HAPPY LIFE 9
*「急に大きくなったよな」
まじまじと人のお腹をさすりながら道明寺がつぶやく。
「太った」と言われないだけましな方。
幸せそうな顔で・・・
こぼれそうな笑顔で・・・
うれしそうな表情を見せるのは妊娠を知った時から変わらない。
「名前決めてくれた?」
「今、しぼってるところ」
「響、蒼、颯、駿、悠、どれがいい?」
「全部男の子の名前じゃん。女の子ならどうすんの?」
「絶対男だ」
どこから来るのかその自信。
最近笑いが絶えなくなっている。
子供が産まれたらもっとに賑やかになるのかな。
道明寺は私の予定日の1週間前から仕事を休んでいる。
どれだけ西田さんに無理を言ったのか、考えれば考えるほど西田さんに頭が下がる思いだ。
「俺の初めての子供が生まれるんだから当たり前だ」
何が当たり前なのか理解に苦しむが本音を言えばうれしい。
道明寺が会社を休んで3日目。
まだ生まれる兆しはない。
時折「俺の休みのうちに産まれるか?」と不安げな表情を見せる。
私の不安は無事に生まれるか五体満足かそっちの方なんだけど。
「お前なら大丈夫だ」って、もっと感情のこもった励まし方はないものだろうか。
そしてまた笑う。
この3日間つきっきりで面倒を見てくれる道明寺。
私が動くそばから道明寺が動く。
いつからこんなに気がつく人になったんだ?
まるで別人。
喉が乾いた。
おなか減った。
言う前から道明寺が動いてる。
さすがにトイレは遠慮してもらった。
そこまでしてもらわなくても別に困らないんだけど。
言いそうになる言葉を呑み込んでフーとため息。
「何かあったか?」
慌てるように私の顔とお腹を交互に見つめられる。
全くしょうがない。
私につきっきりの道明寺にタマ先輩もあきれ顔よりあきらめ顔。
「好きなようにやらせれば満足しますよ」
最近は誰も私たちの部屋に近づきもしない。
「俺にみんな任せて安心してるんだな」
道明寺はうれしそうににんまりとなる。
「お屋敷が平和です」
いったいどの使用人が言った言葉か忘れるくらい感謝された。
「・・・あっ・・・」
「少し痛いかも・・・」
「おっ!えっ!産まれるのか!」
慌てて立ち上がった道明寺が右往左往。
「まだだよ」
「お前、今、痛いって言ったじゃないか!」
「良くわかんないけど、このくらいの痛みじゃないだろうから・・・」
今は痛みより慌てふためく道明寺に笑いの方が噴き上がる。
「まだ大丈夫だから」
ソファーに腰かけてお腹にそっと手を添えた。
その瞬間、風船が割れて水が飛び出す感覚が下半身を襲う。
どっからこんな量の水が出るのか。
話には聞いていたけど・・・
身体から力が抜けていくような心細さ。
「道明寺、破水したみたい・・・」
戸惑いと不安ががいっぱいいっぱいの顔をしてつぶやいていたに違いない。
道明寺と私の視線がぶつかる先で、真っ青に表情を変えた道明寺が私を見下ろしていた。
出産まであと少し。
目の前で破水したら男の人ってどんな反応になるんだろう。
道明寺はどうするのかな~
続きが楽しみだ ← 楽しんでいてはだめですよね(^_^;)
引っ張りすぎだ~のお叱りはご容赦を~
拍手コメント返礼
幸ちゃんママ様
コメントありがとうございます。
ご主人は出産間に合わなかったんですね。
一人はさびしいですね。
今となればいい思い出でしょうか?
私ならず~と旦那に愚痴ってそうです。
こちらこそよろしくお願いします。
やまちゃん様
いよいよです。
まだ引っ張ります~
いや無理でしょう(笑)
つくしじゃなく私の体力が持たないです(^_^;)