゃっかり姫君の一人とツーショットになっていた。
 盛り上がりすぎた合コンメンバーはそのまま二次会の店に流れることになったのだが、姫君の一人だけが帰ると言い出した。
「じゃあ、ボクも帰るよ」
 ユーリも言った。なにしろ、一応妊婦なんだから夜遊びは良くないだろうし、そろそろ後宮に戻らないとカイルも帰ってくる。
「そ、そうしたらいい」
 三隊長+1は、内心安堵しながら同意した。しつこいくらいに、真っ直ぐ家に帰るように(王宮だが)念を押す。
「家まで送って行くね」
 姫君に言ったのは、やっぱり女の子一人で帰らせるのもどうかと思ったからだ。(自分も女の子なんだが)


「リューイさまは・・・書記見習いではありませんね」
 姫君が、ぽつりと言った。盛り上がる宴会の間も、ひとり大人しかった姫だ。静かにしていて目立たなかったが、そうとうな美人である。
「え?」
 やっぱり、服がぶかついていたせいかと、ユーリは思った。
 くすり。姫が笑った。
「だって、その香はとても高価なもの。書記見習いがつけられるものではありませんわ」
「そ、そう?」
 ユーリは香をたく趣味はないので、やっぱりこれはカイルの移り香だろう。
「そのような香は、皇族の方や・・・皇帝陛下」
「こ、皇帝陛下に会った・・お会いしたことがあるのですか?」 
「いいえ・・・遠くからお姿を拝見しただけ」
 姫君が、うっとりと思い出すような目をした。どうやら、この姫もカイルのファンであるらしい。
 ユーリは、姫を観察した。美人だけど、控えめで、おまけに胸が大きい。
 はっきり言って、かなりカイルが好みそうだ。
「姫は、陛下のことを・・」
「まあ、私ごときが陛下のお側にゆけるとは思っていませんわ」
 姫君が淋しそうに否定した。
 ますます、カイルの好みのようだ。大人しくて、胸が大きい。
 大人しくも、胸が大きくもないが、皇帝の寵を独占しているユーリはため息をついた。
「・・・貴女ならきっと、陛下もお気に召すでしょうに・・・でも良かった」
「・・え?」
「・・・貴女が、陛下のものにならなくて・・・」
 姫がユーリの顔をまじまじと見つめた。と、その美しい頬が朱に染まった。
「リューイさま・・私、ここで結構でございますわ・・送っていただいて、ありがとうございました!!」
 言うと身を翻した。
「あ!!」
 待って、のポーズでユーリが固まる。真っ赤になった姫君の顔。よく、考える。
(もしかして、私・・コマしてる!?)
 その通り!!がんばれユーリ、あと一押しだ!!(押してどうする?) 
 

8話:追跡

作:ひーちゃん

-From 8-
姫の後姿を見送りながら
ユーリは自分が急いで宮廷に戻らなくてはならないことを思い出した
「早く帰ろっと♪」
そうだこんなとこで女性をこましてる場合ではないーーー
とイル・バーニが居たら頭を抱えてるであろう
そんなイルのことなど思い出すはずもなく
「今度の合コンはいつだろうかな
出来たらおなかの目立たない頃までにもう一回」などと
ユーリは合コンが御気に召したらしくスキップ状態で家路を急いだ
「今度は王様ゲームでもみんなに伝授しなきゃ
でもこっちだと皇帝ゲームかな」
頭の中は次の合コンの企画でいっぱいだ
そのため警戒心まったくゼロ状態で自分の後をつけるふとどき者が居る事など
気づくはずもなく宮廷の門をくぐった
そのふとどきものはそれを確かめると
後をつけるように申し付けられたご主人に早速報告した
「宮廷に帰られました」
「やっぱりあの方は、どこかの国の皇子か皇室関係の方なのね」
はやくお父様に言って黒髪の黒い瞳の16~7才の男性のリストを作ってもらわないと」
そこには自分はリョーイほれられてるとすっかり信じきり、目を輝かせ
これからの恋愛ストーリにうっとりしている姫君がいた
なんと罪作りなユーリ






