第10話 Must be you will love me 5
*-From 1-
抱きしめる腕の中やけに体温が熱く感じる。
急激な体温の上昇・・・
まるで湯たんぽ抱いているみたいだ。
「・・・」
「・・・・!」
「牧野、熱あるんじゃねぇ?」
「えっ・・・どおりでなんか熱いと思った」
「考えるのだるくなったの熱のせいかな?ハハハ・・・」
ハハハって・・・
そこ笑うとこじゃないだろう。
熱が下がったらさっきの喧嘩の続き始めるつもりじゃねえだろうな。
せっかくいい雰囲気まで持って行けたと思ったら、またお預けかと俺も笑うしかなくなった。
ここ数日どうなってるんだ!
天中殺、大凶、厄日、全部まとめて来てないか?
涙をのんで送るといって牧野の肩を抱く。
どうせならこのまま俺んちに連れ込みてぇーッ。
連れ込んでもなにも出来ないのは拷問気味。
このまま返しても拷問気味なのは変わりがない訳で、それならいっそ側にいたいと思う俺のわがまま。
熱下がればどうにかなるかもとの下心もないとは言えない。
「参ったな・・・明日までうちは誰もいなんだ」
「えっ?」
送り着いた牧野の家の玄関先。
緩んだ頬を慌てて引き締める。
ありがとうと牧野がドアを閉めきる瞬間に足を押し込んで締め出されそうになるのを阻む。
「病人を一人、置いておけねぇだろう」
「一人で大丈夫」
「道明寺がいても何にもなんないし、安静に出来そうもない」
真っ赤になって息が絶え絶えのなかで、よくもそこまで悪態付けるもんだ。
俺でも氷で頭を冷やしてやるぐらいできるぞ。
汗かいたらタオルで拭いて着替えも手伝ってやれるしな。
一緒に添い寝してもいい。
こいつのベットじゃ無理だよな。
「変なこと考えないでよ」
また一つ悪態つかれてた。
「それじゃ、俺んち。それがいい、そうするぞ」
「タマもいるし、医者も呼べる。使用人たちもいるから心配ない」
家でゆっくりするという牧野を抱きかかえて車に乗り込んだ。
さすがの牧野も熱の影響でほとんど抵抗を見せずにグッタリ気味だ。
ボーツとしたまんまの牧野をそのまま俺の部屋に運んでベットに寝かせた。
しんどそうな牧野にマジに俺も心配になる。
医者を呼んで薬を飲ませてた。
夜中近く落ちついた呼吸を取り戻した牧野はすやすや寝息を立て始める。
「もう大丈夫ですね」
一緒に側についていたタマもホッとしたようだ。
「タマ、もういいぞ、後は俺がするから」
「坊ちゃん、つくしが寝汗かいたらちゃんと着替えさせてくださいね」
「悪戯はしないように」
ニンマリ笑ってタマが出て行った。
全く一言多い、ばあさんだ。
「う~ん」
寝苦しそうに寝返りをうったつくしにギクッとなる。
熱のせいで軽く汗をかいてる額。
なまめかしく映るのは欲求不満のせいなのだろうか。
このままじっと見ていたらおかしくなりそうだ。
でも・・・
目が離せねぇーーーーッ。
牧野の顔を水で濡らしたタオルでそっとふきあげる。
漏れる吐息にドキッと心臓がわしづかみされた。
汗かいたら身体拭いてやらないとな。
タマがそうしろっていてたからするだけだ。
見たいとか・・・
触りたいとか・・・
なにかしたいとか・・・
邪な気持ちをごまかした。
パジャマのボタンをゆっくりと一つ一つ外す。
いつもより指が震えて時間がかかった。
うっすらと汗ばむ身体はどう見ても魅力的で俺の気持ちを誘い込む。
タオルでそっと肌をふきあげる。
胸から手が離れなく目もくぎ付けになってしまっていた。
気付かれないように思う心は必要以上に神経を研ぎ澄まさせる。
牧野の微かに動く皮膚の動きにも指先が反応してしまう。
頭の中で理性と本能が騒ぎ出す。
じかに触っても大丈夫なんじゃねぇ?
悪戯するなとタマに言われたし・・・
気がつかなければいいだろう?
気がついたらどう言い訳する?
身体拭いていたと言えばいい訳だし・・・
看病していたと言えなくはない。
理性を本能が押さえつけていた。
-From 2-
目の前の二つの丘のてっぺん。
ツンととがって触ってくれと主張する。
自分勝手な解釈で突き動く。
すっぽりと俺の手のひらに隠れる。
それがなんともちょうどいい。
しっとり吸いつくような肌の感触。
熱がないか確かめてるだけと誰に言い訳してるんだか。
ちょっと触って離すつもりがなかなか指が離れない。
このまま指を勝手に動かしたらさすがにやばいよな?
いくらなんでも気がつくだろう?
でも・・・
このままじゃどうにもなんねぇ。
指の先にゆっくりと力を送りこむ。
そっと・・・
ゆっくり・・・
指先一本ずつ・・・
肌の弾力が指に伝わって目の前の半球が形を変えた。
牧野の瞳は閉じられたまま。
睫毛が微かに動き、慌てて指先の力を抜いた。
それでもまだ俺の手のひらは牧野の胸を離そうとしない。
脳からは離せの指令が出てるはずなのに全く聞き分けのない奴だ。
口に含んだらどうなる?
