懐かしい着物と不思議な服 1

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第1話 懐かしい着物と不思議な服                 作 みほりんさん

ユーリがこの国に来て、数年たった。

皇帝夫婦の第1の子は流産という結果になってしまったが、

ユーリは、第2の子を懐妊していることが最近わかった。

幸せな皇帝夫婦が、後宮でのんびりしていると

カッシュ、ルサファ、ミッタンナムワがやってきた。

「陛下!!今、街で妙な服と小物が、川から流れてきたと騒いでおります。

 そして、これが問題の服と小物でございます。」

「・・・なんだこれは?」

確かに妙な服だった。

裾が長く、腕を通すところにも、同じく布が長く垂れ下がっている。

他には、じゅうたんの幅を短くしたような物や、

鮮やかな色の着いたひもなど、まったくわけが分からない物だらけだった。

すると、今まで口を挟まなかったユーリが、

「きゃ~~~~!!着物だ~~~~!!懐かしい~~~~~~~!!」

と、カイルの隣にひょっこり出てきた。

「ユーリ?これはキモノと言うのか?おまえが知っているということは、

 おまえの国の物か?」

「うんそう!わあ~全部一式そろってるじゃない!!!

 着物はね、お正月とか、成人式、結婚式に着る行事服なの!!

 ねえ、着てみていい?」

と、目をキラキラさせて聞いてきたユーリに

カイルは断れないはずはない。

「ああ、いいよ。3姉妹、ユーリについていってくれ。」

 「あっ!いいよ。この着付け結構難しいから1人でやるよ!」

と、最後はあやふやにいいながら、部屋に入っていってしまった。

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そして、数分後・・・

「おまたせ~~~!」

出てきたユーリに、カイルや側近たちは、その場で一時停止をしてしまった。

ユーリが、あまりにも美しいからだ。

さっきまでとは、ものすごくかわっていた。

「ど~したのみんな??」

第2話 思い出に身を包む              作 ひねもすさん

「いや・・・・、何て美しいんだ。」

カイルの目は早くも煩悩の炎がちらちらと・・・・。

「え、本当?」

カイルの邪まな目線に気が付かないユーリは素直に喜んだ。

「嬉しいな、着物が着れるなんて。

それにかんざしとか小物もみんな揃ってるし!これってどうしたんだろう?」

確かに、なぜ着物が流れてきたのか不思議であった。

カイルはカッシュ達にどこから流れてきたのか、つきとめるよう指示を出し部屋から追い出した。ついでに三姉妹も追い出した。

二人になればやること一つ・・・・・・。

・・・・しかし、美しい衣装に身を包んだユーリを見る機会は、素肌をさらしたユーリを見るより少ない。素肌をさらしたユーリは毎晩見てるし。

しばし、キモノ姿のユーリを楽しむことにした。

「ユーリ、おまえの国の衣装も美しいな。」

「うん、着物は何か行事がないと着れないから、着物が着れる時が楽しみだったの。日本にいた頃は、ママがお正月には必ず着せてくれたんだよ。

それに、七五三っていう子供の行事があって、その時にも着るの。

お腹の赤ちゃんが女の子だったら、着せてあげたいな。」

腹部に手を当てながら静かに昔の思い出を語るユーリは幸せそうだった。

その顔に哀しさはなかったが、カイルはふと不安になった。

このまま、ユーリがいなくなってしまうような、そんな気持ちがした。

不安な気持ちを振り払うようにユーリを抱きしめるカイル。

「ユーリ・・・」

ユーリを抱きしめつつ、結局は脱がせ始めようとしたカイルであったが、

どこから脱がしていいか分らなかった。

さすがのカイルも着物の脱がせ方は分らない・・・・。

ユーリは少し可笑しそうに微笑むと、自分で帯止めに手をかけ、帯を解こうとした。

解こうとしたのだが・・・解けない。

「え、どういうこと?」

「ユーリ、どうしたんだ?」

「脱げない?どういうこと?脱げないよ、カイル!」

「結び目が固いんじゃないか?」

ユーリが解こうとした帯止めを、カイルも解こうとするが、解けない。

「どうしよう・・・脱げないよ。これじゃお風呂も入れないし、疲れちゃう。」

「ああ・・・」

カイルの心配はもっと違うことだった。

第3話 怪異、脱げない着物!!       作 しぎりあさん

ユーリは必死に帯を解こうとする。だが、帯はぴたりと張りついたようで、すきまに指すら入らない。

「カイル~どうしよう!?」

「うむ・・」

 がばり!

