記憶 パートⅦ

*このリレー小説は記憶 パートⅠからの3話目から分岐しています。

パートⅠを読まれた方は4話目からお読みください。

第1話   記憶                            作 あいきさん

「ちょっと出掛けてくるね!!」

いつもの脱走。おきまりのこと・・・。

でも、今回はいつもと少し違っていた。

予定の時刻を過ぎても、ユーリが帰ってこなかったのだ。

「・・・ハディ、ユーリはまだ帰ってこないのか?探しに行く!」

心配になったカイルは、ハットゥサ中を探し回った。

そして・・・。

「ユーリ!」

ある民家の前で、水くみをしているユーリを発見した。

ユーリはきょとんとして、こちらを見ている。

「・・・あなたたち、誰?」

最愛の娘、ユーリから発せられたそんな言葉。

誰・・・・?だと・・・・・。

「あなたたち、わたしをしってるの!?」

バシャン。

水が、ユーリの手から、滑り落ちた。

「わたしのことをしっているのね!?誰?あなた達は誰?」

何も、答えられない・・・。

ユーリ、記憶をなくしたのか・・・・・・・!

第2話            家              作 ひろきさん

「・・・あの、失礼なんですけど・・・。あなた方誰ですか?」

ユーリの記憶がないと分かって、みんなが呆然としているときだった。

ユーリは、なぜ黙り込んでしまったのかが分かっていない。

「あの、とりあえず中に入りませんか?・・・で、お話聞かせてください!」

「あぁ、そうさせてもらうよ。」

何とか正気を取り戻したカイルは、ユーリの言葉に従った。

今のユーリに何を聞いてもワカラナイ。

それならば。

「おばさん、あのね、この人達私のこと知っているみたいなの」

「え?だれだい・・・?お嬢ちゃん、お茶でももってきな」

ユーリはおばさんの言ったとおりに奥に引っ込んだ。

この様子からして、おばさんはカイルに気がついたらしい。

「やっぱりあのお嬢ちゃんは、イシュタル様かい?陛下」

「・・・そうだ。世話になったらしいな、礼を言おう。

 ユーリを連れて帰りたい」

「あぁ、それが一番いいんでしょう」

ふぅ・・・。

大きなため息一つ。この女性は、何か知っている・・・?

「どうしてユーリは記憶をなくしたんだ?」

「・・・事故だよ。私がもっていた水をね、彼女がここまで運んでくれて・・。

 それで、帰りがけに目の前に飛び出してきた馬車に驚いて頭を打ったんだ」

頭を打った。

他には特に外傷はなかった。ユーリのことだ。

うまく身を翻したのはいいが、足を滑らしたのだろう。

「では、ユーリは連れて行く」

カイルはそういうと、かたんと席を立った。

第3話       帰れない                      作 ひー

「ユーリ帰るぞ」

ちょうど奥の部屋から御茶を戻ってきたユーリにカイルが声をかける。

「ちょっと待ってよ、なぜ私があなたとかえらなくっちゃならないの?

私はここにいるわよ、今はここが気に入っているんですもの」

「お前は私の妃だ、本当に何も覚えてないのか」

そういってユーリを抱きしめるカイル。

「ちょっと止めて下さい、本当に何も覚えてないんです」

「急に妃ていわれて、ハイハイてついていける訳ないでしょう」

カイルの腕から逃れて、おばさんの後ろに隠れるユーリ。

「大丈夫だからこの方たちについていってください、イシュタル様。少しの間でしたけど一緒に過ごせてうれしかったです」

「もうイシュタルとかユーリとかみんなで勝手に話を進めないで、私おばさんの息子が帰ってくるまでここから離れないんだから」

そう言っておばさんを抱きしめカイルをにらみつけるユーリ。

「帰らないって・・・ユーリ様・・・」

ユーリにつめよるハディを制してカイルが口を開いた。

「息子が帰らないとは・・・なにか問題がありそうだな?」

やれやれ、記憶が無くなっても何かのトラブルに巻き込まれているらしい・・・

平静を装いながらもカイルは心の中でため息をついていた。

第4話 約束                    作 友美さん

「ユーリ・・・・。お前はその息子が帰ってくるまで、帰らないとゆうのは、何か事情があるのか・・・・・・?」

カイルが優しくユーりにききます。

「私は・・・・、あの人が・・・、ジェイドが帰ってくるまで待ってる約束をしたの。

ジェイドは・・・・・・、

記憶をなくして・・・

身分も、うじ素性も何もかもわからなくなった私を・・・好きだと言ってくれた・・・・・・・。

今度帰ってくるときに返事をする約束をしたのよッ!あと10日もすれば帰ってくるわ・・・・・・。

ちゃんと返事をしなきゃ・・・・・。」

「それは,本当かい・・・・・?あなた、息子とそんな約束をしたのかい・・・??」

おばさん信じられない。

無理もない、帝国の皇妃に息子が、恋愛感情を抱いているのだから。

「ユ,ユーリ様。嘘ですわよね・・・・・・・・。

だってユーリ様には、皇帝陛下がいらっしゃるんですもの・・・・・。

またいつもの、じょうだんですよね、ね。」

第5話   嫉妬心             作 あかねさん

「冗談なわけ、ないでしょ!」

ぷいっと横を向いて、素っ気なく答えたユーリ。

冗談じゃない。

ユーリに、記憶をなくしたユーリに、好きな奴がいるだと!?

