100万回のキスをしよう!( おまけの話 )

100万回のキスをしよう! 8 の帰宅中の車の中でつくしが爆睡してしまった後のお話を短編として書いてみました。

 *

「最初はどうなることかと思ったけど。お前が解かってくれてホッとした」

くすぐったくて、安心して、フワッとなるそんな気分だった。

車の窓から見える街の光も輝やいて見える。

こいつが隣にいるだけでいつもの風景も楽しめる余裕を紡ぎ出す。

餓鬼みたいに無邪気に手放しで喜ぶ感覚。

こいつといると当たり前になってくるありえない現象。

自然と口元が緩んできてしまう。

やけに静かな隣の反応・・・

「・・・」

「おい!返事ぐらいしろ!」

「・・・・」

返事がねぇ。

俺の肩の上に置かれた顔からはすやすや寝息まで聞こえだしてきた。

起こすつもりで肩を上下にゆすってみる。

ゆられて落ちてきた頭を慌てて左手で抱えて膝の上に下ろした。

起きる様子はなく体勢が変わったことにも気がつかないままだ。

寝てる時だけは素直だな。

甘い感覚が心の奥で芽を出し始める。

こいつの寝顔見るの何度目だっけ?

俺が先に目覚めると飽きることなくなくこいつの顔を眺めている。

俺に全部身をゆだねてて安心しきってる感じが俺の独占欲を満足させてくれている。

今夜はそれだけじゃ満足できそうもねぇ。

ほっぺをツンツンと人差し指でついてみる。

これくらいで起きるわけなかった。

天井を向いている鼻を親指と人差し指でつかむ。

虫を追い払う感じに右手で払われた。

体勢を少し傾けて横になって再度スヤスヤ寝息を立て始める。

「なあ・・・つくし・・・起きろ」

身体をかがめて耳元で舐めるようにつぶやいた。

「う~ん」

オッ気がついた?

「ダメ・・・むにゃむにゃ」

ダメって・・・なんでそこで拒否なんだ。

「なあ」

「ヤダ・・・」

「おい」

「ムリ・・・」

こいつ・・・本当に寝てるのかッ

ふてくされる様なざらざらの気分がわき上がる。

全然素直じゃねッーーーーー。

絶対起こす!

「おい起きろ!」

つくしの身体を持ち上げて座席に起こして揺り動かす。

「あっ・・・もう着いた?」

寝ぼけた様につくしが手のひらで目をこする。

「まだ着いちゃいねぇ」

「道明寺の言葉で・・・安心したら眠気が襲ってきたみたい」

はにかんだように笑って俺の肩にコツンと頭を寄せる。

かわいい事いうな。

たまんなくなる。

それじゃなくても俺はたまってんだ。

「つくし・・・」

顎に指を添えて持ち上げる。

「カクン」

カクンて・・・

つくしの頭が後ろに反りかえっていた。

こいつ・・・

寝た・・・

また寝やがったーーーーーーー。

わざとじゃないだろうなッ

グッっ両手に力を込めて拳を作る。

到着した車の中からつくしを両手で抱きあげて大股最速で歩き出す。

「どうかされましたか?」

「寝てるだけだ!心配ない」

使用人を怒鳴りつけるように言い放つ。

こうなりゃベットの上で起こしてやる。

早く目を覚まさないとあぶねェぞ。

そんな俺の思いなど知る由もなく俺の腕の中でつくしの寝息は大きくなっていた。

この後どうなるのでしょう?

どうします?

続きの必要性感じたら拍手をお願いいたいます。