Birthday(tukusi 1)
*「もうすぐお前の誕生日だよな?」
12月28日は私の誕生日だ。
道明寺と結婚して初めて迎える誕生日。
それまでの私の誕生日・・・
プレゼントの豪華さで文句言って、喧嘩して、そしてあいつが切れた大学1年の冬。
毛皮に宝石、ブランド品、どれも私には必要ないものばかりだった。
大学2年の時は・・・
あいつが仕事でNY。
どうしてクリスマスと誕生日とイベントが近いんだと文句を言われた。
捨て台詞に正月も近いと言い返したことを思い出す。
大学3年は・・・まあまあいい思いでの誕生日が出来たのかな?
F4みんなで集まってみんなでお祝いしてくれて・・・
途中からお酒のせいで私の記憶が飛んでいて・・・
「お前に酒は飲ませねぇ」とすねた道明寺から宣言されていた。
いったいなにがあったのか・・・
未だにあいつは教えてはくれない。
去年は婚約発表以来マスコミに追いかけられそれどころじゃなかったよね。
「フッ」とため息ついていた。
別に大々的なことをしてもらう必要はない。
ただ一緒に同じ時間を過ごして・・・
二人でお祝いするだけでそれだけでいい。
でも・・・
道明寺の頭の中って誕生日=パーティなんだよね。
相変わらず貧弱な発想だ。
「パーティーなんて企画しなくていいから」
思わずそう叫んでいた。
「パーティーなんて考えちゃいねぇ」
少しムッとしたような表情が道明寺に浮かぶ。
「最近二人とも忙しかったろう?ゆっくり二人で旅行でもどうだ?」
道明寺にしては意外な発想に思わず驚く。
「そんなに驚くことねぇだろう?」
私の反応に気分を害された様に道明寺が口をとがらせた。
今、二人ソファーに並んで座っている。
そんな時間も久しぶりだと気がついた。
そっと肩にまわされた腕がやさしく私を包む。
「でも1日しか休みないよ」
「それだけあれば誕生日は一緒にいられる」
寄せあった肩に頭を預け耳元から聞こえる甘い声が心地いい。
「二人っきりがいいな、誰にも邪魔されすにず~とね二人っきりで朝まですごすの」
自分で言って思わず照れる。
「へぇ、お前も言う様になったなぁ」
不敵に笑って穏やかに道明寺が私を抱きしめた。
「二人っきりで内緒で出かけるか」
「ナイショは無理でしょう」
「西田にも内緒で、SP撒いて・・・おもしれえぞぉ」
悪戯っぽく道明寺がほほ笑む。
「警察総動員されてしまうよ」
クスクスと私の口元から自然と笑いがこぼれる。
「仕方ねえ、お前の誕生日までに妥協案を考えておくか」
「二人っきりが最低条件で西田に掛け合う。条件を飲まねぇと仕事しねぇて」
「それじゃあ、脅しじゃん」
「誕生日、覚悟しとけよ!」
道明寺の指先が愛しそうに私の顎をなぞる。
指先で唇をなぞられてビクッと思わず身体が反応した。
惹かれあう様につながった唇に一気に体中の体温が上昇する。
うっ・・・
今日の方が覚悟いるかも・・・
そんな思いを飲み込んで長い夜は更けていく。
このお話はmebaru様のキリ番リクエストにお応えして作成しました。
一話では終われませんでした(^_^;)
誕生日までの前ふりで終わってしまいました。
次が本当の誕生日になるかな?