My Darlingと呼んでくれ!

この短編はFrom one's heart 3 を元にした短編です。

*

「お前の携帯貸してくれ」

平常心装いながらなるべく自然な雰囲気で手をさし出した。

「なにすんの?」キョトンとした牧野の顔に思わずドキッとする俺。

悪戯する前の高揚感てこんなものなのだろうか。

俺は悪戯する訳じゃねぇ!

自分を落ち着かせる為のいい訳みたいな感じがしてきた。

「着信歴とか見るつもり?」

「心配しなくても『俺様』しか履歴ないよ」と牧野はゲラゲラ笑いだす。

この前牧野にばれた俺の携帯への牧野の表示名「マイハニー」

照れくさいから変えろと無理やりあいつの目の前で「牧野」に変えさせられた。

後でしっかりまた「My Honey」に変えたけどな。

仕返しに着信音はウエディングマーチにしてやったぞ!

俺の方だけじゃ物足りないから牧野の携帯も変えてやれと思いつく。

「別に浮気の心配なんかしてねえよ、俺の番号変ったから入れ直す」

表示名を何気に「My Darling」に変えるために考え抜いた俺の作戦。

笑顔のまんま素直にあいつが俺に携帯を渡した。

ボタンをさっさと押して素早く入力し直した。

普段の顔で携帯を牧野に渡そうとするが、気を抜くと頬が緩みそうで焦ってしまう。

手のひらが緊張の汗でテカテカ光ってた。

怪訝そうに携帯を受け取る牧野。

自分の携帯見つめて固まった。

「なにこれ!」

不快感に顔をしかめやがった。

俺の目に前に差し出された携帯画面。

表示された「My Darling」の下には俺の携帯番号。

なかなかいいじゃねぇか。

必死で力入れていた頬の筋肉がだらしなく緩んでしまった。

「別にお前以外見ないんだからいいだろう、『俺様』の着信名は飽きたからついでに変更した」

表示名変えたのばれるのは承知の事でばれてしまえばどうってことはない。

後は開き直りごり押しするだけ。

「別に私は飽きてないけど・・・」

ぼそっと牧野がつぶやいた。

それを聞こえないふりして無視を決め込む。

「変えたら承知しないからな!」

怒鳴るように言ってはみたが迫力なし。

「プッーーー」牧野は俺見て噴き出した。

「こんな事で道明寺はうれしいんだ」

今度は機嫌いいくすぐったい笑いを俺に向ける。

「悪いか」

ふてくされたように言ってみた。

「もしかして・・・私の表示名もまた戻したの?」

呆れたような顔して聞いてきた。

仕方なく「ああ」と頷く。

着信音の事は今は内証にしておこう。

「しょうがないな。その代わり誰にも見せないでよ」

今度は照れながら牧野が許可するほほ笑みを俺にくれた。

mebaru様のコメントをヒントに書いてみました。

着信音のヒントはC****様からいただました。

いつもありがとうございます♪

つくしの携帯の司の着信はなんになるんでしょうか?(笑