Troublemaker 番外編 4

Troublemaker 番外編 3からの続きです。

-From 1-

*

「つくし、蓮とは話したかね」

「舘林さんの事ですか?」

ジー様にっこり頷いた。

「まあ・・・挨拶程度ですが・・・」

「蓮はいい奴だぞ。将来の有望株だし知り合っていて損はない」

F4も将来約束された有望株だと私は思う。

どうジー様に返事をするべきか迷ってしまってるうちに、ジー様と一緒にオーラ発動部隊中心へ舞い戻ってしまっていた。

道明寺と舘林さんの間に険悪な雰囲気が漂ってることに気がつく。

「どうしたの?」二人を見守る感じに周りを囲んで立っているF3の一人、花沢類に聞いてみた。

「牧野・・・」

「もう紹介はいいんですか?」

私の存在を確認した後、花沢類の関心はジー様に移動している。

「痛いとこついて来ましたね」

ジー様にため息交じりの花沢類の様子に「ドキッ」と私の心臓が音を発てた。

もしかして・・・

ジー様の用意した私の花婿候補って・・・

舘林さん・・・な・の?

「なかなかのもんだろう。我ながらいい考えだと思うんだが」

なんてご満悦、自画自賛気味のジー様。

ジー様と花沢類を交互に見つめてしまっていた。

私の考え間違ってなさそう・・・

疑問は確信へと変った。

あぁーだから道明寺と舘林さん一触即発の雰囲気になっているんだと納得。

でも・・・

道明寺の周りだけ怒りの渦が渦巻いてる感じで舘林さんはなぜかにっこり笑ってて、軽く道明寺の挑発受け流している感じがする。

私・・・

なに冷静に観察してるんだ!

そんな場合じゃないはずだ。

困った・・・

困った!困った!困った! 

頭の中はパニック寸前!

て・・・・

別に考えいる必要ないじゃないか!?

私には道明寺がいるわけだし・・・

どんな人連れてこられてもなにも困ることなんてない!

無視すればいいだけじゃん!

でも・・・

花沢類そっくりの微笑み向けられたら無視は無理かも・・・

わぁぁぁぁぁぁぁ

これは心変わりでも浮気心でも絶対にない。

そうだ!

花沢類との関係で私の頭にインプットされた条件反射!

なに今から私は道明寺へのいい訳考えているのだろう。

舘林さんとどうにかなる可能性なんてないはずなのに。

青くなったり、赤くなったり、いろんな考えが頭の中で渦巻いてとぐろを巻きだしてる。

今の私の頭の中は情緒不安定の異常事態の発令警報が鳴り響いてる感じだ。

・・・・

・・・・・・・・

その前に・・・

・・・・

舘林さんにはロービーでのことでお礼を言われただけで・・・

舘林さんからは・・・

それ以外なにも言われてないはずで・・・

先走ってなにも考える必要はないんじゃないのかな?

大人の舘林さんが子供じみた私を本気で相手するとは思え・・・な・い・し・・・。

舘林さんと瞳があった瞬間、にっこりと舘林さんが私にほほ笑みを投げかけた。

わぁぁ~ 花沢類にも負けない天使のほほ笑み。

思わず顔が赤くなって顔中が熱くなっていた。

-From 2-

「なにボッーなっている」

眉吊り上げた司の顔がつくしの目の前に現れる。

「えっ?」

「今見惚れてただろうがっ!」

低音に一回りすごみを聞かせた声がつくしに浴びせられた。

「だ・だれに?」

目を泳がせて俺の視線から外れやがった。

誰にって・・・

決まってるだろうが!

時々俺以外にお前がポッとなるのは類で、それも結構俺的に我慢してた。

それだけでは足らないくて今度は蓮にいにまでその顔見せている。

こいつ・・・

それで誤魔化しているつもりかっ!