気がつく?
気がつかねぇ?
一種の賭けの大博打。
やってみる価値・・・あるよな?
牧野を見下ろしていた顔を胸元に近づける。
暴挙気味だと思いつつ止められねぇ。
しょっぺぇ。
舌で汗を拭いていたなんて言い訳通じねえよな。
相変わらず牧野は目を閉じたまま、ウンともスンとも反応がない。
服を脱がせないと・・・
着替えさせるのが目的だと自分に言い聞かせる。
歯止め利くのかと思いつつ反応がない牧野に大胆になってきた。
万一の為と「牧野」と小声で名前を呼ぶ。
「フッ」と一息ついて襟元に顔を向けた。
はだけた胸元は俺がさっきまで楽しんでいた状態のまま。
俺の頬が緩んできた。
「てぇッ」
ガバッと突然起き上がった牧野のおでこが俺の横っ面に飛び込んだ。
思わず顔半分を抑え込む。
牧野も打撃を受けた様でおでこをさすり出す。
キングサイズのベットの中央。
上半身を起こした牧野の足の上でタオルを握りしめて倒れこんでいる俺。
牧野の胸元ははだけたままの半裸状態だ。
タオルを待っているだけまだ言い訳できるか?
「なにしてるの?」
「いや・・・」
「熱下がったかなと思って・・・」
「なんで、ベットの上でタオル持ってるの?」
「汗かいてるから拭いてやろうと思って・・・」
俺の言葉で牧野の視線が自分の胸元へと移る。
俺の握りしめたタオルと胸を幾度も交互に見つめ最後は「キャー」って、大声で叫ばれた。
「なにすんのよ」
しっかりパジャマの襟をつかんで素肌をかくし睨まれる。
「だから汗を拭いてやろうとしただけだ」
「だからなんで道明寺なの!タマ先輩だって、女の使用人だッているでしょう」
「俺意外にお前を触らせるのは女でも嫌だ」
お前に触れるのは俺だけだと相場が決まってる。
その相場を操れるのも俺だけだ。
「今さら照れなくてもいいだろう」
さっきまでのオドオド感が嘘みたいに引っ込んでいつもの俺を取り戻す。
遊んでいた訳じゃない。
しっかり真面目に看病していた。
お前の胸を見るまでは。
「お前の裸なんて、いっぱ・・・」
飛んで来た枕の発射先、涙目になっている牧野に次の言葉を失ってしまっていた。
-From 3-
夢かと思っていた。
胸のあたりをまさぐられる感覚。
つかまれていたような・・・
も・・もまれていたような・・・
汗を拭いているだけにしてはリアルだったような感触がよみがえる。
朦朧としていた頭の中、確信は50%。
はだけた胸に、側には道明寺。
どう考えても、ただ事じゃない。
病人に・・・
なにする気だったんだーーーーーーッ。
ここしばらく相手してなかったし・・・
中途半端に我慢を強いていた現実が頭に浮かぶ。
道明寺がヘンな気分になったとしても男ならしょうがねぇと開き直られそうだ。
「もう・・・ヤダッ」
こぼれおちそうになる涙をグッとこらえる。
意識がないのをいいことにどこまでする気だったんだろう。
目の前の顔は切羽詰まった様にゆがんでじーっと私を見つめていた。
「あーーーッ!泣くな!」
「お前に泣かれると弱い・・・」
動揺を見せる道明寺にわずかに気がはれて涙が止まる。
「・・・胸・・・触っていたでしょう・・・」
「えっ・・・気がついてたのか?」
やっぱりかと頭を垂れた。
「夢かなって思っていんだけど」
「意識がない時に手を出さないでよね」
「意識があればいいのか?」
なにを勘違いしたのか道明寺の目が力を取り戻している。
まだ許してないぞ!
それに病人!
ゆっくり休養が必要な状態なんですけど・・・
道明寺・・・
忘れてないか?
また熱が出てきそうだ。
「まだ・・・治った訳じゃないから・・・」
「分かっている」
「あんまり近づくと風邪がうつる」
「人にうつすと早く治るらしいぞ」
鼻先まで近づいてくる道明寺の顔を両手で阻む。
「お前からうつされたら本望」
捉えられた腕は絡められ唇を押し付けられていた。
息苦しさにわずかに開いた唇の先は道明寺の舌の侵入をやすやすと許してしまっている。
絡めあう感覚に戸惑いは薄れてきて反応してしまっていた。
キスだけで感じさせられてしまっている。
このままでは流される。
抵抗しようにも身体は思う様に動かない。
ボッーとしてるのはキスのせいなのか熱のせいなのか・・・
分からなくなってきた。
「これでもう・・・うつったかもなぁ」
ようやく離れた唇はうれしそうにつぶやいた。
「知らないからね、熱でても」
「本望だって言ってるだろう」
「最後まではやんねぇから」
耳元でつぶやく道明寺の指先はゆるゆると胸元を押し広げている。
身体から放たれる熱はいったいどこからくるものなのか完全に分からなくなってきていた。
ここからどうなります事やら。
さあ~どうする?どうなる?ご希望の番号をプッチとお願いたします。
結果は 3、1、2の順番でした。
途中からつくしが気がついてラブラブでおねがいしますという要望が多かったです。