邪魔者は・・・? ①
*「動物園行きたい」
突然、牧野が言い出した。
この前の庶民デートも悪くなかった。
もしかして、なんかいろいろ俺を楽しませることあいつ考えている?
なんて淡い想いを抱いてしまう。
待ち合わせ場所は動物園のチケット売り場。
二人分のチケット買って待つ俺の前に息切って牧野がやってきた。
あいつ・・・
なんかちっこいの連れてないか?
小さい見覚えのないガキ連れて現れやがった。
「ごめん、どうしてもこの子付いてくるて言うもんだから」
すまなそうに牧野が俺に頭を下げる。
子連れじゃデートにならねえが、ここは大人の対応で、「たまにはいいんじゃねえ」なんて言っちまった。
「この子、社宅の子供なんだけど結構仲良しなんだよね」
「ね」
なんて二人で見つめあってにこにこしてやがる。
その雰囲気俺に向けられるもんじゃねえの?
「新君、このお兄さんに挨拶してね」
「おじさんよろしく」
ガキが90度にお辞儀しながらにっこりほほ笑む。
おじさん!
「おにいさんだ!」子供相手に思わずすごんじまった。
「おじさんだってーーーー」
牧野はゲラゲラ笑ってやがる。
入園した動物園で二人手をつなぎながら時間を過ごす。
牧野が手をつないでいるのは俺じゃないけどな。
5歳のガキと手をつないでなにが面白い。
俺は後ろからあいつら見守るSPみてえな気がしてきた。
「あら、僕、若いお父さんとおかあさんでいいわね」なんて、知らないおばさんがガキの頭をなでている。
家族に見られるのは悪い気がしねえ。
思わず牧野との未来想像してにやける俺がいた。
「ママ~抱っこ」
俺の幸せぶっ壊すように牧野に抱っこをせがむガキ。
まんまと抱っこに成功したくそガキは牧野の胸に顔を伏せてスリスリしてやがった。
あのガキ・・・
絶対俺を挑発してる。
俺を横目で見て、いいだろうみたいな顔しやがった。
なんとか牧野の手前我慢する。
ここでガキと張り合っても何のしゃれにもならねえ。
「飲み物買ってくる」
俺とガキをテーブルに残しあいつが売店へかけだした。
「俺・・・つくし好きなんだよね。今日はふたりでデートしたかったんだけど。おじさん、じゃま!」
「大人なのに気が利かないね」
牧野がいなくなった事を確かめるとこのガキ豹変しやがった。
「こら!なにがじゃまだ。お前の方がじゃまなんだ」
「牧野は俺の嫁さんになるんだぞ!」
思わず真剣にガキを相手にしちまった。
「まだまだ、青いね。つくしも若い方がいいに決まってるじゃん」
若いって・・・
おめえじゃ若すぎるだろうが!
「可愛くねえガキだな」思わず握りしめた拳でテーブルたたいちまった。
「ビェーーーーーン」
「お姉ちゃんこのお兄さんいじめるーーー怖いよーーーー」
こいつ、帰ってきた牧野の膝に抱きつきやがった。
こいつ・・・
絶対嘘泣きだ!
涙なんて出てねえじゃねーか。
「ちょっと、なにしたの」
「なにもしてねえ!こいつがーーー!」
牧野が疑惑の目で俺を見つめて避難してやがる。
途中で自分の言葉を飲み込む。
「新君ごめんね。もうこのお兄さんと二人にしないから」
牧野はガキを抱きよせて慰めながら俺を睨みつけやがった。
牧野!お前こいつにだまされてるぞ!
このガキとんでもねえ代物だ!
まさかこんなガキと牧野とりあう羽目になるとは思わなかった。
もしかして今日のデートの邪魔者は俺か!
この関係・・・
今日の逆転あり得るだろうか・・・
ガキなんかに負けてられるか!
奮い立つ俺を横目で見ながらガキは「フッ」と不敵な笑いを浮かべやがった。
*この短編
子供が見ていたクレヨンしんちゃん見ていてふと思いつきました。
ついでに子供の名前もしんちゃんにしてみました。
しかし私もなんでクレヨンしんちゃん見ながらこんな話思いつくかな・・・
考えながらいけるかも!?と思ったら書いてしまいました。
つくしを好きな幼稚園児と司て結構いい対戦相手になるんじゃないかと(^_^;)
こんなバトルどうでしょうか?
このデートのバトル大戦、結構五分五分でいけそうなんですけどね。