恋人はSecurity Police 12

つくしがタマさんと新旧女子会をしてるその頃。

自分の部屋でつくしの帰りを首を長くしてソワソワと待つ司。

あいつ・・・帰ってくるの遅くねェか?

逃げた?

いや・・・それはねェ。

この時間、ドアが開いた瞬間に警報が鳴って警備が駆けつける。

トイレ・・・

部屋の外に出なくてもすぐそこにあるんだけど・・・

部屋の西の奥の部屋のドアを見つめる。

探すか・・・

ズボンのファスナーを上げてベルトをギュッと締め直した司が部屋を出て行った。

ただいまこんな時間設定で書いております。

この物語の発起人でありますまい2様からまたまた楽しいポイ捨てを頂きました。

続からお楽しみください。

あいつ本当にどこ行った!

次々にドアを開けて確認して回る司を使用人が不思議そうに見つめる。

「おい、牧野見なかったか?」

「牧野・・・様・・・ですか?」

そうか、牧野のこと知ってるやついなかった。

誰にも会わずに俺の部屋にいったからそれもしょうがないと司は気が付く。

「若い女を見つけたら俺の部屋に連れて行け」

「わかい女性ですか?」

これが西田なら、考えるそぶりも見せず「承知しました」の一言で自分のするべきことを把握するはず。

「もういい」

説明するのももどかしくて使用人にはお構いなく司はまたドアの開閉を続けた。

この家部屋があり過ぎだろう。

初めて屋敷の大きさを無駄だと司は感じる。

タマの部屋まで来たじゃねェか。

普段は滅多に誰も近づかない離れ。

年寄りの話を聞こうって暇な人間はこの屋敷に一人もいない。

たまにタマに見つかると説教されるのが落ちだから司もあえて近づこうとは思わない。

洋風の造りの屋敷で唯一の和室の造り。

障子に映る影が二つ・・・・

タマのところに好き好んでいくとしたらあいつしかいねェよな。

そっと近づいた障子の隙間から漏れてくる声。

やっぱ、いた。

「その道明寺はあんたにやるよ。おかわりはいくらでもあるから、た~~んとお食べ。

あたしが食べて欲しいのは違う桜餅なんだけどね…。」

道明寺?

た~んとお食べ・・・

俺を食べるのか?

まあ・・・ファスナーを下ろされたところで俺が眼を覚まさなきゃそうなってたとか?

あるのか!

ドクンと心臓が大きく音を立てて、障子を開けようとした司の手が止まる。

「別の・・・

ええ~!他にどんな桜餅がありましたっけ?」

別のって牧野の声に司に動揺が走る。

別のって!

俺以外のやつををタマが牧野に紹介してんのか?

タマは俺と牧野のこと反対してる・・・。

牧野ってタマの紹介で俺んとこにバイトに来たんじゃないのか?

つーことはタマは牧野のこと気に入ってんじゃねェのかよ。

この子、無意識に道明寺と桜餅を使いわけてるよ!!

坊ちゃん、タマは負けやしませんよ!と折れた杖を修復しにかかろうとしてるタマの気持が司に分るわけがない。

「ほれ!優しい中にも隠し味がある いい塩梅の桜餅だよ。

たとえば、その桜餅、外側は少し塩気があって柄の悪い色の葉っぱだけど、

その中に包まれてる甘い餡子餅を まるで隠すかのようにしてるだろ? 

いい塩梅の道明寺だ!」

塩梅の道明寺?

何だそれ?

俺のって塩梅味でもするのか?

自分で確かめるのは無理だと司は下半身に思わず手を当ててみた。

「そういえば、そうですね♪ フフっ♪」

牧野・・・

色っぽい笑い方するな・・・。

その声にかすかな反応を手の平から感じ取る司。

「なんだい!気持ち悪い子だね~。思い出し笑いなんかして!」

「だって~タマさんが柄の悪い葉っぱなんていうから、まるで道明寺みたいだな~て思って♪」

「ハハハ、あんたにかかったら 坊ちゃんも葉っぱ扱いかい♪」

葉っぱ?俺が?

こいつ等の会話が宇宙語に聞こえてきた。

俺のことを話している事は間違いないはずなのに意味が・・・見えてこない。

んん?葉っぱ扱い…。

笑いを収めた顔でタマを見つめたつくしは自分の勘違いにここで気が付く。

まさか…? 