 おもむろにカイルは、ユーリの身体を押し倒した。そのまま着物の裾をめくり上げる。

「な・な・なにすんのよっ」

 ユーリの上に覆い被さりながら、カイルは安心したようにため息をついた。

「良かった、ユーリ」

「は?」

「とりあえず、こっちはできるようだ」

 ばっし~んっっ!!

「真面目に考えてよね!」

 私は充分真面目なのだが。頬に手のひら形の痣をつけながらカイルは考える。

「ああ、本当に脱げない、どうして?」

「わかった、なんとかしよう」

 カイルは腕組みをしてうなずいた。

「なんとかできるの?」

「ああ、こう見えても私は脱がしのエキスパートだ」

 訳の分からないことを自慢げに言うカイルだった。 

第4話 呪いの着物?!             作  ポン子さん

脱がしのエキスパート(自称)のカイルはあの手この手で着物と格闘した。

しかし、着物を脱がすことができない。

「あぁ、今まで私の手にかかって脱がすことのできない衣などなかったのに・・・。」

うなだれるカイル。

「カイル・・・。なんだか苦しくなってきちゃった・・・。」

ユーリが呟いた。顔色もなんだか悪くなってきている。

「大丈夫か?ユーリ!とりあえず、そのままでもいいから横になるんだ。」

ユーリを抱き上げ寝台に寝かせる。

「何で脱げなくなっちゃったんだろう・・・?」

ため息と共にユーリがいう。

「う~む、こんな話しは聞いた事がない・・・。まして、着物を見たのも今日が初めてだからな。ユーリ、おまえの国でごくまれに、脱げなくなる着物があるということはなかったのか?」

「そんな話聞いた事がないよぉ。一度脱いだら着れなくなっちゃった、っていうのは聞くけど、脱げないなんて・・・。」

「きっとこの着物に何かあるんだよ。なんかの呪いとか・・・。」

「呪い・・・か。」

事態の深刻さを理解してきた二人は黙り込んでしまった。

ーユーリー

   このまま脱げなかったらお風呂にも入れないし、だいたい苦しすぎる・・・。

   それに呪いだとしたら、そんな着物を一日中着ていないといけないなんて気持

   が悪い・・・。何とかしないと!

ーカイルー

   ユーリがこの着物を脱げないとすると、あのきれいな肌に触れられない・・・。

   しかし、下からは大丈夫だったから、下半身は自由だな。

   はっ、上半身には、かわいらしいユーリの胸がある!

   ユーリの胸に触れられず、口に含むこともできない・・・。何とかしなくては!