「・・・ということでね、彼が帰ってくるまでは絶対に行かないわ。 たとえそこに、記憶の手がかりがあろうともね!」

パタパタパタ

ユーリは一言言い残して、二階へと去っていった。

この言葉に一番驚き、ショックを受けたのはカイルだった。

自分のことを覚えていない。

そして・・・・好きな奴がいる!!

「・・・ユーリは、お前の息子になんと返事をするつもりなのだろうか?」

「さぁ、それは・・・。」

おばさんも、少し遠慮気味だ。

正体を知ってしまった今、息子とでは釣り合わないから・・・。

「まぁ、とにかくそなたの息子を見つけなければ話は進まないのだな?」

カイルはわき上がってくる嫉妬をようやく心の中にねじ伏せた。

そして、ユーリを連れ戻すために、息子を捜し出す・・・・。

第6話  お尋ね者           作 友美さん

「よし!!ともかくそのジェイドとやらをさがせ!!!

賞金をかけても良い!!!!街中に、ふれを出せ!!!見つけたものには褒美をとらすと!!!」

「はっ!かしこまりました陛下!!!」

まったくそのジェイドとやら・・・・、見つけたらただじゃおかん!!!

記憶をなくしたとはいえユーリ様に手を出すとは、 許せん!!!

カイルもルサファもご立腹です。

さっそく皇帝の命どうりに市内にふれが出された

「ジェイドとゆうなの男を見つけ王宮に報告せしものには銀10マナをとらせる」と。

それを見たユーリは・・・・

「なんなのよこれーーーーーー!!!!

まるでジェイドが、犯罪者みたいじゃないのよ!!!!

何考えてんのよあの皇帝はっ!!!

一言文句言ってやるッ!!」

「なんておそれおおいことを・・・・、やめておきなって・・・・・」

とめるジェイドの母にゆーりは、「だってこんなふれがあったんじゃあジェイド帰ってこれないじゃない!!!

絶対一言は文句ゆうの!!!!

平民だからってなめないでよねっ!!!!

じゃあいってくるね。いまにみてなさいー!!

ムリシリ2世!!!!」

第7話   心の中の本当の答え          作 あかねさん

「ちょっと、ムリシリ2世陛下!!お話があります!!」

ユーリの記憶が戻るまでは・・・と、カイルご一行もここに滞在していた。

カイルはユーリの突然の訪問にかなり喜んでいた。

「ユーリ、なんだい!なんの話かな?」

「ジェイドのことです!!なんですか、あれ。賞金なんかかけちゃって・・・。

 あれじゃぁ、帰って来るにこれないわ!!」

「あぁ、そうか。なら、どうしたらいい?」

はっきり言って、カイルはこんなのどうでもよかった。

ただユーリが、帰ってくるまで帰らないと言うから仕方なしに探しているだけで。

もしこのやり方で帰ってきてくれなければ、困る。非常に困る。

だから、早く帰ってきてほしいのはカイルも同じである。

カイルの素直な反応に驚いたのはユーリだった。

「「なによ、王族ってこんなに素直なわけ?もっと、平民をバカにしたような奴らかと

 おもってたのに・・・」」

「どうした、ユーリ。どうしたら、ジェイドは帰ってきてくれる?」

正直、ジェイドが帰ってくるなら何でもするつもりだった。

ユーリは、その心に惹かれてカイルを尊敬し始めたのだ。

本当は、ジェイドなどはどうでもよく、ユーリが帰ってくるのだけを望んでいると

言うことに気がつかないで・・・。

第8話  ときめき             作 ひねもすさん

「あっ、あの私・・・、陛下のこと誤解してたみたい。

 ジェイドのこと犯罪者みたいに扱ってるのかと思ったの。

 でも、本当に心配してくれてるのね。」

ユーリは嬉しそうにニッコリと笑った。

カイルにしてみれば、ここで力一杯抱きしめて、押し倒して、息もつけなくなるようなキスを・・・・したいところだが、ここは我慢、我慢。

「ああ、ジェイドはおまえを助けてくれた者だし、

 大事なヒッタイトの民の一人だ。民衆の幸せは私の喜びだよ」

警戒心を解いてしまったユーリは、すっかりカイルの言葉を信用してしまった。

「陛下は民を愛しているのね。

 きっと、陛下の治めるこの国はいい国なのね。」

「それは嬉しい言葉だね。

 だが、おまえがいなければ、どんな失政をしてしまうか分からないよ。

 それほどおまえの存在は大きいんだ。早く記憶を取り戻してもらいね。」

琥珀色の瞳に顔を覗き込まれユーリはドキドキしてしまった。

(ちょっと、私ってば多情なのかしら???

