懐かしい着物と不思議な服 2

* この物語は『懐かしい着物と不思議な服1』の5話目から分岐してます。

1を読まれた方は続きからお読みください。

 

第1話 懐かしい着物と不思議な服                 作 みほりんさん

ユーリがこの国に来て、数年たった。

皇帝夫婦の第1の子は流産という結果になってしまったが、

ユーリは、第2の子を懐妊していることが最近わかった。

幸せな皇帝夫婦が、後宮でのんびりしていると

カッシュ、ルサファ、ミッタンナムワがやってきた。

「陛下!!今、街で妙な服と小物が、川から流れてきたと騒いでおります。

 そして、これが問題の服と小物でございます。」

「・・・なんだこれは?」

確かに妙な服だった。

裾が長く、腕を通すところにも、同じく布が長く垂れ下がっている。

他には、じゅうたんの幅を短くしたような物や、

鮮やかな色の着いたひもなど、まったくわけが分からない物だらけだった。

すると、今まで口を挟まなかったユーリが、

「きゃ~~~~!!着物だ~~~~!!懐かしい~~~~~~~!!」

と、カイルの隣にひょっこり出てきた。

「ユーリ?これはキモノと言うのか?おまえが知っているということは、

 おまえの国の物か?」

「うんそう!わあ~全部一式そろってるじゃない!!!

 着物はね、お正月とか、成人式、結婚式に着る行事服なの!!

 ねえ、着てみていい?」

と、目をキラキラさせて聞いてきたユーリに

カイルは断れないはずはない。

「ああ、いいよ。3姉妹、ユーリについていってくれ。」

 「あっ!いいよ。この着付け結構難しいから1人でやるよ!」

と、最後はあやふやにいいながら、部屋に入っていってしまった。

______________

そして、数分後・・・

「おまたせ~~~!」

出てきたユーリに、カイルや側近たちは、その場で一時停止をしてしまった。

ユーリが、あまりにも美しいからだ。

さっきまでとは、ものすごくかわっていた。

「ど~したのみんな??」

第2話 思い出に身を包む              作 ひねもすさん

「いや・・・・、何て美しいんだ。」

カイルの目は早くも煩悩の炎がちらちらと・・・・。

「え、本当?」

カイルの邪まな目線に気が付かないユーリは素直に喜んだ。

「嬉しいな、着物が着れるなんて。

それにかんざしとか小物もみんな揃ってるし!これってどうしたんだろう?」

確かに、なぜ着物が流れてきたのか不思議であった。

カイルはカッシュ達にどこから流れてきたのか、つきとめるよう指示を出し部屋から追い出した。ついでに三姉妹も追い出した。

二人になればやること一つ・・・・・・。

・・・・しかし、美しい衣装に身を包んだユーリを見る機会は、素肌をさらしたユーリを見るより少ない。素肌をさらしたユーリは毎晩見てるし。

しばし、キモノ姿のユーリを楽しむことにした。

「ユーリ、おまえの国の衣装も美しいな。」

「うん、着物は何か行事がないと着れないから、着物が着れる時が楽しみだったの。日本にいた頃は、ママがお正月には必ず着せてくれたんだよ。

それに、七五三っていう子供の行事があって、その時にも着るの。

お腹の赤ちゃんが女の子だったら、着せてあげたいな。」

腹部に手を当てながら静かに昔の思い出を語るユーリは幸せそうだった。

その顔に哀しさはなかったが、カイルはふと不安になった。

このまま、ユーリがいなくなってしまうような、そんな気持ちがした。

不安な気持ちを振り払うようにユーリを抱きしめるカイル。

「ユーリ・・・」

ユーリを抱きしめつつ、結局は脱がせ始めようとしたカイルであったが、

どこから脱がしていいか分らなかった。

さすがのカイルも着物の脱がせ方は分らない・・・・。

ユーリは少し可笑しそうに微笑むと、自分で帯止めに手をかけ、帯を解こうとした。

解こうとしたのだが・・・解けない。

「え、どういうこと?」

「ユーリ、どうしたんだ?」

「脱げない?どういうこと?脱げないよ、カイル!」

「結び目が固いんじゃないか?」

ユーリが解こうとした帯止めを、カイルも解こうとするが、解けない。

「どうしよう・・・脱げないよ。これじゃお風呂も入れないし、疲れちゃう。」

「ああ・・・」

カイルの心配はもっと違うことだった。

第3話 怪異、脱げない着物!!       作 しぎりあさん

ユーリは必死に帯を解こうとする。だが、帯はぴたりと張りついたようで、すきまに指すら入らない。

「カイル~どうしよう!?」

「うむ・・」

 がばり!

