Birthday(tukusi 5)

*

ようやく落ち着きを取り戻す。

リビングの暖炉には槇が燃えて暖かな室温を作りだ出していた。

暖炉の前で二人寄り添って腰をおろしてあり合わせのものを口に運んでワインを飲む。

予定していた誕生日の手料理にしてはあまりにも違いすぎておかしさがこみ上げていた。

「誰かさんが邪魔するから・・・」

「誕生日の料理がこれなんて・・・」

緩んだ口の中にクラッカーを一つ放りこむ。

愚痴る様に言ってみても、雰囲気を損ねるような気配はなく・・・

触れ合う指先から暖かい体温だけが伝わってくる。

「ねえ?大学の時の誕生日でF4みんなで集まってお祝いしてくれたことあったよね?」

「お前が酔っぱらった時のやつ?」

「そう、それ!私が記憶なくして何にも覚えてないの」

「私・・・・なにやった?」

「今さら知らなくてもいいんじゃねぇ」

「聞きたい!教えて!」

この事を聞こうとすると道明寺は一瞬にして不機嫌さ丸出しの表情になる。

だから気になってしょうがなかった。

この際だから当たって砕ける覚悟で真剣に道明寺を見つめる。

「俺が思い出したくもない事言わせるんだからそれなりの覚悟はあるんだろうな」

さっきまでの甘い雰囲気は吹っ飛んで脅されているような感じにゴクリと唾を飲み込んだ。

今まで道明寺の好き勝手やられた気がするのにこれ以上何を要求することがあるのだろうか・・・

たいした違いを思いつけるはずがなく・・・

「覚悟はあ・・・る・・・」とつぶやいた。

「あの誕生日の前、結構派手に喧嘩していたろう?」

「お前さんざん俺の悪口言っくれていた」

「『なんで道明寺なんだろう』とか大声で叫んでいて総二郎やあきらがお前を煽るもんだから、最後には俺と別れるとか叫んで類に抱きついて・・俺と知り合う前に戻りたいとかさんざんなこと言われたぞ!」

私に話ながら思い出したのか完全に不機嫌さが増長されてしまっていた。

「全然覚えてない・・・」

「俺がお前に振られるなんて思い出したくもねぇ、最悪の誕生日だったよな」

「朝になったらお前はケロッと忘れて、楽しかったて俺にほほ笑んだんだぞ」

「楽しかったて思ったのは覚えている・・・」

気まずい雰囲気に思わず頭を抱えていた。

「なにが楽しかったのか言ってもらおうか?」

不敵にフッと笑って道明寺の顔が私に迫る。

なにが楽しかったって・・・

後にも先にもみんなで私の誕生日を祝ってくれたのはこれが最初で最後で・・・

それがうれしくて・・・

はしゃぎすぎて・・・

飲み過ぎて・・・

花沢類に抱きついたことも、道明寺に別れると宣言したこともまったく異次元の話の訳で・・・

言えるわけないの解かってるくせに、意地悪そうな目をして迫ってくる。

「今日の誕生日で・・・チャラということで・・・」

「ほら!今日は道明寺最初からやりたい放題で・・・」

「お前も楽しんだだろう?」

思わずズルと腰を後ろに引いてしまっていた。

「温泉にも私、服のまま投げ入れたし・・・」

「俺をおいてきぼりにして逃げたよな」

「あのままだとヤバイかなとおも・・・って・・・」

触れていた指先をからめとられ行き場を失って床に倒れ込むしかなくなっていた。

両手を押さえられ身動きを抑制された状態で床に押さえつけらる。

あ・・・

やっぱり・・・

このパターンですか・・・

塞がれた唇は道明寺の不機嫌さを飲み込んで絶え間なく絡めあい求めあう。

抵抗しようにも触れられた皮膚の先から身体が反応してしまい頭の中からすっぽり理性が抜け落ちていく。

「あの・・・ベットに・・いって・・・」

「無理」

「今さら止めらんねぇ」

執拗にくりかえされる旋律に抵抗出来るはずもなく・・・

求められるままに受け入れて・・・

逃れられなくなっていく。

いったい誰の誕生日なのか・・・

そんな思考も停止して・・・

窓の外では静かに雪だけが降り積もっていった。

そろそろこのお話も先が見えてきたかな(^_^;)

次は司の誕生日で♪なんて思った方はプッチと一つお願いします♪