ジェイドを待っているはずが、文句を言いに来て陛下にときめいちゃってる!!

どうしよ~~~!!!!)

第9話 帰って!!     作 友美さん

「あの、皇帝陛下。一つお伺いいたしますわ。」

改まった表情で聞くユーリ。

「なんだい???ユーリ??(もしかして私のこと少しでも思い出したのか???)

「私はあなたの妃だったといいますがそれはほんとうですの?????」

「ああ、そうだよ。私がたった一人本気で愛している愛妃だ」

「私がこの国の方々とは,民族が違うのは,髪の色と肌でわかります。

とゆうことは、この国の皇族貴族ではありませんわね・・・。

とすると身分の卑しい

妃だったとゆうことになりますわね??ちがいますか????」

たしかにそうであった。ユーリは皇族ではない。しかし民衆の絶大なる

指示を持っている・・・。

「たしかにそうだが・・・・、お前はこの国の王妃だ・それに誰も反対はしていないよ・・。

後続も貴族もみんなお前を皇妃だと認めている。」

カイルは嘘は言っていない。

「たとえそうだといってもみんながみんなそうとは限りません。

なかには自分の娘の方が身分も容姿も后妃にふさわしいとお思いの方も多いかと思うのですが。

それに一国の皇帝には沢山の妃がいるといいます。

いまいなくても外国との政略結婚などがこれからこないとも限らない・・・。

私には,大勢の中の一人は絶えられません・・・・

そうよ・・。いくら賢帝でも沢山の側室ができないとは限らないわ・・・。側室なんて・・・所詮愛人

綺麗に言ったところで恋人かしら。そんなのわたしは・・・いやよ!!

皇妃としてのプライドしかない惨めな思いはしたくないわ。

ですから・・・・、わたしはもう王宮には戻りません。

記憶のない私は、イシュタルではなく、後宮の権力争いのなかにいれる

ようなものではありませんわ。ですから・・・、帰ってください!!!!!」

「ユーリ!!!本気か?????本心から言ってるのか????」

あせりまくってるかイル。

「嘘で皇帝陛下のこんな口利けないわ。本心よ。」

ユーリは、あくまで態度を崩さない。

「私が愛しているのはユーリ一人だけだ!!!」

「バカなこと言わないで!!!何を言われても・・・私の答えは一緒よ!!

記憶が戻ったら,王宮に行くからひとまず引き取ってください!!!」

そのようなことで納得するはずのないカイル。

「わたしの愛していたユーリはそのような弱気な娘ではなかった!!!」

「なにねぼけたこといってんのよっ!!記憶のない私はあなたの愛妃ではないわっ!!

だから、寵愛を受けたご側室でもなければなんでもないわ!!」

カイルとユーリが言い争いをしていたそのとき・・・・

「ただ今,なんだか騒がしいね。ユーリ帰ってきたよ。

渡したいものがあるんだーッと,お客様かい??????」

第10話  帰還                作 あかねさん  

「ジェイド!!お帰りなさい、ジェイド!!」

ユーリは、男に飛びついた。

「「なっに~~~~!!」」

記憶をなくしているとはいえ、ユーリはユーリだ。

そのユーリが、自分以外の男に抱きつくなど・・・カイルには、考えられない事だった。

「ユーリ、ただいま。待っていてくれたんだね。」

「ジェイド・・・あたし、あの、答えを・・・。」

「ちょっと待って、ユーリ。・・・・これ・・・・。」

ジェイドはポケットから、指輪をとりだした。

「ジェイド・・・これ・・・!」

「ユーリ。受け取ってもらえないかな?」

ジェイドがユーリに渡したものは、結婚指輪。

ぶちっ。

カイルがきれた。

「ユーリ!お望みの奴が戻ってきたんだから、王宮へ帰るぞ!」

「王宮?・・・ユーリ、この方達は誰?」

「なんか、私の記憶のあった頃関係していた人たちらしいの。・・・皇帝陛下様。」

ずるっ。

ジェイドは、こけた。(すべった?)

ユーリに、皇帝陛下が関係してる・・・?

そーいやユーリ、なんか、”イシュタル”様に似ているような・・。

もしかしたら俺、凄い人を好きになってしまったのでは・・・・・!?