 おもむろにカイルは、ユーリの身体を押し倒した。そのまま着物の裾をめくり上げる。

「な・な・なにすんのよっ」

 ユーリの上に覆い被さりながら、カイルは安心したようにため息をついた。

「良かった、ユーリ」

「は?」

「とりあえず、こっちはできるようだ」

 ばっし~んっっ!!

「真面目に考えてよね!」

 私は充分真面目なのだが。頬に手のひら形の痣をつけながらカイルは考える。

「ああ、本当に脱げない、どうして?」

「わかった、なんとかしよう」

 カイルは腕組みをしてうなずいた。

「なんとかできるの?」

「ああ、こう見えても私は脱がしのエキスパートだ」

 訳の分からないことを自慢げに言うカイルだった。 

第4話 呪いの着物?!             作  ポン子さん

脱がしのエキスパート(自称)のカイルはあの手この手で着物と格闘した。

しかし、着物を脱がすことができない。

「あぁ、今まで私の手にかかって脱がすことのできない衣などなかったのに・・・。」

うなだれるカイル。

「カイル・・・。なんだか苦しくなってきちゃった・・・。」

ユーリが呟いた。顔色もなんだか悪くなってきている。

「大丈夫か?ユーリ!とりあえず、そのままでもいいから横になるんだ。」

ユーリを抱き上げ寝台に寝かせる。

「何で脱げなくなっちゃったんだろう・・・?」

ため息と共にユーリがいう。

「う~む、こんな話しは聞いた事がない・・・。まして、着物を見たのも今日が初めてだからな。ユーリ、おまえの国でごくまれに、脱げなくなる着物があるということはなかったのか?」

「そんな話聞いた事がないよぉ。一度脱いだら着れなくなっちゃった、っていうのは聞くけど、脱げないなんて・・・。」

「きっとこの着物に何かあるんだよ。なんかの呪いとか・・・。」

「呪い・・・か。」

事態の深刻さを理解してきた二人は黙り込んでしまった。

ーユーリー

   このまま脱げなかったらお風呂にも入れないし、だいたい苦しすぎる・・・。

   それに呪いだとしたら、そんな着物を一日中着ていないといけないなんて気持

   が悪い・・・。何とかしないと!

ーカイルー

   ユーリがこの着物を脱げないとすると、あのきれいな肌に触れられない・・・。

   しかし、下からは大丈夫だったから、下半身は自由だな。

   はっ、上半身には、かわいらしいユーリの胸がある!

   ユーリの胸に触れられず、口に含むこともできない・・・。何とかしなくては!

それぞれ、想いは異なるが、何とかして着物を脱がなくては、と言う点では一致した。

と、そこへ3隊長がやってきた。

「失礼します。外れの村のこの老人が何者かが着物を川に流しているのを見た、と言うので連れてまいりました。」

3隊長の後ろには、ひどくおびえた様子の老婆がいた。

 

第5話 ヒッタイト版悪代官ごっこ???                作 みほりんさん

その老婆が、言うには流している所は見たがその本人は、見えなかったという。

「やはり、呪いなのだろうか・・・。」

「あ~ん、いつになったら脱げるのかなあ・・。」

と、ユーリはふとあることを思い出した。

「(心の声)そういえば、日本にいたとき

よく時代劇で、悪代官が町娘の着物の帯を引っ張って、

「よいではないか~」って行っていた覚えがあるなあ・・・。

それで、この着物脱げる・・・わけないか・・・。」

はあ、とユーリがため息をつくと、

「どうしたユーリ?何か思いついたことでもあるのか?」

と、カイルが言った。

「えっ!!え~と・・・。

(心の声)どうしよう・・・。カイルに言うべき何だろうか・・・。

でもな~。まあ、物は試しで言ってみるか!!」

と、ユーリは開きなをりカイルに言ってみた。

第6話 違うのに・・・・・。      作 こまきさん

 

「は?」

なに言ってんだこいつ・・・・ともいいたげなカイルがくるり!とこっちを向いた。

「ユーリ!真面目に考えてくれ!!この着物が脱げなければ、お前の体に触れられないんだぞ・・・・・!!!・・・ハッ!むぐぐぐ」

げ!とんでもないことを言ってしまった!!という表情をしたカイルが、今度はカイルは反対方向にくるり、と

またまた回った・・・・

(ギャグやってんじゃないのに・・)

フフ~ンとした顔のユーリがこんなことを言った。

「ヘエ~カイルってば真剣になってたのは私の体だけの為なんだァ!