それぞれ、想いは異なるが、何とかして着物を脱がなくては、と言う点では一致した。

と、そこへ3隊長がやってきた。

「失礼します。外れの村のこの老人が何者かが着物を川に流しているのを見た、と言うので連れてまいりました。」

3隊長の後ろには、ひどくおびえた様子の老婆がいた。

第5話 いざ!エジプトへ               作 水青さん

「老人、陛下におまえが見たまでのことを話せ。」

イル・バーニは老婆にそう言った。

「見たまでと申しましても、わたしとて

 そうはっきり着物を流すものをみたわけではございませんので・・・」

老婆はおびえながら言った。

「そうか、これもあまり有力な情報ではなかったな。

 よしイル・バーニ、その老人を下がらせてもよい。」

「わかりました。」

「しかしどうしたもんかな。このままでは本当にいかんぞ。」

カイルはため息をつきながら言った。

「そんなこといっても、なんの手がかりもないし・・・

 やっぱり呪いかなにかかしら。」

「呪いといってもわが帝国にはそういった呪いはないぞ。」

「そうよねぇ・・・呪いといったらやっぱり日本よね・・・

 ほかに呪いといったら・・・

 そうだ!!エジプトよ!」

ユーリが思いついたようにして言った。

「エジプトだと!?」

「そうよ!エジプトにいけばなにかわかるかもしれない!」

「ちょっとまてユーリ!おまえまさか、エジプトに行くつもりじゃ・・・」

「そうだけど?」

ユーリはキョトンとした感じでカイルを見る。

「だって、エジプトにはラムセスもいるし、ラムセスに聞けばなにか

 わかるかもしれないし・・・」

「だめだ!おまえをエジプトには行かせん!」

「どうしてよ!?」

「おまえなぁ、エジプトにはラムセスがいるんだぞ!?」

「それがどうしたのよ?」

(『それがどうしたのよ?』って、こいつ、わたしが言いたいことがわかってないな、

 わたしはおまえをもう二度とラムセスに会わせたくないのに・・・)

「と、とにかくおまえがエジプトにいくことは認めん!だいいち、皇妃が

 政務をほうりだしていいとおもうのか!?」

「そんな心配ないよカイル!だってちょうどエジプトとの外交の政務が

 あったはずだもん!ねぇ、イル・バーニ!」

「ええ、まぁ・・・」

「だったらその政務はわたしがする。それでいいだろう?ユーリ」

「だめです!陛下にはほかの重要な政務があります!」

「ほらね!カイルにはほかの政務があるんだったらしょうがないよ。

 ということで、あたしがエジプトに言ってくる!

 イル・バーニ、すぐに用意をしてちょうだい。」

「かしこまりました。」

(くそ~~イル・バーニのやつどうやってでもわたしとユーリをひきはなして

 わたしに政務をやらせるつもりだな。そっちがその気ならこっちに

 だって考えがある。)

「しょうがない、ユーリ、気をつけていくんだぞ。くれぐれもラムセスには

 注意しろよ」

「は~い!」

こうしてユーリはエジプトへいくのでした。

カイルがどんなことを考えているとも知らずに・・・

(なんかホラーみたい・・・) 

第6話 まじめになってくれ~!!           作 こまきさん

エジプトに到着したユーリ。

「さあ!とりあえずラムセスの家へ・・・・・・・!!!

・・・・・ハッ!ラムセスのいえって何処だっけ・・・(汗)

とりあえず町あるいてればそのうちわかるかな・・・・?」

不安な・・・とっても不安な・・・ユーリ、今日ラムセスと

会わなかったら、野宿だよ?

トコトコトコトコ。とことことことこ。

ドタドタドタドタ。ばたばたばたばた。

「んもう・・・歩きにくいな・・・・そうだ!動きやすい服と変えよう!」

・・・・・といってもかんじんの服がぬげないなら

意味ナシ・・・・・だんだん顔が曇っていくユーリ。(そりゃそうだ)

「あっ!でも!エジプトの人ならできるかも!」

ユーリの顔が明るくなる。

「おばさん!この服と動きやすい服と換えてくれない??」

「あらあら、珍しい服だねえ、いいよ。すきなのをとっていきなよ。」

「あの、それが、かくかくしかじか・・・・(説明してる)」

「ほお、呪いねえ、いいわよ、こっちにきなさいな。」

おばさんがユーリのきもののおびを

はずそうとした、

するするするする、したしたしたした、

「ぬげた~!!!」

とおおっても大きな声・・・・・

その声がラムセスの家まで届いたりして・・・・・

「ありがとうね!おばさん!!!」

「いやいや、いいんだよ、どれ、珍しい服だ

いくらにしようかねえ・・・・・」

[よっ!(ゼーハーゼーハー)ユーリ!」

なんと目の前にはラムセス!!!!!!