第11話   それは言わない約束           作 しぎりあさん

「も、もしかしてユーリ、君って・・・イシュタル様?」

 そんなはずはない、と思いながらもジェイドはたずねてみる。

「そうかもしれないけど・・でも、今の私はただのユーリよ!」

 ユーリは胸を張ってみせる。記憶のないのを偉そうにしても仕方ないが。

 ジェイドは青ざめたまま、立派な服装の人・・皇帝陛下に目を向けた。

「そうかもしれないって・・そんないい加減な・・」

「ユーリは、間違いなく私の妃だ」

 カイルが憮然とした面もちで言った。皇帝の威厳の前に、ジェイドは跳びすさって、ひれ伏した。

「も、申し訳有りません」

「ちょっと、ジェイドってば、なにぺこぺこしてるのよ」

 駆け寄ったユーリは、きっとカイルをにらみつけた。

「いくら皇帝陛下だからって、そんな風に威張るなんて、サイテー」

 カイルは別に威張ってはいない。勝手にジェイドがびびってしまっただけなのだが、ユーリにしてみれば、そう見えたのだから仕方がない。

「サイテーって・・何を言うんだ!!」

「サイテーだからそう言ったのよ!なによ、威張りんぼ!嫌いよ!!」

「ユ、ユーリっ!」

 皇帝陛下になんて口を。絶対、極刑だ。ジェイドは震えながら、カイルを見上げる。 カイルは怒りに身を震わせ・・と思ったら、よろめいた。

「なん・・と言った、ユーリ?私を・・嫌いだと?」

 見る間に青ざめると、顔を覆う。

「ユーリが、私を嫌い・・・」

「ちょ・・ちょっと?皇帝陛下?」   

第12話  など言ったら・・・      作 友美さん第13話

「あのねー、皇帝陛下。おわかりなってます????今の私はただの平民!!

記憶のあった頃は正妃だったかもしんないけどねー、今は違うわっ!!

私は、・・・私はただの女の子なのよッ!!!いいかげんしつこいわよ!!!」

「ユーリそれはいいすぎだよ・・・・。皇帝陛下に申し上げます。

俺・・じゃなかった私はユーリを諦めるつもりはありません!!!

ユーリがあなたを選ぶなら話は別ですが・・・。選ばないとゆうことは私にも

まだ脈ありと結うことですね。違うか???ユーリ」

「なにいってるんだ?????極刑にするぞ貴様っ!!!」

カイルかなりきれてるようです。

「-勝手な事言ってんじゃないわっ!!!ジェイドのいってる事はあたってるわっ!

でも私まだどっちを選ぶともいってない・・もしかしたらどっちも選ばないかもしんないわよッ!だって,ジェイドはいい人だけど恋してるかどうかはわかんないし・・・

皇帝陛下のことはまったく思い出さないし・・・・。どっか他の国で暮らすかもねー・・・わかんないわよ。先の事は。だから答えをせかさないでよ・・・!!」

第14話   質問             作 あかねさん

「・・・ハディ。私は一度、王宮に戻る。ユーリの側にいたいが、政務もしなければ。

 三姉妹。ここに残ってユーリと一緒にいてくれ。」

ユーリの、「「どっちを選ぶかワカラナイ宣言」」があってから、半時。

カイルは、王宮へ帰る支度をしていた。

「はい、陛下。何があっても、ユーリ様をお守りして見せます!」

「・・・頼んだぞ。」

ユーリは、部屋にこもっていた。

カイルはユーリの別れも言わずに、王宮へと帰っていった。

「・・・ハディ、さんだっけ?ちょっと教えてくれない、ユーリのこと。」

ジェイドは、ユーリのことが気になるらしい。

そりゃぁ、そうか。

自分の愛した娘が、皇帝陛下の寵姫で、イシュタル様で・・・。

なーんていきなりいわれても、信じられない。

「はぁ、しかしお話しするといわれても・・・。」

ハディは、何を話していいかワカラナイのだ。

あんまり込み入った話はまずいだろうし、ユーリが皇帝の妃であることは分かっているし。

「じゃぁ、ユーリはどんな娘だ?」

第15話    どんな娘?              作 NDESIKOさん「どんな娘と言われましても・・・一言で言えば明るくて活発な方ですわ!!

