ば・・・ばれた!

マネキンシリーズ 第5弾!

*このお話は花男短編「こうしてドレスは作られた」の続編です。

出来ましたら第1~4弾を読まれた後お楽しみください。

 

*

あいにくと今日はなんか用事があるとかで司は大学を休んでいる。

総二郎とあきらの話を聞いた牧野は目を白黒させた後、真っ赤になって叫んでいた。

「あのとき隠したのってそれだったんだ!」

確かにあのパーティーの夜、私のサイズにぴったりのドレスをプレゼントされ不思議に思った。

私を抱き締めた感覚でマネキンつくったとか何とか言って自分の手のひら見つめてニヤついてるあいつ見てたら恥ずかしくてたまらなかったこと思いだした。

そのマネキンを道明寺が自分の部屋に置いていたなんてーーーー

それを隠すためこの前なにか隠してる態度とったんだ。

よっぽどエッチビデオの方がましじゃない!

ビデオ隠されても嫌だけど、それはそれで納得できるはず。

でも・・・なんで私がいるのにマネキンなのよーーーー

理解できない。

一人黙りこみ今にも噴火しそうな牧野を総二郎とあきらがじっと見つめる。

司・・・

牧野にばれそうなことあったんだ・・・

良くバレなれなかったもんだ。

どうやって対応したのか想像したらまた総二郎とあきらは笑いたくなってきた。

「行くよ」

「行くって・・・俺達も?」

「当り前でしょう!下手にごまかされたら困るから、あんた達証人になるでしょう」

「証人て・・・」

思わず顔がひきつる。

いつもF3には遠慮がちにしゃべる牧野が有無も言わせぬ強気な態度で迫るから総二郎もあきらも結構ビビッてしまった。

俺達・・・

絶対タダじゃ済まないよな・・・

1発ぐらい殴られるだけで済めばいいけど・・・

牧野が切れてるうちに逃げ出す手もある!

気がつけば二人、強引に牧野に引っ張られる形で司の家に向かう。

なぜか後ろからはコトコト類もついてきた。

玄関で迎えた使用人に司がいること確かめると牧野は邪魔するもの全部壊しそうな勢いで司の部屋へ向かっていく。

さっき牧野の気迫に押されたのも忘れ二人にワクワク感が湧きあがってきた。

結構これて怖いもの見たさの気分あるよなと思わずニンマリする二人。

「バン!」

派手な音をさせ部屋の扉が開かれる。

ちょうど部屋の真ん中目立つ位置。

司がマネキンの前で一人頷く格好だ。

「なにしてる!?」

刺すような目で一点を見つめるつくし。

振り返った司が一瞬で硬直するのが分かる。

手には黒色のストレートのウィッグがしっかり握リしめられている。

外野には、すげー笑えるシチュエーション!

大の男がマネキンで着せかえ!

最後の仕上げのところで彼女の登場!

そのマネキンは彼女版!

変態ヤローの出来上がり!

それが天下の道明寺財閥の跡取り息子!

ここだけの話にしかできないよな・・・

「いったい何やってんの!私の服着せて!」

「いや・・・しわになったらヤバいかと・・・」

「自分の服も脱ぎっぱなしで、他人任せのあんたがね・・・」

「それに・・・この服トレーナーにデニム生地のスカート。丸めてほっといたってそんなにしわなんてできないわよ」

言い終わらないうちにつくしの怒りのストレートと右フックがさく裂する。

思わずよろけて尻もちついた格好の司は、そのままつくしに馬乗りで襟首つかまれ頭をシャッフルされている。

「もう何考えてるのよ!?馬鹿じゃない!」

「そんなにそのマネキンの方がいいなら私はいらないわよね!」

etc etc ect------

思いつくだけの悪態をつくしに浴びせられてしまう。

誰もマネキンの方がいいなんて言ってねーぞ。

「お前にそっくりのマネキンどこそこ置いておくわけにいかねえだろうが!

お前の真っ裸飾っとく様なもんだぞ!」

司が弁解の為に発した言葉に挑発されたように顔面につくしの頭突きをお見舞されてしまった。

「いてっ!」

「そんなの作らせるからでしょうがーーーー」

つくしは紅潮したままの顔で司を睨んだままだ。

「てめぇら、なんでばらした!」

つくしにされるがままの司は総二郎とあきらを睨むしかない。

とんだとばっちりの二人だが、司が身動きがとれない分だけ安全の保証はされている。

その横をトコトコとマネキンに近づく類。

じっとマネキンを見つめる類に、つくしの司攻撃の手も止まった。

「このマネキン・・・結構正確だね」

マネキンの頭をポンポン叩いて、天使の頬笑みをつくしに向ける類。

つくしはポッと赤くなってしまった。

「てめえ、なに赤くなってやがるんだ!」

「べ・・・べっに赤くなんてなんかない!」

二人の言い合いを止めるように類が言った。

「このマネキン俺に頂戴」

「「「「えっ!」」」」

一斉にみんなの視線が類に注がれる。

類の考え全くよめねえ。

司みたいにマネキンで遊ぶ類の姿なんて想像できねえし。

余計な物なんてなにもない類の部屋に牧野マネキン・・・

やっぱ・・・あり得ねえよな・・・

と思う総二郎とあきら。

間一髪入れず「ダメだーーー」の司の叫びが部屋中にひびく。

「いいじゃん」「ダメ」

「いいじゃん」「ダメ」

「いいじゃん」「ダメ」

「いいじゃん」「ダメ」

何度も繰り返される類と司の言い合い。

いつの間にかつくしに解放されて、司は類と面と向かう格好だ。

それを呆然と見詰めるつくしとF2。

なんだか3人蚊帳の外に取り残されている。

「司、本物持ってるんだから、造り物のほう俺にくれたっていいでしょう?」

思わず言葉に詰まり司は口をあんぐり開け呆けた状態になってしまった。

「本物・・・」

司がじっとつくしを見つめる。

それじゃあと、マネキンを横抱えにする類。

そのマネキンに司とつくしが同時に飛びついた。

「これ、俺んだ!」

「誰にもやれないわよ!」

顔を見合わせるつくしと司。

「この状態でこのマネキンここに置くの許すと思ってるの!」

思いっきりつくしはマネキンを自分の方へ引き寄せる。

マネキンはつくしの腕の中へと居場所を変えた。

「ククク・・・・ハハハハハ」

その横で類が大声で笑い出す。

「これで、このマネキン所有者は決まりだね」

そう言って類はクスッと笑った。

                                  END

 

最後はやっぱり類に納めてもらいましょう的な終わり方になってしまいました。

さてさてこの後のマネキンは

①つくしの部屋の中

②懲りずにもう一度マネキンを作らせる司

③マネキンをタマ先輩に預けるつくし。

そのマネキンをめぐってまたまたバトル勃発なんていうのもありでしょうか?