条件反射

*この短編は初めての朝からの続編第11弾です。

聞かなかった事にしよう を読まれた後お楽しみ頂けたらと思います。

「あれからどうだった?」

いつものごとく会いたくねえぇ時に限ってこいつらは顔を出す。

俺の屋敷ではこいつらは無制限の通行手形もってやがるから、いつも顔パス案内なしで現れる。

今度から入室禁止令でも出しとくか。

牧野以外通さねえ!なんてなっ。

「もう、お前らにしゃべることはねえっ」

これ以上笑いのネタを総二郎とあきらに提供してたまるものか!

そんな気持ちだった。

ん?

俺と牧野の事ってそんな笑いものになるようなことか?

こいつらが単に笑えるネタ嗅ぎまわってるだけじゃねえのかよ。

俺には全然笑いはおきねえぞぉ。

「もしかして・・・牧野に緘口令しかれてるとか?」

「もし俺らに一言でも喋ったらしばらくお預け~なんちゃってなぁ」

二人おどけた調子に喋りだす。

こいつらの言葉に思わずギクッと唾を飲み込みそうになる。

「なんで解かった!」

しまった!と口を閉じたが遅かった。

俺はバカだ・・・

結構なバカづらこいつらの目の前に自らさらしてしまった。

「ブハハハハハ」

「司、お前は好物を目の前にぶら下げてお預けくらってる犬の状態か?」

「ブハハハハハ」

「そのうちパブロフの犬になっちまうぞ」

「牧野の名前聞いただけで、尾っぽ振ってお座りして待ってたりしてっーーーーー」

「ブハハハハハ」

腹を抱えて笑いだしやがった。

「全部てめえらのせいだろうがぁーーッ」

「パブロフて犬のことなんて知るかぁーーーーー」

二人を睨みつける。

よだれたらして餌待ってないだけ犬より俺の方がましだろうがっーーー。

て・・・

牧野は餌か?

ダメだ!

こいつらのペースになってきている!

「まあ、俺達が聞いたことは牧野には内緒にしてやるから」

「そう怒るなって」

笑いを押し殺しながらあきらが俺をなだめにかかる。

本当か?言いそうになった言葉を飲み込んだ。

いつもこの手でしゃべらされて牧野にばれて俺が殴られる。

このパターン一緒じゃねえかぁ。

「俺達はお前の親友だろう、それもほかの奴に話せないことでもなんでも話せる関係だ」

「その俺達に隠し事なんてねえだろうが」

なにが何でも話せるだ!

それが牧野にばれるから事がややこしくなるんじゃねえか。

そう言えば俺こいつらから相談なんて今まで聞いたこと事あったんだっけ・・・

ねえじゃねえかぁ。

まあ・・・

俺が人の相談聞くタイプじゃねえけど・・・。

「チッ」と舌打ちする。

「じゃあお前らは俺に隠し事ねえのかよ」

「女の事に関しちゃまだ初心者には話せねえっ~」

ふたりニンマリしやがった。

結局・・・

黙っていることなんて出来なくなって・・・

「お前らに牧野との事喋らない。それから人前で抱きつくな。これが牧野の出した条件」

渋々でも条件反射みたいにいつものごとく喋らされる羽目になる俺。

解かっていても進歩がねえ。

「牧野の出した条件て期限はあるのか?」

「・・・」

「1か月」

「フッー」とため息交じりに答えてやる。

「1か月て・・・司我慢できるの?」

「1週間、せめて2週間に出来なかったのかよっ」

情けねぇみたいな視線で総二郎が俺を見ている。

総二郎!お前に喋ったことみんな素直に牧野に喋ったからこうなったんだ!

頬をひきつらせながら総二郎を睨む。

牧野を抱いた後で、満足して・・・

すげーいい気分に陥ってて満足しすぎて何でも許される気分になった。

気がついたらペラペラしゃべらなくていいこと喋リ過ぎてる俺がいた。

牧野に枕でポカポカ頭を殴られて、こんな約束させられた。

挙句の果ては俺を一人ベットに置き去りにあいつは泊まらず家に帰っていちまったんだぞーーーっ。

お前らに恨みごとの一つや二つ言っても罰は当たらねえだろうがぁ!

「遠まわしにお前・・・牧野に拒まれてるんじゃねぇ?」

あきらの言葉に俺は横の壁を拳でぶち抜いていた。