めちゃめちゃ怪しい挙動してるじゃねえかぁ

司のこめかみにピキッと青筋が浮かび上がる。

「そこで喧嘩しないの」

澄ました顔で蓮が司とつくし二人の前に歩み寄ってきた。

「つくしちゃん、明日暇?」

「俺、日本3年ぶりなんだよね。付き合ってもらえると助かるんだけど」

蓮にいの野郎、俺の目の前で牧野誘ってウインクまでしやがった。

ブルブル司の全身が震えだすのが周りにいた類達にも伝わる。

「蓮にい・・・まじかよ」

「司の前で堂々と牧野にデートの誘いとはね」

「牧野・・・断るよ・な・・・」

ぼそぼそ話しあっている総二郎とあきらは司から厳しい視線を送られ慌てて口を閉ざした。

つくしはなにを言われたのか頭の中で考え中みたいな顔になってきょとんとしている。

そして焦った顔に変化してその顔のまんま司の様子を盗み見ている。

「それはいい考えだ、明日は休みだしつくしは蓮君に付き合ってやるといい」

目ん玉飛び出すぐらいギョッとした顔でつくしが慌てて会長の側に駆け寄った。

「明日はおばあ様に付き合う約束していたので無理です!」

そう言ってつくしは会長を睨みつけた。

「ばあさんには私がつきあう」

つくしの気持ちなど論外だという様に有無も言わせぬ強い口調が会長から返ってきた。

「この爺さんの威圧感すげー」

「牧野負けてるぞ」

心なしか牧野の身体が小さくなったように総二郎らの目に映た。

「久しぶりに再会した友がつくしに1日付き合ってほしいと言って嫉妬心をあらわにして、断らせるなんて言う気の小さい者はここにはいないだろう」

「つくし、男は寛容な方が魅力があると思わんか?」

「えっ・・・それは・・・」

道明寺の私に対する嫉妬はいつもの事で・・・

F3に対しても時には半端でなく・・・

私も時々切れそうになって喧嘩になる事もある訳で・・・

それが道明寺だって感じもするし・・・

それって・・・私が道明寺に感化されてるだけなのだろうか・・・

そう思っても「ハイ」なんて答える事が私に出来る訳はなく・・・・。

返答に困るつくしを気にせず会長は言葉を続ける。

「嫉妬深い男は考えものだぞ」

「連君は久しぶりの日本だ、どうせなら楽しく過ごしてもらわんとな」

ニヤリとして会長は司に視線を送った。

高笑いが聞こえてきそうだ。

このくそジジィー先手うちやがった。

ここで俺がダメだと拒否の姿勢したらケツの穴の小さい奴だと鼻で笑い飛ばすつもりだろう。

そこまで言われては、俺に牧野を止めれるはずないじゃないか。

歯がゆい思いが司を覆い始める。

逆に拒否する牧野に「行って来い」なんて笑顔で説得して「俺の事気にするな」なんて言わなきゃならない場面だ。

そんな芸当俺に出来るわけねえだろう!

「とって食べたりしないから、つくしちゃん数時間俺に付き合ってもらってもいいよな、司」

蓮がそう言いながら司に身体を近づけてきた。

「それぐらいで俺に気が移るような子じゃないだろう・・・」司の耳元でそっと連がつぶやく。

司は無言で蓮から目をそらすように目をギュッとつぶって顔を横に向ける。

そして怒りを解放するようにフーッと長く吐息を吐いた。

「司の許しも出たからつくしちゃん、明日はよろしく」

ホントにいいの?なんて顔をつくしが司に向ける。

「しょうがねえ、昼間だけだからな」

つくしの側に歩み寄った司は吐き捨てるように言った。

このまま・・・

やりこまれたまま終わらせられるかぁ!

