捨てるなんて許さねえ!
マネキンシリーズ 第6弾!
このお話は花男短編「こうしてドレスは作られた」の続編です。
出来ましたら第1~5弾を読まれた後お楽しみください。
*
あいつらのいなくなった俺の部屋。
なんだかやけに静かというか白けた雰囲気。
いまだに俺のマネキンをガッシと両腕で抱え牧野が俺を睨んでる。
「なあ、牧野そのマネキンどうする気だ?」
「どうするって、うちに持って帰るに決まってるでしょう!」
そう言いながら牧野はマネキン抱いてる腕に力を込めやがった。
「別にお前からそのマネキン獲るつもりはないからそんなに警戒するな」
どうせ抱きしめるなら俺にしろなんて言葉・・・
今は言える状態じゃねえ。
「お前の家じゃあ狭くてそんなの置く場所ねえだろう」
「それは余計なお世話!置くとこなかったら粗大ごみで捨てるんだから!」
捨てる!?
俺がどれだけ苦労してそいつ造ったと思ってるんだ!
クスクス笑うドレス作成担当者の困った顔も必死で我慢したんだぞ!
あきらや総二郎、類にまで変質者ぽくみられて笑い物にされた。
それでも俺は我慢した!
何のためだ!
ん!?
何のためだ?
最初の目的は牧野のドレス作るため。
作らせたマネキンがあまりにも俺の希望通り牧野そっくりだったから・・・
どこにもやれなくなっただけだ!
別にマネキンに興味があったわけじゃねえ!
結局牧野がいればこんなマネキンどうでもいいってことだ。
でも・・・
ゴミになんか出来るかよーーーー。
「捨てるなんて絶対だめだ!」
思わず叫んだ俺に牧野が刺すような鋭い視線向けやがった。
「このマネキンでなにするつもりだった!?」
「いや・・・もう何もする気はねえ」
俺・・・
なにする気だったけ?
添い寝なんて絶対してねえぞ。
ちょっと考えただけだと思いだした。
そんなこと口が裂けても言えるはずがない。
「ただ、マネキンにお前の服着せたら牧野がいつも俺のそばにいる様だなと思っただけで・・・・」
牧野のパンチに思わずよたつく。
「ここの部屋に置いておくのが嫌なら、物置でもどこでもお前が好きなとこ置いてていいから」
「俺は金輪際このマネキンには触らないし見もしない」
「約束する」
これって浮気がばれて必死に謝る彼氏の図みてえじゃねえか。
相手はマネキンだぞ!
なんか違う気がするんだが・・・
「本当?」
牧野はまだ疑いの目で俺をみてやがる。
「大体お前がいるのにこんなマネキン俺が相手するはずないだろう」
聞きようによっては牧野いなきゃ相手するようにとれねえか?
「お前と毎日一緒にいられればマネキンをここに置いとくなんて思わなかったはずだ」
「この際!牧野!一緒に暮さねえか!」
またまた俺は牧野の右フックパンチくらってしまった。
*コメントのマネキン編面白いです。まだ読みたいという要望で書いてみました。
結構このマネキン編は受けが良くて皆さんに喜んでもらっているみたいでうれしいです。
そのためマネキンの行方が決まりません(^_^;)
こんな爆笑編シリーズ書いて司のイメージ壊さないか少々心配気味ではあります。