道明寺って、そっちの、どう~みょう~じ?

えええ~~~!

「タマさん?

もしかして、その葉っぱ…

おっかな~い顔して不機嫌かと思えば、話しかけるとそうでもなかったりします?」

まさかの思いを確かめるためにつくしはゆっくりと自分の考えを口にする。

つくしのその態度に、ニヤリ!とタマの目が光った。

「おや?その葉っぱに見覚えがあるのかい?」

「…///見覚えというか、3口くらい///パックンされちゃいましたぁ~どうしよう。」

「パックン?」

「はい…///パックンです。」

ああ~キッスのことかい!

あたしの最後のキッスは 坊ちゃんに、おねしょを口止めされた時だったけどね…。

あの時の坊ちゃんは私によく懐いていて、それは可愛くて・・・

今の凶暴さが落ちつけば私は安心できる。

それには目の前で無邪気なカン違いを見せるこの子が一番だとタマの本能がそう告げてくる。

私の感に狂いはない。

この子しかいない気がするよ。

「その時、嫌だったかい?」

「ん~それがよくわからないです。それって好きな人とすることでしょう?

ホントの恋人同士てわけじゃないのに、いやじゃなかったんですよね・・・」

考え込む表情がタマの前で口をつぐむ。

つくしの目線は何かを思う様にタマから離れて遠くを見つめる。

つくしの視線に気が付いた司は慌てて身を屈めた。

あいつ等の言ってる意味本当に分からない。

それでも屈んだ姿勢で司は聞き耳を立てる。

合わさった唇の感触が艶めかしくつくしの唇に甦る。

一度目はびっくりして・・・

初めての感触に戸惑った。

2回目のキスはキスされるって思った。

逃げようと思えば逃げられたはずなのに身体が動かなくて、受け入れて・・・

3度目の時・・・

道明寺のキスが嫌じゃないって思ってる自分に今、つくしは気が付いた。

でも、あたしじゃない名前を聞いたら 胸が痛くなっちゃって、なんでだろう?」

途中からはタマに話してるわけじゃなく自分に問いかけてしまってる。

「最近寝入りが悪くてね~。

効つけに一杯やるんだけど、少し付き合ってくれるかい?」

おい!そいつに飲ませるな!

酔った女に手を出すほど俺は不自由してない。

今にもでて行きたい衝動を抑えて司は息を潜める。

「はい!」

つくしの元気な返事に司は大きく息を一つ吐いた。

「ところで、つくしは彼氏がいるのかい?」

それ!俺!

牧野俺だぞ!

俺だと言え!

普段はテレパシーなどの非科学的なものは信じてない司も今は必死で暗示をつくしに送る。

「え~彼氏ですか?そんなのいるわけないじゃないですか~。

あっ。道明寺の恋人役を脅されてやらされてますけど」

「脅されてねぇ・・・」

坊ちゃんなら頼みごとも脅してるみたいだからね。

ということは、坊ちゃんもこの子を気に入ってるってことだとタマはほくそ笑む。

「つくしみたいに 素直で可愛い子は 引く手あまたかと思ったけど以外だね~。」

「あたし、自慢じゃないけど 全然もてないんです。」

「じゃ~好きな人はいるかい?」

この時部屋の外でごそっと動く部屋の気配を感じ取るタマ。

あぶねぇつ。

入り口に置いてある清めの塩の乗った皿を足でけりそうになった司。

「好きな人というより~なんとな~く気になる人だったらいるかな~?」

「おや!ほんとうかい?それは どんな人かね?」

少しテンションが上がったつくしの声に司のテンションも上がる。

「んん~~おっかな~い顔して不機嫌かと思えば、話しかけるとそうでもなかったり。

物言いは乱暴なんですけど…あれれ?と思ったり…。で

も気がつくと、その人の目線が気になってて。

自分でも良くわからないんです…。

今日、初めて会ったばかりなのに変なんですよ。

でもね~タマさん。

あたし、一緒にいると 時々ドキドキするんです。なんでかな~?」

そいつは誰だよ。

今日会ったって・・・

類に総二郎にあきら。

あいつ等はおっかなくはねェか・・・

まさか・・・西田!

