第13話 愛してると言わせたい 8
*-From 1 -
「花沢類・・・」
「牧野・・・なんか変?何かあった?」
どうしてこの人は私が平常心じゃない時に限って現れるのだろう。
「まだ、いたんだ」
「総二郎もあきらも帰ったから俺も帰ろうと思って、司に会ってから帰ろうと思ってたんだけど・・・」
「牧野のほうが大変そうだけど大丈夫?」
「大丈夫というか・・・大丈夫じゃないというか・・・わかんなくて・・・」
何言ってんだろう・・・私。
花沢類にじっと見つめられると吸い込まれそうな気分になって、すがってしまいそうな気分になる。
「今はここにいたくないというか・・・離れたい気分」
「司からってこと?」
「たぶん」
「それじゃ、少しドライブでもする?」
「気分転換に」
にっこりとほほ笑む花沢類にこくりと頷く私の顔にも笑顔が浮かぶ。
この安心感はなんなのだろう。
素直になんでも聞いて受け入れられる感覚にほっとする。
「花沢類、運転できたんだ」
助手席を進められて座りながらつぶやく。
「何度も牧野はこの助手席に乗せたんだけど、覚えてんないんだ」
「・・・そうなんだ」
気まずい気持ちのまま答える。
きっとほかにもいっぱい大切なことを忘れているんだろうね。
それがつらくなる。
「まあ司よりはましかな」
クスッと小さく笑う花沢類に少し心が救われた。
「少し思い出したの」
重い口を少しづつこじ開ける感じにしゃべった。
「そうか」
それだけ短く言って花沢類はバックミラーに視線を走らせる。
「あんまり楽しことは思い出してなさそうだね」
それが引き金になった。
「あいつ私に好きって言ったくせに他の人と婚約してた」
「どういう神経してるの!」
無性に腹の立つ気分が盛り返してる。
「大河原滋のこと?」
「そっ!その滋とかいう人!」
この力の入り具合は地の底からわき上がる感じだ。
力説してるのは道明寺のばかげた行動。
「思いだしたのってそこだけ?」
「他に何かあるの?」
ブレーキをかけて車を止めた花沢類が意外そうな表情を作っていた。
「司も哀れだ」
ハンドルにうつぶせてそこから聞こえるのは花沢類の明快な笑い声。
私おかしなこと言った?
「司には悪いけどそんな展開予想もしてなかったから」
この人笑い上戸だったのか・・・。
状況が分からず戸惑い丸出しの感じになってしまってる私はどう反応するべきか見失ってしまってる。
「心配しなくても司は婚約は解消してるから」
「別に心配なんか・・・」
「でも気になったんでしょう?」
笑いを止めた花沢類がじっと見つめる。
「俺、その頃牧野につききりだったから、あの時の牧野の苦しみ一番理解してると思うよ」
「もう一度悩む必要なんてないから」
一瞬で花沢類に抱きしめられた様な感覚が私を襲う。
「花沢類に抱きしめてもらったことあるのかな・・・」
衝動的に浮かんだ場面を口にした。
「俺・・・牧野のこと好きだったから」
見つめられて思いだすコマ送りの場面。
病院・・・
私の手をずっと握っていてくれた花沢類・・・
そしてやさしく触れ合った唇。
私、花沢類にキスされた!
驚いたままの表情でまじまじと花沢類の顔を眺めてバッと目をそらす。
心臓の鼓動は高まって口から飛び出しそう。
どうなってるんだーーーーーッ。
-From 2 -
「顔、真っ赤だよ」
ビー玉の瞳が優しく私を覗き込む。
息がかかる顔の距離。
無意識なのか意識してるのかわからないから困る。
「あの・・・あのさ・・・私・・・」
この後の言葉をつづけていいものかどうか迷いながら言葉を探す。
「病院で花沢類がついていてくれたことあった?」
身体を後ろに引きながら顔を俯け花沢類の私を見つめたままの瞳から逃れる。
「なにか思い出した?」
「私の手を誰かがずーっと握ってて・・・それが花沢類だったのかなと・・・思えて・・・」
キスのところはさすがにはぐらかす。
聞けるわけない。
「ずいぶん前の記憶だね、でも着実に今に近づいてる」
「あの時、牧野のこと好きかもって気がついた」
「えっ?」
戸惑いを込めたまま目を上げた。
その先に・・・
花沢類の唇が目の前で・・・。
キスされそうな空間が近づいてくる。
道明寺の顔が一瞬浮かぶ。
慌てて顔を横に向けていた。
「今度は失敗か」
クスッと笑って私から視線を外しハンドルを交差するように置いた腕に顔を乗せて小さくため息をつく花沢類。
って・・・・・
花沢類にキスされたのは夢じゃなかった。
それも花沢類は私のこと好きって・・・・。
F4相手に三角関係?