9話:第二段

作:ひーちゃん

-From 9-
そんな姫ぎみのことなど忘れてしまってるユーリ
3隊長+1名を前に作戦会議と題打って合コンの2日後に言った言葉は
「次の合コンの日取り1週間後だから女の子集めてね」
「えーーーまだするんですか?」
困惑気味のルサファを尻目に「あたりまえじゃん、みんなが
まとまるまでやるわよ」となぜか ファイトを燃やしてるユーリ
すでにみんな頭を抱え絶句状態
ルンルン状態のユーリがさっていったあと
残されヒソヒソ話をはじめる4人
「こうなったらとことんやってやる」とやけ気味のミッタンナムワ
「どこまでやるつもりだ」声を荒げて問い詰めるルサファ
「とにかくユーリ様が飽きてくださればいいんだ」それにお腹が目立ってくれば
変な事は出来なくなるしな、わはっははは」
高笑いで胸を張るミッタンナムワ
ほんとに大丈夫かーーーミッタンナムワ
と思う3人であった。

「私も参加するーーー」
突然の参加を表明したのは、アレキサンドラ王女
「お姉さまも参加するんでしょう?」
「どうしてそれを?」慌てるルサファ
「お姉さまに関する事なら何でもしってるわ」
胸を張るアレキサンドラ
実を言えばこの前の合コンからの帰り
そっと誰にも見つからず宮廷に帰ってきたつもりのユーリ
ユーリのストーカーもどきのアレキサンドラに書記官の姿を
見られたのだ
「ずるいは、みんなでお姉さまの男装を楽しんじゃって、
私も一緒に楽しみたい~」
別に楽しんでるわけでは・・・と思う3隊長+1人
悩んでる間に第二回合コン開催
ユーリが自分に気があると思い込んでる姫君VSアレキサンドラの
戦いははじまった
      


10話:もててる

作:しぎりあさん

-From 10-
「リューイさま、もっとワインをいかが?」
「あ、いやお酒はあんまり」
「リューイさま、こちらのナツメをどうぞ」
「ありがとう、もらうよ」
 両脇に姫君二人をはべらせて、ユーリのいる場所が盛り上がる。姫君のひとりは、前回ユーリに”コマされた”姫(仮に、コマーサ姫としておく)、もう一方はむりやり合コンに参加したアレキサンドラ王女(アリクスと名乗っている)である。
 会が始まるやいなや、二人は猛然とユーリの隣にダッシュし、べったりと寄り添う。 コマーサ姫にとってアリクス姫は、初対面からリューイにべったりのはしたない姫としか映らない。アリクス姫にとってコマーサ姫は、長年想いを寄せているおねーさまにべたべたするいやな姫にしか映らない。
 合コンで浮かれているユーリは、美女(?)二人に囲まれてちやほやされるので嬉しくてたまらない。
「どう、シュバス、盛り上がっている?」
 いつの間にか隅っこでぽつんと座っているシュバスに声をかけたりする。けっこう、いやな性格か?
「ねえ、元老院議員のご令嬢のコマーサさま、あの方にべったりね」
「ほら、どちらの姫君か知らないけどアリクスさまも、あんなに」
 姫君達は顔を見合わせた。
「もしかして、リューイさまって・・・」
「一見そうとはわからないけど・・・」
 声を潜める。
「本命タイプ?」
「そうだわ、違いないわ!きっと素晴らしく家柄が良くて、豊かで、おまけに親戚もうるさくない・・・」
「結婚するならこの男ランキング、№1の方なのよ!!」
 姫君達の眼が、ぎらりと光った。そう、遊ぶのもいいが、やはり将来のことを考えると本命くんを狙った方がいい。
「こちら、随分楽しそうですこと」
「私たちも、お話に混ざってもよいかしら?」
 とろけそうな笑顔でユーリのそばによる。
「・・・え?いいけど・・・」
 ユーリの両脇で新たなライバルの出現に、二人の姫君が鋭い視線を投げた。
 それをものともせず、本命狙いの姫君は腰をおとす。
「すごいなあ・・・」
「どうかされました、リューイさま?」
 心の底から、純粋にユーリは驚きの声をあげた。
「え、だって、ハットウサってホントにヒッタイトの首都なんだね。こんなに綺麗な姫がいっぱいいるんだもの」
「まあ!!」
「あなたの亜麻色の髪は本当にさらさらしていて綺麗だし、あなたの瞳の色って、翡翠みたい!」
 コマしだった。ユーリは、天然のコマしの才能に恵まれていた。
 いつの間にか女の子が周囲にいなくなった三隊長達が見まわすと、ユーリのまわりにはきれいどころの人垣ができていた。 

