Birthday(tukusi おまけのお話)

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つくしの誕生日のあくる朝。

起こさぬ様にそっとベットを一人抜け出す。

誕生日のプレゼントで用意したピアス。

昨日は結局渡せずに終わってた。

抱きしめて・・・

触れ合って・・・

離れられなくなって・・・

脱ぎ捨てられた俺のスラックスのポケットの中・・・

リボンの掛けられた小さな箱が出番を待ってる事が言えなくなっていた。

このままポンと渡しても面白くねぇ。

ベットの枕元に置いておく。

クリスマスは先週だ。

食事の時にパンの中にピアスを挟んでおく。

そのまま食べて、気がつかず・・・

飲み込むなんて笑い話・・・

つくしの大口開けて食べる雰囲気ではありえない事じゃない。

そんなことになったら・・・

思い出も臭くなりそうだ。

サプライズ的な喜ぶ事がしてやりたい。

幸せの思いで作り。

そんな思いがわき上がる。

フト見つめた窓の外、昨日の雪で銀世界が広がっていた。

雪だるまでも作ってその中に入れておく。

俺の作業分の愛情がそこに追加されるはずだ。

早速作業に取り掛かかる。

「さみーっ」

冷気がすぐに全身をつつみこむ。

ベットの中に潜りてぇ。

横には最上の湯たんぽ付きだ。

昨日の甘い余韻をブルッと頭の中から追い出した。

雪だるま作るなんてガキの頃以来だ。

それも俺は使用人に命令して作らせていただけだった。

大人数人に命令して巨大雪だるま作らせったけ・・・

物置からかスコップとり出して雪をかき集める。

雪をひとつかみ丸めてコロコロ転がした。

転がるたびに雪の玉は大きさを増す。

結構おもしれぇ。

気がついたら夢中で遊んでいた。

今回は正真正銘、俺一人であいつの為に作った小さな雪だるま。

達成感半端じゃねぇ

出来た雪だるまの左の目玉に開いた箱の中からピアスを一つとり出し埋め込む。

つくしの誕生石タンザナイトの青色が目立つように。

後はつくしが起きてくるのを待つだけだ。

つくしの喜ぶ反応を考えるだけでクスッと笑いがこみあげてくる。

「雪だるま作ってんの?」 と、玄関先からつくしが顔を出す。

寒がるあいつを引っ張って雪だるまの前に連れてくる。

ピアスを見つけたあいつの表情・・・

瞳が潤んでるのに泣くもんかて・・・強がって・・・

相変わらず素直じゃねえぇと苦笑した。

このあまのじゃくに対抗するようにtous les deux の意味教えなかった。

教えたらあいつ・・・

どんな顔するのだろう・・・

俺の方が熱くなって身体が火照り出す。

「私、耳に穴開けてないんだけど・・・」

背中に響く牧野の言葉に思わず「さっさと開けろ」と照れ隠しに叫んでいた。

俺の背中に飛びついて「ありがとう」と、耳元でつぶやいたあいつの手のひらをギュっと握り返す。

満足な気分が湧きあがって愛しさが部屋中に充満していた。

後日・・・

しっかりつくしの耳にはピアスホールが開けられて、タンザナイトのピアスが光って俺を喜ばせた。

Birthday tukusi 編は終わったはずなのに・・・

懲りずにまた書いてしまいました。

今回は、ち**様の雪だるまを作る司がかわいいのコメントとmebaru様の後日談のリクエストにお応えして

おまけでお話を書いてみました。

楽しんで頂けたらプチっと拍手お願いたします。