計画は・・・どこに?

*

「どこでもいいから早く入ろう」

牧野にせかされる様にランチ2000円~なんてボードに書かれているイタリアンの店に飛び込む。

せかされて飛び込んだのがホテルじゃないのが残念だ。

まだ昼間だ!と自分に言い聞かせる。

俺の計画じゃ青山あたりのよく行く店をキープしてた。

1か月待ちの予約を無理やりねじ込ませていれさせたのに難なくこいつは俺のプラン崩壊させてくれた。

朝から継続でこの調子。

俺に任せるって言ったいたはずの口からは、せかされる言葉しか聞いてない気がした。

俺の計画実行いまだゼロ。

「結構よさそうな雰囲気だねカップルも多いし」

にっこりほほ笑む牧野に「あぁ」とそっけなく返事した。

店の雰囲気もモダンな造りで若者にうけそうな作りになっている。

言われてみれば店の中はカップルだらけ。

土曜日にの昼下がり、カップルが目につくのも当たり前だとは思うのだが・・・

牧野の機嫌を損ねる様な返事はやめておこう。

計画通りに進まない俺のいら立ちなど全く気にしてないのか気がつかないのか牧野はメニューを真剣に見つめている。

どれもおいしそうで決められないて顔に書いてある。

「全部食べたいもん頼めば」

「私はブタじゃない!食べられる訳ないでしょう」

ふくれっ面で返された。

「ランチでいいや」

迷ったわりには決まったものは単純だった。

ウェイターにメニューを指さしランチを二つ注文する。

「私は一番安いランチでいいよ」

俺の袖口を引っ張り牧野が小声でささやく。

「お前!俺に恥かかせるな」

威圧的に牧野を黙らせた。

「こいつにかまわずこのスペシャルランチで頼む」

ないか言いたそうな牧野をチラリと視線を送りながらもウェイターは俺の注文を受けて頭をさげた。

「俺にいっぱいおごらせるんだろう?確かさっきそう言ったよな?」

目の前で困った様に顔をしかめる牧野が面白くて意地悪してぇ気分がわき上がる。

「俺が予約入れてた店よりもこっちの方が断然安いから気にするな」

「予約って、どこかいく予定あったの?」

「今日のデートバッチリ計画たたてると言っただろう」

一瞬大きく目を見開いた牧野の表情に困惑の色が浮かんでくる。

「それじゃ今からそっちに!」

「もう遅い」立ち上がる牧野の腕を掴んで座らせた。

「ゴメン」

牧野がうつむく感じに小さくつぶやく。

牧野の目の前で携帯とり出して予約キャンセルの電話を入る。

「あーーーせっかく予約してたのに」

ぼやくように言ってやった。

「ホントにごめん!許して!」

両手を合わせてテーブルに頭を付ける勢いで牧野が頭を下げる。

「これから後の時間は俺の言うとおり、拒絶なし!そしたら許す」

唇かみしめ眉をしかめながらも牧野がコクンと小さく頷く。

「すごく・・・意地悪・・・」

困ったようなニアンスで上目使いにつぶやく牧野にドキッと心臓が飛び出した。

俺の悪戯な気分から起こったこの展開。

牧野がぁぁぁぁ

俺の言うこと拒絶なしに聞くことにOK出した。

飛びあがるたくような気分をグッとこらえる。

これで逆転満塁ホームラン!

断然楽しくなってきた。