「明日気付かれねえようにお前らの後ついて行くから安心しろ」

つくしに耳打ちすると類達の側に司は大股で歩いて行った。

きっと明日の事みんなに頼むんだよね・・・

安心て・・・出来るのだろうか・・・

そのまま舘林さんに大人しく付き合ってる方が静かに何事もなく終わるような気がする。

つくしは一抹の不安を抱えながらF4を見つめていた。

-From 3-

「フーッ」ため息しか出てこない。

どうしてこうなったのか・・・

初めから台本あってその通りに進んでいる。

脚本、監督は私のジー様。

そんな感じだ。

今、私は白いオープンカーの助手席に乗せられている。

車のマークからベンツだということは解かるがそれ以外の車の価値なんて解かるはずがない。

ただ庶民に届く車でないことぐらいはなんとか私にもわかる。

運転席が道明寺なら楽しくドライブ出来るだろうが、相手は花沢類のいとこ舘林蓮さん。

笑顔が花沢類に似てて・・・

大人の態度で何気なく私に気遣って接してくれる心使い。

私を大人の女性の感覚で扱ってくれる初めての経験。

いつもギャーギャー言い合っている道明寺とのデートと比べると、スマートなエスコートに慣れてなくて・・・

緊張と照れもあって、道明寺には悪いがふくれっ面の対応できていない。

なるべく舘林さんと目を会わせないように車の外から流れる風景を見つめている。

「そんなに緊張しないで」

「あんまり・・・こういうの慣れてなくて・・・」

それだけ言うのが精いっぱいだった。

舘林さんが「クスッ」と笑った。

「俺とあんまり話すことないって感じかな?」

「そんなことは、ありません」

思わずブルッと首を振ってしまう。

そしてまた「クスッ」と舘林さんがうれしそうに笑った。

「司・・・変ったね」

「えっ」

ここで共通の話題を振ってくれた舘林さんにホッとしたが、その話題が道明寺であることでうまく返事を返すことが出来ない。

「3年前まではあんなふうにやさしい目で他人を見つめる奴じゃなかったから・・・」

「君を見る時、司は愛しそうに見てるから・・・」

「あいつ・・・昔から鞘をもたない刃物みたいなところあって、周り傷つけながら自分が血を流してるの気がついてないそんな感じだった」

「あいつの姉貴の椿と一緒にこれでも結構心配してやってたんだ」

「椿、つくしちゃんの御蔭だて言ってたよ」

ニコッと笑顔を送って私の様子をミラー越しに確認する仕草を舘林さんが見せる。

舘林さんて道明寺の事すごく理解してるんだと気がついた。

そんな人がなぜ、私のジー様の味方なんだと思わずにいられない。

「あの・・・なんで・・・私と道明寺の間を邪魔する会長に手を貸してるんですか?」

「俺・・・君達の事邪魔するつもり全然ないよ」

「司て・・・結構からかいがいあるだろう?」

悪戯っぽくニコッと舘林さんが笑った。

「ねえ、俺達が出発する前からあのヘリ飛んでない?」

そういえばプロペラの音が頭上から切れることなくついてきていた。

まさか・・・

「お前らに後ついて行く」と言っていた道明寺の言葉を思い出す。

もしかしてヘリで追跡中て事ですか?

舘林さんとマジに視線を合わせる。

呆れたような顔をした私を見て「プーッ」と吹きだした舘林さんが大声あげて笑いだしていた。

-From 4-

「司はもし君の側に急いで駆けつける状況になった時どうするんだろうね?」

「ヘリからだとそう簡単には俺達に近づくこと出来ないもんな。詰めが甘いと思わない?」

海の見渡せるパーキングエリアに車を止め、相変わらず私達の頭上空高くヘリを車から降りて二人眺める。

ヘリがクルリと旋回してまた私達の頭上の上に戻ってきた。

舘林さんがクスクス笑う。

舘林さん・・・

笑い上手だったんだと意外な一面を知った気がした。

花沢類も笑いだしたら止まらないタイプだった・・・

こんなところはやっぱり血のつながりを感じてしまう。

「あっ!でも司の場合ヘリから飛び降りちゃうかもね。後先考えない乱暴なとこあるからな」

やけに舘林さんうれしそうだ。

「その状況作り出して試してみない?」

状況?

試すって・・・

なにやりだすつもりですかぁぁぁぁぁーーーー

「遠慮します!変なこと考えいないでください!」

マジに慌てて両手を大げさに振って拒否の態度を舘林さんに示した。

「聞こえない~」なんてうかれた調子で舘林さんが私の肩に右手を回し軽く抱きよせる。

振り払おうとする私をそうさせないように身体を密着させて固定されてしまった。

背丈の差がある分私には不利な状況だ。

この状態・・・

ヘリからはどんな状況に見えるのだろうか・・・

舘林さんに肩抱かれてうっとりしやがってなんて思ってないよね。

これ不可抗力だからぁぁぁぁーーーーー

ピキッと額に青筋浮かべた道明寺の顔が頭に浮かんだ。

キィーーーーーーッ

肩抱かれたままの状態の私達の目の前にバイクが一台急ブレーキをかけスピンして止まった。

ヘルメットを取った下には見慣れたクルックルッパーマが顔を出す。

ど・う・みょ・う・じ・・・・

道明寺!