意志が強くて、言い始めたら止まらなくてでもかわいらしくて・・・

皇帝陛下のそばにいる時が一番輝いて見える方ですわ」

ハディーはカイルのそばにいる時のユーリを思い出していた。

「そう・・・ハディーさんはほんとにユーリが好きなんだね・・・」

「えぇー大好きですわ・・・口に出して言った事はないですけど・・・」

ジェイドは皆がどれほどユーリの事を思っているか痛感した。

そして自分はユーリに相応しくないという事も・・・

「ハディーさん・・・俺やっぱりユーリの事諦めます。

ハディーさんが言うようにユーリは皇帝陛下の側にいた方が

輝いて見えると思います。

「ジェイド・・・」

「だからお別れです。ユーリは明日皇帝陛下のもとにお送りします。

だから今日はお引き取りください。」

ハディーはジェイドの気持ちが痛いほどよく分かった。

「分かりましたわ。では明日お迎えに上がります。」

第16話  ふざけないで!!!!       作  友美さん

「-・・・・・かってなこといわないでっ!!!

私まだ陛下を選ぶなんていってないわっ!!!!

もういいわっ!!!

私ジェイドのこと友達としかみれないってことよおーっくわかったからっ!!!!!!!

でも・・・・、陛下のことは好きじゃないわっ!!!

だから・・・・

この国を出て行くからっ!!!!」

「「なにいってるんですかーーーー!!!!!!!無理ですわっ!!ユーリ様

は陛下の御寵姫なのですからっ!!!!」」

「だからー、離婚でもなんでもできるじゃないのっ!!別に別れられないってわけでもないんでしょう???????大丈夫よ・・・・・私なら・・・・」

「ですが・・・・ユーリ様・・・・・」

ハディがなにかいおうとすると・・・・

「あのね、後宮に戻って私に何しろってゆうのよ・・・・・

記憶が戻らなくって陛下を愛してるかどうかもわからない状態で・・・夜伽なんて私はいや・・・・だから・・出て行くね・・・。

いままでありがと。ハディさん。陛下にもよろしくね!!!」

第17話    なんとしても          作 セイラさん

冗談じゃない!!!!このままユーリえる様が帝国を出て行かれたら…

崩壊する 帝国が 陛下が 壊れてしまう

「ユーリ様 ご無礼します!!」

言うや否や、ハディは、ユーリに頭から大きな袋をかぶせ(どこから出したんだ)、否応なしにぐるぐる巻きにして、馬に乗せ、後宮に連れ戻した。

簀巻きにされて連れ戻されたユーリを見て、ただ驚いている皇帝にハディは、

「陛下 ユーリ様に働いたご無礼いかようにもご処分くだい。

でも こうでもしないと、ユーリ様は、帝国を出て行かれると……」

泣きながら告げるハディに、思わず、(「でかした!!」)

と叫びそうになるのをこらえつつ、ぐったりして気を失ったユーリを

抱きしめ カイルは 

「わかった ひとまず私の部屋で寝かせよう。 侍医を呼べ!!なんとしてもユーリの記憶をとりもどすのだ」

「ここは…どこ??」

柔らかい羽根布団の中で目覚めたユーリは、ただ呆然としていた

第18話  ユーリの大切なもの       作 かずはさん

(ここ、どこかで見た気がする・・・)

「ここは、私の寝室だよ。」

ユーリが振り返ると、カイルがいました。

「皇帝陛下!・・・私をこんなとこに連れてきてどうするつもり?夜伽なんか絶対にしないよ。」

「わたしは、お前にそばにいてほしいのだ。ここでなら記憶も戻るかもしれないし。」

そこに、ハディと侍医がやって来ました。

「ユーリさま、先ほどは申し訳ありませんでした。ユーリさまにいなくなってほしくなかったものですから。」

「・・・もういいよ、そのことは。」

「侍医、何とかしてユーリに記憶を思い出させることはできないのか?」

カイルは、侍医に尋ねました。

「そうですね、イシュタル様が記憶を無くされる以前の1番の思い出の場所に行ったり、何か、鮮明に記憶に残っていることをして差し上げれば、記憶は少しづつでも戻ると思います。」

「ユーリがいちばん記憶に残っていることか。」

(ユーリは何をいちばん鮮明に覚えているだろう。)

カイルは、ハディ、リュイ、シャラや、キックリ、イル・バーニ、ルサファ、そして3隊長を呼びました。

「ユーリが記憶を無くす前の1番大切なものは何だと思う?」

「ユーリさまがですか?それは、陛下ではないのですか?」

「・・・だが、私を見ても何も思い出さない。侍医によると、ユーリが鮮明に覚えていることをすると記憶が戻るかもしれないと言うことなんだ。鮮明に覚えていると言うことは、ユーリにとっての大切な思い出だということなのだが。」

「・・・あ!ユーリさまが大切にしている物がございます!」

「ほんとか、ハディ!いったい何なのだ?」

「以前、ユーリさまがミタンニに連れて行かれたときに陛下が差し上げたタブレットです。」

(タブレットというと、私が前にハートを書いて送ったものか。そういえばユーリは、宝物って言ってたか。)