あいつは何考えてるか表情が読めねぇし、愛想はねぇし、笑わねェし。

物言いは乱暴じゃねェか・・・どちらかと言えば丁寧な物腰だ。

誰だよ!!!!!

「それは、あたしも知ってる人かい?」

俺の知ってるやつか?

「…んん~それは…秘密ですぅ。」

聞きだしてやる!

「今まで自分の生活がいっぱいいっぱいで 余裕なんてなくって!

余計なこと考えたことなかったから…胸がすっきりしないんです。

へへっ♪

この気持ちがなんなのか、わかりたいような、わかりたくないような…そんな感じかな。」

「タマには よ~くわかるけどね~」

俺にはわかんねえぇぞ。

タマ!

もっと聞きだせッ!

「ええ~!タマさんには私の事わかるんですか~?教えてくださ~い。」

「つくし…あたしが教えるのは簡単だけど、それは自分で見つけなくちゃ意味がないんだよ。」

「……難しいなぁ…?私に わかるかな~?」

「見つけたいかい?」

「……良く…わかりま…せん…。」 

寝落ち寸前の間のあいた声。

あいつ・・・すでに酔っぱらってるのか?

障子の透明な部分からそっと司は顔を上げて中を覗き込む。

「じゃあ~タマを信じて、試してみるかね?明日になれば、少しはわかると思うよ。」

「ん~信じる者は…救われるって……言いますよね…」

「もしそれがわかったら 自分の気持ちに正直になって ぶつかってごらん。

きっと幸せになれるよ。」

「は~~~い。 牧野つくし…頑張り…ます…。」

コテッ。

頭がちゃぶ台に落ちるのを司は見た。

今時こんないい子がいるとはね~。

坊ちゃんの味方というより、つくしには幸せになってもらいたいよ。

まぁ~案外、坊ちゃんの眼も節穴じゃなかったってことだ。

さあ~て、心配で寝れない坊ちゃんでも 呼びつけるとするかね。

腰を上げた先で司の視線とぶつかる。

「タマッ!!!」

乱暴に開いた障子の先に仁王立ちの司。

「欲しけりゃ、大きな声を出すなかれ!」

「おい、どういう意味だよ!」

「つくしが起きますよ。

見てくださいよ。この無邪気な笑顔。可愛くないですか?」

フニュッとちゃぶ台に鼻を押しつぶした顔もかわいいと思う意外性に司もタマに同調してしまってる。

こいつがどんなに不細工でも可愛いって思える自信が司にはある。

経った数時間でこんなに意識する奴は俺も初めてで戸惑ってる。

だから!絶対モノにする!

今日何度目かの司の決心。

身体の熱が・・・司の闘争心をかきたてる。

「坊ちゃん、このあたしと勝負しないか?」

いきなりそう切り出したタマの眼は真剣そのものだった。

「…勝負??。」

いまさらなんの勝負だ。

とうとうこのばあさんボケたか?

俺に勝てるものなんて年とか皺の数とかだろうが。

「そう~勝負だよ。坊ちゃんが勝てば…。」

「勝てば…?」

思わず、唾をのみ込む司。

「一生もんの宝を手にできる!でも、その宝はお金を出しても決して手に入らない。

今夜、手を出したら…一生かかっても不可能だろうね。

どうだい?勝負したくなったかい?」

つくしに手をだすなってことか?

寝入ってるやつに手が出せるか!

俺を見くびるなよな。

「上等じゃねぇ~か!」

「わかったら、とっとと持ち帰りな!」

タマの許可がなくても連れて帰るぞ。

俺に命令するな!