「ウソッ!」思わず驚きの声を上げていた。

「司・・・ヘリに乗ってたんじゃないのか?」

「ヘリには類とあきらが乗っている」

「俺と総二郎はバイクでヘリから無線で連絡受けながらついてきた」

道明寺が説明終える頃もう一台の追跡バイク操縦者西門さんが到着した。

「司!いきなりスピード上げるなあぶねえだろう」

「うるせー、仕方ねーだろうが、文句があるなら蓮にいに言え!」

バイクから降りた道明寺がゆっくり私達に近づいてくる。

「司、少しは賢くなったんだな」

私の肩に手を置いたまま舘林さんが道明寺ににっこりほほ笑む。

この余裕・・・

私にくれっーーーーーーーー。

舘林さんとは対照的に道明寺が一歩一歩近づいてくるたびに背中にツーと冷や汗の流れる線が増えていく感じがする。

「牧野で遊ぶな」

舘林さんの腕を道明寺が振りほどいて、私の片腕をギュっとつかむ。

掴まれた腕を道明寺の力強い腕が私を自分の胸元へ引き寄せる。

一言も発する間もなく私は道明寺の胸の中へ引き込まれていた。

-From 5-

「司、聞こえるか?」

「感度良好!」

あきらと俺のそんなやりとりで牧野と蓮にいを乗せた車の追跡を始める。

俺と総二郎はあきらと類を乗せたヘリから指示を受けバイクを走らせる。

蓮にいの運転する車に俺達の存在を知られることなく、バイクが見られない距離を保って順調に走っていた。

ヘリの存在に蓮にいが気がついても俺達は気がつかれることなく追跡が出来る計算だ。

GPSあるのにここまでやる必要あるの?」なんて類はやる気なさそうな態度を示していた。

「司がやりたいようにやらせればいいじゃん」あきらが俺のかたをもつなんて珍しいことだ。

機械に頼るなんて信頼できねぇ!

用心に用心重ねてなにが悪い。

そんな俺に「司に用心なんてにあわねぇッ」と総二郎は笑いやがった。

なんだかんだ言いながらも俺にこうやって付き合ってくれるのだからこいつらの存在は最高だ。

「司、車止まったぞ」

ゆるいカーブを曲がったところで、無線から類の声が聞こえてきた。

「海の見渡せるパーキングエリアで二人車から降りてる」

あきらから告げられた二人の様子に嫌な感じがした。

車止めて・・・

二人降りて・・・

海眺めて・・・

牧野相手になにムード作ってるんだ!

そんなの必要ねだろーがァ

無性にムカムカして腹の中煮えくりかえってきた。

「蓮にい、牧野の肩抱いてるぞぉ」

無線を通して聞こえた声が俺の気持ちに拍車をかける。

思わずハンドル操る手に力がはいる。

思いっきりアクセル回してバイクのスピード上げていた。

いくつかのカーブを曲がり終えたところで白い車が一台止まったパーキングエリアが見えた。

そのすぐそば牧野の肩を抱いている蓮にいが俺の目に飛び込む。

もう一度アクセル吹かして車にぶつかる寸前で急ブレーキかけスピンさせてバイクを止めた。

ヘルメットを取った俺に驚きの声を牧野が上げる。

どうやらこの二人、俺がヘリに乗ってると思っていたらしい。

ヘリに乗ってたらすぐにお前の元に駆けつけられない。

これが一番の安全策。

御蔭で俺は普段乗りなれないバイクに乗るはめになった。

だが・・・

俺の狙いは的中だ。

蓮にいに勝ってた気がした。

「あぶねえだろうがぁっ」

俺の突然のアクセル全開にようやく追いついた総二郎が姿を見せる。

蓮にいに肩を抱かれた牧野の表情が強張る。

蓮にいに、いいように扱われている牧野を怒鳴りたい気分になるが・・・

牧野が蓮にいをあしらうのは無理な話で・・・

こういう時のこいつの無防備な状態を作り上がるのは天才的なことだと、どれだけ見せつけられたことか・・・

解かっているが・・・

すげー腹が立つ!

きっと・・・

蓮にいは牧野の性格を解かっていて接している確信犯だ。

俺の存在示しても相変わらず悪びれずに牧野の肩に腕を置く蓮にいにムシャクシャ腹が立ってきた。

「牧野で遊ぶな」

思ったよりすんなり牧野を俺の腕の中に奪い返すことができた。

続きを読まれる方はTroublemaker 5へお進みください。

司って・・・バイクの免許持ってたのだろうか・・・

まあ小さいことは気にしないで読んでもらえたら・・・(^_^;)

原付じゃあカッコよくというより笑いが起きそうで・・・

せめて中型・・・

イヤ!司なら無免許でも750CC乗り回しそうですよね。