カイルは、ユーリが大切にしていたタブレットをユーリに見せることにしました。

(これで少しでも記憶が戻るといいのだが。)

第19話   タブレット          作 あかねさん

「カイル・・・これはいったい・・・?」

ユーリの自称『宝物箱』をあさって、ハートのタブレットをもってきた。

「これは・・・。お前が、ミタンニ・・・いや、分からないだろうな。

 お前の国で、これは【愛している】と、いう意味なんだそうだ。私は、それをお前か

 ら教えてもらい、こうしてタブレットに・・・ユーリ!?」

カイルは、あわてた。

いきなりユーリが泣き出したのだ、いや、涙が頬を一筋流れた。

しかし、それは泣いているにかわりない。

カイルはおろおろするばかり。

「・・・ねぇ、カイル。あたしは、これをもっとたくさんほしいとかいわなかった

 の?」

「・・・あぁ、いわなかった。なんにでも彫ってやるといったのに。お前は、なんてい ったと思う?」

そう、覚えている。

お前がここに残ると決めたあの日に、私はお前に問いかけたな。

『なんにでも、ハートを彫ってやるよ。何がいい?』

そうしたらお前は、こう答えたんだった。

『いらないよ、一つでいい。こんな、タブレットじゃなくていい。本物が、愛そのもの が私の側にいるのだから・・・。』

お前は、知っていたか?

私がその言葉に、どれだけ勇気づけられたか。

お前は知っているか?

私がその言葉を、どんなに待っていたか・・・。

「カイル、私覚えてはいないの。・・・でも、私は本当に貴方を愛していたんだね。 

 ・・・ありがとう。」

第20話 うわのそら            作 しぎりあさん

ジェイドの元からむりやり王宮に連れてきたことに対するユーリの怒りはとけたようだった。

それに、タブレットのおかげで「カイルを愛していたらしい」ことにも納得してくれたようだ。

けれども、カイルのことを思い出したわけではない。

顔を合わせると突っかかってくるようなことはなくなったが、いまだ手すら握らせてくれない。

夜伽とは言わないが、せめて同じ寝所で休んでくれと懇願すると、「枕でも抱いていたら?」と冷たい。

試しに枕に「ユーリ」と呼びかけ抱きしめてみたが、もっと小さくてしなやかで暖かでなめらかなホンモノの感触を思い出して虚しくなるばかりだった。

じつは、思いあまって夜這いをかけかけたが、廊下で三姉妹に阻まれた。

「いまのユーリ様に大切なのは、ゆっくりと時間をかけることです。せっかく後宮にとどまられることを了解されたのですから、どうぞ、無体なことはおやめ下さい。ユーリ様がこの国を出ていかれたらどうされるのです!!」

泣きながら取りすがられると、カイルも無理を言えなくなる。

「はあ」

ため息をつく。

手の中の粘土板に何度もユーリの名前を書く。

「・・・陛下」

イル・バーニが、冷え切った声で注意する。

いっそ、ユーリをもう一度殴れば記憶を取り戻すかも知れないと、提案したのは彼だ。

さすがにそれはできなかった。

水路がどうのと説明し始めるイルの声を遠くに聞きながら、カイルの思考はさまよう。

幸いに、皇妃としての責務を果たす必要はあまりない時期だ。

カイルも、結構ひまかもしれない。

本来なら、ささいなことはイルに押しつけて二人でどこかに行こうかと思っていたのだ。

アリンナに数日滞在するとか、ちょっと遠くなるがハレブでも良かった。

休暇を取ってのんびりすごし、日が高くなるまで寝所に籠もったりしようかと、計画していた。

それがユーリの脱走で、未だハットウサの王宮に囚われたまま、淋しい独り寝の日々を送っている。

(あいつは、どうして大人しくできないんだ。なぜ、私のことを忘れるんだ!)

腹は立つが、面と向かうと何も言えなくなるし、おまけに泣かせてしまった。

あれから、ユーリはタブレットをずっと抱いていた。不安なのは、わかる。

はあ

「・・・陛下、お聞きですか?」

「あ、ああ」

「では、私が今申し上げたことを繰り返して下さい」

「・・・」

今度は、イルがため息をついた。

「どうやら、今日は御政務は無理です。お疲れでしょう、お休み下さい」

どうしたんだ、イル!なにか悪いモノでも食べたのか?