それも道明寺と花沢類!?
めちゃめちゃ女生徒の反感かいそうな関係じゃないか。
私は良く無事でいれたものだ。
私は本当に誰と付き合ったたんだぁぁぁぁぁぁ。
「考えすぎると身体に良くないよ」
だっだれのせいで頭の中がぐるぐるしてると思ってるんだ!
とぎれとぎれに思いだす記憶の断片に振り回されて自分の気持ちがどこに行くのかわからない。
花沢類のことは大好きで胸がときめいた初恋の記憶は今でも鮮明に覚えてる。
道明寺のことは大っきらいなはずなのになぜか気になって仕方がない。
喉の奥にささった魚の骨のようにチクチクと小さな痛みを発してるよう。
この断片的な記憶を早く取り戻さないと私は悩んでおかしくなりそうだ。
「早く記憶を取り戻したいと思わない?」
にこっとほほ笑んで花沢類が車のエンジンをかけた。
車は道明寺の屋敷へと行き先を変えて軽快なエンジン音を鳴らして走りだしている。
花沢類の行動って・・・そう思わせるための布石?
刺激が強すぎるよ。
素知らぬ感じに何かをしかけてくる。
曲者だ。
でも・・・
それは・・・
きっと私のことを思ってくれてるから。
花沢類の優しさは私を包んで居心地のいい空間を作りだしてくれる。
何度助けてもらったことだろう。
ぬっ?何度だ?
そんなにあるのか?
覚えてないけどそう思える記憶の部分。
花沢類のこと好きだな・・・。
思ってそして顔が熱を出す。
隠すように両手で頬を覆ってた。
今回もテレビ場面からつくしの思い出を抜粋。
このときは、つくし!類になびくなよーーーッと叫んでいた気が・・・。
司のことで思いだすのは悪いことばかり。
類との思い出は・・・
そうなったらどうなるんだろう。
やっぱり私はドSになりつつあるのかな(^_^;)
拍手コメント御礼
ぽぷり様
体調大丈夫ですか?お大事に。
私の書くもので活力につながればうれしい限り。
楽しいお話じゃんじゃん更新していきますね。
nanacos様
類君鬼の居ぬ間のなんとやら~状態でどうしたいのか・・・
私にもどうあつかうか今のとこ未定です。
明日どうなるのか(^_^;)
やっぱりドS思考?
はなはなうしし様
我が家も三井グリーンランドのほうがよく行きます。
ということははなはなうしし様も九州在住で?
司の慌てようはまだまだ続きますがお付き合いを~
sako様
パスワード申請ありがとうございました。
会社で楽しんでもらって大丈夫なのでしょうか?
もし他の方に見られたら・・・(^_^;)
結構会社で見てますというメールもらいます。
なんだか恥ずかしい ← いまさらねぇ
まゆみ様
”届かぬ…”“嘘も方便”読んででいただきありがとうございます。
初期の作品になりますので時々手直しをさせていただいてます。
読み直すと恥ずかしくなるところもしばしばで(^_^;)
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
mei様
拍手コメントありがとうござます。
楽しみと思ってもらえるそれだけで励みになります。
拍手ありがとうございました。
おくら様
ここで類を選らんでも文句は言わないよ~
そうなんです。ヤッパリ類はいいんですよね。
でもつくしちゃん選ばないの~
それは私がつかつくオンリーしかかけないからなんです。
たぶん浮気は出来ないなぁ。