タマでもなっ。

面と向かって反抗するとすぐに杖が天井を向く。

坊ちゃんの幼少のころはと話が過去にもどってどんだけ俺がタマに甘えたか話し出すから言い返すとまずいことを司は身にしみているから口にはしないが表情はタマを不機嫌に睨み付けてる。

「こいつは、もらっていくからな」

「ほら、牧野!」

大事に 抱きあげたつくしの身体。

ぐらつく身体を固定するように自然とつくしの腕が司の首に巻きつく。

すやすやと規則正しい温かな息が司の襟元をかすかに揺らす。

「あつ!そうそう~寝冷えするとマズイから、よ~く温めておあげ♪

ニンマリと笑みを浮かべるタマに司は見送られて自分の部屋に戻った。

ベッドの上に横たえた身体は直ぐにゴロンと向きを変えて横を向く。

「そのまま寝ると、服が皺になるんじゃねぇのか?」

「おい牧野 !起きろ!」

本気で起こすつもりもなく軽く身体をゆする。

一応・・・起こそうとはした。

起きなかったのはお前

俺のせいにするなよ。

伸ばした指先がつくしの上衣のボタンを外す。

袖から脱がした上衣を自分の上着の上にかける。

服の方が先に重なったぞ。

今は・・・

こいつが側にいるだけで満足だ。

つくしの横に横たえた身体を左手で支えて眺めた。

間の抜けた顔してんのにな。

可愛さを感じて胸の奥がざわつく。

「道明寺」

形のいい唇がちいさく司の名を呼んだ。

そして司の胸元に吸い込まれるように牧野の身体が揺れる。

俺が抱き寄せたんじゃねェぞーーーー。

寝ぼけてお前が自分からだからな!

ドクドクと司の心臓が壊れそうなくらいに音を立てるのが自分でも分かる。

くそっ。

タマと勝負何てするんじゃなかった。

俺が負けたらどうなるんだ?

勝った賞品と負けた代償。

一生もんの宝。

お前をてに入れるためなら今晩くらいの我慢はどうでもねぇかもな。

つくしの背中にそっと回した司の腕。

指先が司の背骨のラインを愛しそうにやさしく撫でる。

「道明寺っ・・・もう・・・食べられない」

俺が食べられないって・・・

俺の指先に反応を見せたつくしが発した声。

こいつどんな夢見てんだーーーーッ。

ファスナーを下ろして俺の・・・

見つめていた顔を・・・

思い出さすな!

とに・・・どんな夢を見てんだよ。

あどけない顔に自分の感情が優しくなっていくのが司には分る。

つくしに自分の身体を寄せて司はつくしの頭の下に腕を滑り込ませた。

腕枕をしても起きる気配はない。

俺の腕の上で心地いい場所に自分で頭の位置を変えて寝息をたてる安心しきった寝顔。

その寝顔が大事な宝物のように思えて司はしょうがない。

お前の様なやつ、初めて。

ただ抱きしめてるだけなのに腕の中につくしがいることが嬉しくて、幸せな感情が司の胸の奥をいっぱいにする。

朝まで・・・

このままでいるのは地獄だな・・・。

そっとつくしの前髪に唇を押しつける。

お前が気が付くまではこのままでいよう。

俺・・・

寝れっかな・・・

まい2様~~~~~~~~~

こんなもんでいかがでしょうか?

拍手コメント返礼

still・・・ 様

初めてあった男性の家に初めて行ってお泊り。

ここだけ読めば警戒心なさすぎ!

うんうん言いたくなりますよね。

つくしちゃん大丈夫かしら?

みわちゃん 様

出会った初日に2人で同じベッドよ~~~

目覚めた後のつくしちゃんの反応きになっちいますよね。

私も気になる~。

Gods & Death 様

実は私も先が読めません。

5~6話で終るだろうなと思っていたんですが・・・

だんだんと普通の連載の中に紛れ込んでくるようで~

ポイ捨てを拾って洗って装飾付けて売りだしてますからね。

ここからどう動くのかな・・・(^_^;)

なる 様

一生の宝物を手に入れられるかどうかのここは司君の頑張り次第。

いや待てよ・・・

責任はとるっといって、手をだしても案外うまい方向にいったりして・・・

うさこ 様

伊達に年は取ってない♪

恋に対しても生き字引♪

確かに手をだす境界線はどこまででしょうね。

キスはしちゃってるし、添い寝もしちゃってるし・・・

おさわりまでならOKかな?

そこまで行ったら止めるの大変だろうな司君。

道明寺買っちゃったんですか?

手触り触感を一緒に堪能・・・

私もヤバイぞ!(笑)

akko

耐える坊ちゃんに萌えるのはなぜでしょう?(笑)

はぴまり・・・

こちらも5周年企画に参戦させますか?

でもこの前書いたのがお☆様だったんですよね。(^_^;)