訊ねることはせずカイルは立ち上がる。

気が変わらないうちに、さっさと後宮へユーリの顔を見に行くつもりだ。

疲れているにしては素早い動きの背中に、さらに声がかぶさった。

「いっそ、転地療養でもされたらどうです?お二人で旅行されるとか・・・」

扉でカイルは立ち止まり、気味の悪いものを見るようにイルを振り返った。

第21話  期待はずれ           作 華蓮さん

「ほんとか?本当に行ってもいいのか?」

カイルは、イル・バーニの言ったことが信じられなかった。

「はい。陛下はユーリさまの記憶が戻られないと、政務に集中できないみたいですから。

その代わり、ユーリさまの記憶が戻られたら、政務はきちんとやっていただきますから。」

「わかってる。」

カイルは、そういうとユーリのところに飛んでいきました。

「ユーリ、ちょっと2人で出かけないか?」

「カイル?仕事は?イル・バーニに怒られるよ。」

「あいつがいいって言ったんだ。旅行にでも行ったらって。

みんなユーリに記憶を取り戻してほしいんだ。」

「出かけれるんだ!うれしい!」

記憶をなくして、王宮に来てから、ユーリはほとんど出かけてなかったので、ユーリはかなりうれしそうでした。

「カイル!どこに行くの?」

「そうだな。ハレブに行くか。私とお前がはじめて結ばれたところだ。そこなら、兄上もいるし、ユーリも何か思い出すかもしれない。」

カイルとユーリは、ハレブに向かうことにしました。

カイルとユーリが急いで出かけようとすると、後ろから、キックリ、三姉妹、カッシュ、ルサファ、ミッタンナムワが追いかけてきました。

「お待ちください、陛下。陛下とユーリさまを2人だけで、出かけさすわけには行きません。

どこにどのようなものがいるかわからないのですから。われわれも参ります。」

かいるは、2人きりで出かけれると期待してたので、ちょっぴり悲しかったです。

でも、ユーリは、カイルの気持ちも知らずに、「みんなで出かけたほうが楽しいよね!」

と喜んでいました。

結局、みんなでハレブに向かうことになりました。

第22話  ハネムーン再び         作 しぎりあさん

ユーリはアスランのこともどうやら覚えていないようだった。

引き出された愛馬をしばらく眺めていたが、不思議そうな顔をするだけだった。

カイルはこれ幸いにと自分の馬にユーリを乗せ(必要以上に密着して)ハレブに向かうつもりだったが、そこはユーリ、いくらもしないうちに、自由に乗り回すようになった。

天気は良い。

少数の側近達と思い出の地ハレブに向かう。

はしゃぐユーリの姿を見ていると、そう悲観することもないと思えてしまう。

「これは、陛下。お待ちしていました」

「兄上、お世話になります」

ハレブ知事テリピヌの出迎えを受ける。内密の旅行だとは、連絡してある。

「よろしくお願いします」

ユーリも挨拶する。

途中、「皇妃の記憶喪失は、国家の重大事」と言い含めた。

記憶を失ったことは、秘密にしてあった。

「おお、イシュタル様その後、いかがですかな」

「ええ、ありがとうございます。まずまずですわ」

なにが「いかが」なのかは知れないが、そつなく返事する。

さっそく部屋に案内される。

テリピヌは訳知り顔にカイルにうなずく。

「国元におられたら、陛下もハメをはずせないでしょう。どうぞ、こちらではごゆっくりおくつろぎ下さい。邪魔はしないように申しつけてありますので」

さらに、声を潜めて。

「何しろ、陛下もイシュタル様もお若いですからな」

兄というのは、ありがたいものだ。

「思い出の夜」の後4日間寝所に籠もり続けたときも、大騒ぎせずいてくれた。

カイルはあの日のことを思い出して、しみじみとした。あの時交わした言葉の一つ一つまで覚えている。

「ねえ、カイル。あたしはこの部屋使うとして、カイルはどこ?」

のんきに寝台に腰掛けてユーリが聞いてくる。

ユーリはあの夜のことを覚えていないのだ。

「私も、この部屋を使う」

「えっ?」

飛び上がったユーリに、いかにも残念そうに告げる。

「仕方ないだろう、兄上はお前の記憶喪失は知らないし、私たちは夫婦だ。大丈夫、お前がいいと言うまではなにもしないよ」

いまのところは、カイルには計画があった。

ユーリが記憶を失い、二人の関係がまっさらに戻った今、最初から始めればいいのだ。

ハレブ滞在は10日間。その間に、かってのプレイボーイの名に賭けてユーリを陥落させる。

外に連れ出し、心が開放的になったときに口説き、贈り物ぜめにし、ちいさなスキンシップをくりかえす。

完璧だ。

おとしたあかつきには、4日だろうが、5日だろうが、寝所籠もりを決行しよう。

名付けて「ハネムーン再び」作戦だ。

第23話    鮮明           作  あかねさん

「なぁ、まずはユーリ。この城の側でも散歩してみないか?」

そっけなく、カイルが誘う。

元々ユーリは外が好きなのだから断る理由などない。

「いく!!やったぁ!!」

ユーリは、アスランに乗って草原を走り回っていた。

こうしてみてみると、記憶など失っていないかのように見える。

昔のままのユーリだ・・・・・。

「カイル!ねぇ、みて!綺麗な花だよ!!」

「ん・・・?あぁ、この花・・・。前にお前が教えてくれただろう?

