セリフの発端先は・・・ (西田編)
*
このお話は『第1話 100万回のキスをしよう!16』のお話の流れの中で、
「新婚てさぁ・・・」
「夫が家に帰ってきたら、『お風呂にする?食事にする?それとも私?』みたいな事を聞くんだろう?」
と司に知恵を付けたのは誰?という視点から出来たお話第二弾西田氏編です。
どんな流れでの発言か結構悩みました(^_^;)
*ジトーッ。
ネットリ・・・
恨めしく西田を眺める。
どこ吹く風と次から次に書類の山を渡される。
それもようやく底が見えてきた。
いくら昼間仕事をボイコットしたからと言ってあまりの仕打ち。
その倍の時間は仕事をさせられた。
これじゃ、真面目に仕事をしていたほうがましだった。
そしたら、今頃・・・
二人ゆっくり、のんびり、なんでも好き放題 !?
・・・は・・・・
抵抗されるか。
「昼間より夜の方が楽しいでしょうに・・・・」
独り言のように西田がつぶやく。
俺の心のうちを見透かされていないか?
「私にも、一応・・・新婚時代がありましたから・・・・」
西田が遠い目をしてなつかしむ。
「あの頃は手を焼かされる方もいませんでした」
ここ数年、私の家庭はどこに行ったのでしょうと怨み節を聞かされた。
以前から家庭の匂いなんて全然してなかったぞッ。
「蜜月は取り戻せません」
「でもいい思い出です」
「へぇ、お前にもそんな感情あったんだ」
「人をロボットみたいに言わないでください」
「お二人は今が一番楽しい時期でしょうが・・・」
それを邪魔しているのお前じゃないか。
「今まで誰も待ってなかった真っ暗な部屋に明かりがついている」
「妻が笑顔でお帰りと言ってくれるのがどんなに幸せだと感じた事か・・・」
しみじみと感情に浸る西田を初めて見た気がした。
別にお前の思い出話を聞く気はねッ。
それより早く仕事を終わらせるぞと書類にペンを走らせる。
「暖かい部屋で妻がつぶやくんです」
「『おかえりなさい。ご飯にする?お風呂にする?それとも私にする?』って・・・ 」
何の学芸会をおっぱじめた?
「今は・・・なにもありません・・・」
背中に哀愁が漂っている。
こんな西田は初めて見た。
すぐにピンと背筋を伸ばして「あまり手を焼かせないでください」って・・・
俺はガキじゃねッ。
それより、ご飯、お風呂、私ってなんなんだ?
新婚てそんな訳の分かんない事聞くのかよ。
聞いたことねェぞ。
意味分かんねぇーーーッ。
キョトンと西田を見つめていた。
「意味がお分かりになりませんか?」
「食事より、風呂より何より二人で愛し合いたいと言う意味ですよ」
珍しく西田がほほ笑んだように見えたのは気のせいか?
それ?
魔法の言葉じゃねぇの?
「ご飯にする?お風呂にする?それとも私にする?」
口の中で何度も反すうしてみる。
「あっ!それ言うの坊ちゃんじゃありませんからね」
クッ・・・
思わず唇をかみしめる。
つくしが言うわけねぇだろう。
言わせるの至難の業だろうがーーーッ。
もしかして・・・
西田・・・
俺を喜ばせるためにそこまで根回してるとか?
期待を顔に張りつけて西田を見つめる。
「そこまで私は立ち入れません」
俺の感情読むんじゃねぇーーーーッ。
西田に結構なお灸をすえられている気分になっていた。
第2弾です。
結構難しかったです。
皆さんのイメージーはどうでしょう?
西田さんの既婚の設定はmebaru様から頂きました。
西田さん・・・
亭主元気で留守がいいのパターンとして最適の様な気がします。
楽しめたと言う方はプッチと一つよろしくお願いいたします。