私自身はどうでもいいんだァ~へえ~知らなかったよォ!?」

ふん!体目当ての人なんて!という表情をしたわけではない。

これならば、夜、2人きりになっても「おつかれさまにならなくてすむわ!オ~ホッホッホッホッ!!!」という表情をしたのである。

軽蔑された張り詰めた空気よりも、このナメられた空気の方が気まずいのである。

何か言い訳すれば、ユーリがつ~ん!!とした顔をして何とか作った言い訳を見事に崩壊する・・・・・。

もちろんフザけてやっていることはみんな解かっている。

だからこそユーリはこういう風にカイルをいじめるのである・・・・・・。

お?カイルが言い訳を考え付いたようだ!それより脅迫かな?

「んん?なんだ!?その態度は!!私がユーリの体が好きでいけないのか!?」

逆切れしたカイル。

「わたしのことがきらいなのならば、他の男のところへでも行けばいいじゃないか!!!!!」

あ~あ・・・・お馬鹿なことといっちゃって・・・・・・・・

ユーリがカイルに嫉妬したって、行動に起こすわけがないだろう・・・

それどころか 開き直ったらどうするのだ??まあいいか・・・・・

「いいわよ!カイルなんか大っッッッッ嫌い!!!!!!!!!!!

私、ラムセスのとこいくよ!ラムセスは私を幸せにしてくれるって言ったもん!!」

あ~あ・・・ひらきなおっちゃった・・・・・

1人でラムセスのいるエジプトへと向かったユーリ!!

カイルは意地を張ってフン!としている。追う気もないようだ

しかし・・・・

これからとんでもないことになるのを知っていたらかいるは正直に謝っていただろう・・・・

「ラムセス!!!!!!」

お?もうユーリついたのか・・・・さてどーすんのかな?

「私を・・・・ラムセスのお嫁さんにして!お願い!!!」

はあああ!?何言ってるの!?のユーリ!そんなこといったら

カイル、心臓とまっちゃうよ!!!(←カイル派なのかラムセス派なのかハッキリしろ)

「おお!そうか!じゃあ早速式をあげよう!cyu!」

おいおいおいおいおい!!!ユーリ!嫌がってよ!!カイルはどーなんの!

嫌がるどころかユーリは抱きついた・・・・・

「ラムセス!大好き!」

この言葉を言ったときの気持ちは決して、わああ~い幸せ!ではない。

カイルへの復讐の念をいだいていただけだ!

ラムセスがゆーりを抱いても、ユーリは嫌がらずになれていた

なれないと、カイルに謝らせれないからね!!!と思っていたそうな・・・・

でも少しラムセスの側にいてもいいかも・・・・★

と・・・少し思っていたそうな・・・・

さあ!どうなるのでしょうかねえ!

第7話 もう少し・・・              作 青水さん

朝。ユーリが目覚め、愛しい人の名前を呼ぼうとした・・・

「カイ・・・」

はっ!

ああ、そうか・・・

目覚めた自分のとなりに眠っていたのは、いつもの見慣れたまつげではない。

いつもの鼻をくすぐるような香りではない・・・

わかってはいてもなにかしっくりこない。

「ん・・・ユーリ?もう起きたのか・・・」

「あ・・・ラムセス・・・ごめん、起こしちゃった?」

そういうと、ユーリはそばにあったシーツをたぐりよせようとした。

「ユーリ」

ラムセスは、シーツにのばしたユーリの手をつかみ、そのまま抱きしめた。

「ラムセス?」

ラムセスはユーりに、深い口付けをかわした。

「・・・っん・・・」

そのままユーリを押し倒し、そのすべらかな肌を愛撫する・・・

ラムセスは内心幸せだった・・・

けして自分のものにはならないと思っていた女神が、自ら自分のもとにやって来て

今、こうして自分の体を受け入れてくれている・・・

つかのまのことだとわかってはいるが、今のこの幸せをはなしたくない・・・

「・・・ん・・・っあ・・・カイ・・ル・・・」

その名前を聞いたラムセスは我にかえる。体は自分のものになっても、やはり心は

あの男のものなのか・・・

ユーリはカイルの名前をおもわず呼んでしまったことに気づいていない。

本当はこんなことじゃいけないってわかってる・・・

だけど実はあたし、カイルがあたしの体だけ必要としてるんじゃないかって

おもったら、ほんとに不安になってきちゃった・・・

だけどもう少し、もう少しだけこのままで・・・

第8話   真実はいつも一つ       作 みほりんさん

ところかわってここはアリンナ。

3姉妹はユーリがいないので有給休暇を取り、里帰りしていたのだ。

「ハディ、帰ってきたのは良いがユーリ様はヒッタイトにいるだろうな!!