11話:楽勝

作:ともこさん

-From 11-
 「リューイ様!ぜひ今宵は私とともに・・・!」
「いいえ、リューイ様は私のリューイ様ですわ!」
姫ぎみたちはリューイ(ユーリ)の争奪戦で必死だった。
一方、姫たちのほとんどをユーリに取られてしまった三隊長たちは、唖然としながら
ユーリ達のほうを見ていた。
「ユーリ様にほとんどもっていかれてしまった・・・。」
「さすが皇帝陛下のお妃だ・・・。」
「しかし、ユーリ様とリューイが同一人物だとばれたら大変だぞ!!」
「それこそ合コンにユーリ様を連れ出したことが陛下にばれてしまう!!」
恐怖を感じた三隊長達はユーリの側に近寄った。
「リューイ。そろそろお開きにしないか?姫ぎみがたも遅くなると家のかたから怒られるだろうし。」
「ああ、そうだな。」
「えーーっ!!」
姫ぎみがたから一斉にブーイングが湧き起こった。

「私、嫌でございますわ。今宵はリューイ様と共に過ごしとうございます。」
・・・弱ったな。
三隊長達は心の中でそう思った。
「姫。リューイも姫ぎみがたともっと過ごしとうございますが、私はどうしても
いかねばならないので失礼いたします。」
「リューイ様。また私と会ってくださいますか?」
「ええ。また会える日を楽しみにしてますよ。」
(え?またやるのか???)
「では・・・。」
そう言い残しリューイ(ユーリ)はルサファとアレキサンドラ姫はカッシュ・ミッタンナムワ・シュバスとともに別々の経路で宮廷へともどった。
しかし、ユーリたちを後からつけていた者がいた。
コマーサ姫だった。
「リューイ様。コマーサはお慕いもうしております。
リューイ様を、私の婿君にお迎えしてみせますわ。」
コマーサ姫は燃えていた。

一方、執務室では・・・。
「そうだ!もうすぐユーリも子供を産む頃だな。」
「その前に宴でも開くか!! 元老院の議員たちや議員の家族達もまねいてなぁ!」
「それはよろしゅうございますな。ユーリ様やお生まれになる殿下も
お喜びになりましょう!」
「よし!イル・バーニ!通達をだせ!明後日、宴をやるから集まるようにとな!」
「ははっ!!」

そんなことともつゆしらず、ユーリは次の合コンをどうするか企んでいた。


12話:宮廷の宴

作:ひーちゃん

-From 12-
 突然の宮殿での宴の通達にもすぐさま国中の貴族たちが集まった。
その中にはもちろん愛しのリョーイを必死になって探すコマーサ姫の姿もあった。
「この宴は何でも陛下が妊娠中の皇妃さまのために開かれたらしい」。
突然の宴の開催理由があちらこちらでひそひそと飛び交っていた。
別に理由はどうでもいいのだが楽しい催しにはいつの時代も人は飛びつくもののようだ。
そのとき中央から大きな歓声が上がった。
中央の1段高い場所に美しく着飾ったユーリの手を引くカイルが姿を現し
宴は最大に盛り上がった。
「美しい」「さすがにイシュタル様だ」などなど賛美の声が上がる
その賛美の声の中にはコマーサ姫はもちろん合コンに参加したすべての姫君たちのものも含まれていたが、誰もリョーイ=ユーリの方程式を浮かべる者はいなかった。
ひやひやして参加してる3隊長を除いては・・・。


13話:もしかして

作:咲夜さん&ひーちゃん

-From 13-
「このたびは、イシュタル様の御懐妊まことにおめでとうございます。」そうやって、次々に宴に来ている人たちは、挨拶をすましていた。
その時、コマーサ姫もイシュタル様にご挨拶をと想いユーリ様に近づいて、ユーリの顔を見たとき・・・
「イシュタル様、おひとつお聞きしてもよろしいでしょうか?」と言った。
さすがにユーリ自身もあたりまえに、3隊長そしてイルもドキリとした。
 いつもよりもにっこりとほほ笑み、「なんなりと」と答えるユーリ。
内心は何を聞かれるかとバクバク状態だが、だてにカイルの妃としての日々は送ってない。
「イシュタル様にあの・・・その・・・・男の方のご兄弟とかはいらっしゃらないですか?」
コマーサ姫は「大変似ている方を知ってますので」と付け加えるのを忘れない。 
「さあ、私には姉妹しかおりませんが、その方はどのようない知り合いですか?」
なにげない様子でユーリは逆に問いかける。
「やばい」と慌てるルサファ
 「いえ、それはちょっと」と顔を真っ赤にしてうつむくコマーサ姫
さすがに合コンで知り合いましたとは言えないよなと思うカッシュであった。 
コマーサ姫を真剣なまなざしで見つめるイルは「まだばれてない」とホッと胸をなでおろすのであった。