Birthday(tukusi 4)

*

大人二人が入れるぐらいの距離を保って二人対面してお湯につかっている。

突然服着たまま露天風呂に投げ出された私はトンマなお間抜けにしか見えない。

「なあ?」

「なによ!」

「そんな恨めしそうな目で見んな。せっかくの誕生日だぞ」

その誕生日にしょうもない事やってるのは自分だろうがぁーーーー

別荘に着いてからどうしようもない相手を恨めしく思っても非難される筋合いはない。

「服着たまんま温泉に飛び込む必要ないでしょう」

「俺は着てねぇし」

バァシャッ

思い切り両手でお湯をすくって道明寺の顔にぶっかけた。

さっきからやりたい放題の道明寺を非難いっぱいに睨みつける。

「お前全然迫力ねぇ、俺を煽ってるようにしか見えねえぞ。下着透けてるし」

いつもの精かんな顔だちは車の中にでも忘れてきたようで全くしまりがなくなっている。

デレッとしたにやけきった顔の道明寺に慌てて自分の姿を確認する。

ブラもパンティーも正確なデザインの線を浮立たせて身体に生地がしっかり張り付いていた。

ガバッと首までお湯につけるように沈み込む。

「今さらそんなの隠したって意味ねえじゃん」

意味あるとかないとかの問題ではなく、恥じらいてもんでしょうがぁぁぁぁぁ。

そばにあった洗面器を掴んで温泉のお湯でいっぱいにして憎たらしい顔めがけてぶっかける。

「てっ!鼻に水が入ったじゃねえか」

鼻をかみながら不満そうな声が返ってきた。

少しは気分がすっきりした。

「服脱ぐから・・・反対向いてて」

「なんで?」

「いいから、向いて」

「今さら照れるなって」

「何なら手伝ってやってもいいぞ」

軽いノリで言葉を返す道明寺にプッンと切れそうになる。

「一つぐらい私の言うこと聞いてくれてもいいでしょう」

さすがに私の怒りを感じたのか渋々ながら道明寺が私に背中を向けた。

濡れた服は身体に張り付いて結構もたもたしてしまう。

素肌に張り付いたものをすべて取り去ると背伸びをするように全身を湯船の中で解放させた。

「やっぱり温泉は気持ちいいね」

「だろう?」

ゆっくりと道明寺が振り返り機嫌よくほほ笑んだ。

伸ばした足先が道明寺の足先と触れあって慌ててずらす。

「逃げんな」

私の足先を追いかけるように道明寺が足の裏を押し付けてきた。

素肌に触れるか触れないかの感覚はくすぐったくて軽い笑いを生みだしている。

「ちょっと、止めてよね。くすぐったいんだけど」

「クスクス」笑う私を面白がるように同じ行為を道明寺は繰り返す。

いつのまにか肩の触れあう距離に二人近づいていた。

私の肩に回された道明寺の腕の重さも心地よく感じてくる。

「あっ雪だ」

見上げた空からゆらゆらと白い結晶がお湯の中に溶け込んで消えていく。

「明日は寒くなりそうだね」

「俺らには関係ねえだろう。二人の熱で雪も溶けてしまう」

今まで聞いたこともないような道明寺のセリフに照れくささが先だって身体がポッとなった。

「のぼせそう・・・」

「お湯?俺に?」

「さぁ?」

クスッと笑って素早く道明寺の腕から逃れるように湯船から飛び出して、バスローブを羽織ると部屋の中に逃げ込んだのだった。

あ~このつくし誕生日のお話は何話までいくのでしょう。

誕生日からはだんだん遠ざかってるような気もしないではありませんが・・・

只今4編目。

そろそろ飽きました?

飽きてない?

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拍手コメント返礼

annie様

私もうらやましいんです(^_^;)