さっきの声が届いたのか、目の前で息を切らしている・・・・大丈夫か?

「あ!ラムセス!ちょうどよかった!!ラムセスの家まで連れてって!!」

「ようやく俺のものに・・・・」

「ばきっ!」←ユーリがラムセスをたたいた音・・・

「いいから連れてって!!!!!!」

ラムセスの家到着!

「ラムセス!この服脱がしてくれない!?」

は?なにを・・・・

「よ・・・・ようやく俺のものに・・・・!」

「ちがうの!この服がぬげなくなっちゃったの!!!」

「なあんだ!チェ!」

するするするする、したたった・・・

脱げてあたりまえだ、買った服なのに

ゆーりは服が買えたことをおぼえてない(オイオイ)

「きゃ~!!!!なにすんのよお!!」

「あんたがぬがせろっていったんだろ?」

「あ~!!もうぬげたんだっけ!」

今きづくなよ・・・・・・

「ラムセス!協力有り難うね!私帰るよ!」

「まて!」

そう、ラムセスが逃がすはずはない

がっし!とつかんだ!

その瞬間!!!!!!!!!!!!!!!!!

3隊長がいっせいに攻めてきて

ラムセスははがいじめ・・・・・(?)

これでめでたし、めでたし・・・・!

・・・・っと!これだったんだなあ~カイルのたくらみは

第7話  帰国            作 真紀 さん

「ただいま~~~~~!!」

ユーリが無事、ラムセスのところから、帰ってきた。

着物が脱げた事を報告しにカイルのところに行った。

が、カイルのたくらみを知らずに・・・。(笑)

しいて言うなら「狼に狙われた赤ずきん状態」

「あ、カイル!着物が脱げたんだよ!!」

着物が脱げて嬉しそうにカイルに報告。

ユーリから、そのことを聞いてうれしいのだが、

返事をする前に、ユーリを寝台に押し倒した。

そして、カイルのたくらみが始まった。

第8話 やっぱりこうなる・・・             作 水青さん

「ちょッ、ちょっとカイル!?なにするの!?」

「なにをする?そんなことわかっているだろう?」

そういうと、カイルはユーリの服を脱がしながらバラ色の唇に熱い口付けをかわした。

「・・・ん・・・カ・・・イル・・・」

「ユーリ・・・愛してる・・・」

カイルのとろけるようなキスに一瞬我を忘れそうになったが・・・

「って!!なんかちが~う!!」

「ちがう?なにがだ?」

「だから!なんでカイルはいつもそっちの方向にもっていくの!?

 せっかく着物が脱げたのにどうしてよろこんでくれないのよ!」

「着物が脱げたのに対して一番喜んでいるのはわたしだぞ。」

「え?」

「着物が脱げなかった間、ずっとわたしはおあづけをくらわされていたんだぞ!

 おかげで気がどうにかなりそうだったよ!」

「あのねぇ・・・」

「それにおまえは、その着物を脱ぐためとはいえ、ラムセスなどのところに行った。」

「それぐらい、いいでしょう!?」

「まさかとは思うが、その着物を脱がせたのはラムセスじゃないだろうな・・・」

「ち、ちがうわよ!」

ユーリが弁解もしないうちに、カイルはユーリを抱き寄せ、ユーリの髪の

香りを嗅いだ。

「ん?なんだこれは、わたしの移り香ではないな・・・」

カイルはいじわるそうに言った。

「だ、だからこれは・・・」

「わたしの香りで消してやろう・・・」

「ちょっとカイル!・・・あっ・・・(////)」

「ユーリ・・・」

「っあ・・・やめて・・・カイル・・・っあああ!」

「ユゥ・・・リ・・・」

「あ・・・ふ・・・ああああああああ!!!」

この後がどうなったかなんて、言わなくてもご想像がつくでしょう・・・

今回のことで一番おこっていたのは、もちろんイル・バーニ。

その後、3日間くらいは寝所から出てこなかった皇帝夫婦でした・・・