あの話は絶対嘘だろうな!」

とタロスがハディに言ってきた。

「父さん落ち着いて!あの話って何!?」

「ユーリ様がエジプトの将軍ウセル・ラムセスと結婚したというのだ!

それは、盛大に行われたそうだ。この話は旅の商人から聞いた確実な話なんだが・・・ハディ、リュイ、シャラ!嘘なんだろ!!」

しかし3姉妹は、顔がサーッと青くなり、

「ごめん父さん!急用思い出したから王宮に戻る!またくるね!!」

と言うと、風のように去っていってしまった。

馬をとばし半日で王宮に帰ってくるなり政務室に飛び込んだ。(はやっ)

「陛下~~~~~~!!!!!」

その中にいたカイル、キックリ、イル・バーニがびっくりして3姉妹に

注目した。

「ど、どうしたのだ?休暇を取り帰ってたのではないか?」

「陛下!それどころではございません!!

父から聞いた話なのですが・・・今までの書簡はすべて事実なんです!!」

「ど、どうゆうことだ?」

「はい。先日エジプトで結婚式が行われたそうですが、それがユーリ様と

ラムセス将軍の式だったのです。旅の商人がそれを見て、父に話したそうなのです。ですから、今まで届いた書簡はすべて、じ・じ・つ・なんです!!!」

がしゃんとカイルは手に持っていたタブレットを落とした。

カイル、キックリもそうだが珍しくイルも顔が青くなっていた。

「リュイ、シャラそれ本当か?」

「「本当です!!」」

とキックリが言い、リュイ、シャラが返した。

「・・・陛下・・・どういたしましょう。もう意地を張っているどころでは

ありませんよ・・・。」

と遠慮がちにイルがカイルに聞いた。

「と・・・とりあえずエジプト王ホレムヘブ王に・・・書簡を出して・・・

聞いて・・・見るか・・・。」

いままで意地になっていたが、ここまでくると精神状態が崩れ落ち、

灰にになってしまいそうなカイルだった。

その数日後返事の書簡が届いた。

第9話   二枚舌               作  こまきさん

書簡を送って数日後・・・・

ホムヘレブ王から返事の書簡が届いた。

ヒッタイト皇帝陛下へ

 イシュタル様は自らこのエジプトに来、

 ウセル・ラムセスとの夫婦になった。それはすべて

 イシュタル様の返事。イシュタル様の返事がどうあれ

 無事に帰すことに致しましょう。

      エジプト王ホムヘレブ」

・・・・・・・・。これを読み上げたらカイルが気絶・・・かな?

と思いきや、しかし、カイルの中では燃えていた!ユーリを

ヒッタイトに帰らせ、どれほど説教・・・(大人の夜)

をしようかと・・・・・・・

ホムヘレブの返事ならば無事にユーリは帰ってくるだろう・・・

問題はラムセスだな、ラムセスからは難しいんだが・・・・

と思いきや、キックリが

「陛下!もう1つ書簡が届いております!・・・?ユーリ&ラムセスより・・・・

とかいてありますねえ・・・」

「読み上げろ!」

「カイル&ムルシルへ

 カイル!私もう帰らないからね!ず~っとらむせすのとこいるもん!

 本気だからね!ラムセスのほうが

私を幸せにしてくれるも~ん!

 

 ムルシリ、もうユーリは俺のものだ

 キスしても抱いても全然嫌がらない、一緒にいたい

ともいった!これ以上口出しするな!!!!!

        ウセル・ラムセスより」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

側近全員が口をあけ、手をつけていた数秒間なが~い

長い、沈黙が続いた・・・・・・・・・。

カイルは気絶した。

「へっ!陛下!!!!!」

ばたんきゅ~

その中でひそかに喜んでいたのは、

ルサファ&カッシュ&イル・バーニだった・・・・・。

「ユーリ様が居なければ陛下が政務をこなす!!!!!!!!!!!!!!」

「ユーリ様、おかわいそうに、ヒッタイトに帰ったら、またお疲れ様になるだろう・・・・・・」

「!!よっしゃあ!・・・・じゃなくって・・・でも・・・ウルスラのこともあるし・・・・

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!

でも俺は陛下の臣下だし・・・・・・・

どうすればいいんだーーーーーーーーーッッッッ!!!!ウルスラ~~~~~!!!!!」

・・・・・という事情でもあった。

まァそうだろ~な~今エジプトでは・・・・

「ラムセス~!」

「・・・ユーリ」

「どうすればいい!?まだらむせすといっしょにいたいよ!」

「俺だってそうだ!!!!!!!」(ユーリを抱きしめる)

「・・・・んっ・・・・・」

あ~あ、幸せそうねェー・・・・