 たしか・・・・ヒマワリ・・・・。」

「やっぱりそうなんだ!!どうりで似てると思った。へぇ、綺麗。

 ・・・あれ、私カイルにそんなこと言ったのかなり前じゃない?」

ふと、ユーリが記憶を取り戻したのかと思った。

確かにユーリの教えてもらったのは、ずっと前だ。

かれこれ、3~4年くらいか?

「ユーリ、何故それを知っている?」

「わかんない。でもね、私一度ここに来ているよね。・・・カイルと2人で。

 何か特別な場所だ・・・・・。」

そりゃそうだろ、ここはお前を初めて抱いた場所だ。

いつの間にかユーリはヒマワリ畑に降りていってはしゃいでいる。

カイルは、鮮明に思い出した。

あの日、ユーリを抱く前にここに来たのだ。

ユーリは私に、「この花は夏の花だよ」といって、渡してくれた。

「カイルの誕生日の花だよ」といって。

ユーリ、お前は何故記憶を失った。

どうして私を忘れてしまったのだ!?

お願いだ、お願いだから・・・・思い出してくれ・・・・・。

第24話   きらめき         作  しぎりあさん

カイルがつみ取って渡した大輪の花束を、ユーリは嬉しそうに抱えた。

風が光を帯びて、二人の周りを流れる。

ユーリがふと、カイルを振り返った。

「ねえ、カイル。あなたってもしかして、夏生まれ?」

「・・・そうだが、どうして?」

花束の中に顔を埋めるようにしてユーリが笑う。

「だって、なんだか、ヒマワリってあなたのイメージ・・・本当はもっと高貴な花の方が似合うんだろうけど」

カイルは、息をのむ。

ユーリがはしゃいだ声で立ち上がるのを、黙って見上げる。

「いっつもお日様を真っ直ぐに見ていて、それできらきらしていて、みんなが引き寄せられるの!!」

逆光に、ユーリの黒髪が金の輝きで縁取られる。

短いチュニックの裾が、風でなぶられている。

「・・・私がいつも見ているのは、お前だよ・・」

ユーリが明るい声をあげた。

「そんな風に、女の人を口説くの?」

弾むように歩き出そうとする腕をつかむと、抱きしめた。

「・・他の女など、どうでもいい。私はお前しか見ていたくない」

「ちょっと・・」

ユーリが、赤くなった。

抱きしめられたことで飛んでくると予想した平手打ちは、来なかった。

カイルは、腕の中の身体が硬くなっていないことに気づいた。

「ユーリ・・」

「ごめんね・・」

ぽつりと、ユーリが言った。いつの間にか、瞳がうるんでいる。

「あたし、すごくあなたのことが好きだったんだと、思う。でも、思い出せないの。あなたが、すごくあたしを愛してくれていることも、分かる。でも、どんな風にそれに応えていいのか分からないの」

「かまわないさ」

ユーリを振り向かせると、カイルは身をかがめた。

目の高さを合わせて、真っ直ぐに見つめる。

「一から、始めればいい。出会ったところから始めて、恋をして、それから愛を育てていけばいい」

「カイル・・」

「私を・・・好きになってくれるか?」

ユーリが、こっくり頷いた。  

「さすが、陛下ですね」

キックリが感心した。

「あたりまえだ、これでもハットウサ一のプレイボーイだったんだぞ」

ユーリに骨抜きにされるまでは。カイルは自慢すると、小箱を開けた。

「それでは、今夜から・・・」

「まてまて、焦るな。素人はこれだから困る。ひとまず、おつき合いは承諾させた。今後は贈り物などで、壁を突き崩して行く、どうだ、これ?」

きらびやかな宝石を取り出す。

「・・・どうも、ユーリさまのご趣味ではありませんね」

「そうだな。ユーリは今までとはパターンが違う。贈り物も、宝石ではだめだな」

カイルは首をかしげた。貴族の令嬢に対しては百戦錬磨だったが、ユーリ相手となると勝手が違う。

落とすのに2年もかかった難攻不落な女なのだ。

「とりあえず、今晩の宴に出る衣装と装身具を贈ろう。兄上の御気遣いで、ユーリは私の傍にぴったり座るはずだ。そうしたら、触る」

「触る、ですか?」

いまなお、皇帝夫妻はれっきとした夫婦であるはず。

夫が妻に触る宣言をしてもおかしい。

「まめな、スキンシップをくりかえす。女というものは、スキンシップに弱いものだ」

ほんとうかなあ?

キックリは疑わしいと思った。

平手打ちが飛んでくるかもしれない。