Requiemに花束を 1(100万回のキス番外編)

『100万回のキスをしよう』のオリキャラ松岡公平を主人公にした短編です。

なぜかオリキャラでは人気ナンバーワンでして(^_^;)。

まあ短編ではありますが楽しんでもらえれば幸いです。

*

眉目秀麗、誰もが振り返る美しさ。

って・・・わけじゃけしてない。

それでも人目を引くのはこいつの人柄か。

屈たくなく笑う横顔。

喜怒哀楽が全部でる表情。

時々見せる知的な雰囲気。

いつも一生懸命生きている。

・・・そんなエネルギーを放っている。

いつの間にか目が離せなくなっていた。

初めて声をかけたのが大学3年の秋。

挨拶と学習内容のたわいない日常会話。

隣同士で講義を取るのも自然となった。

お互いの家の話。

「うち貧乏で奨学金にバイトで大学に来てる勤労学生」

けらけら笑って告白されて面食らう。

全く飾らない人柄に好意が持てた。

偶然同じに振り分けられたグループ学習。

俺の家に数人集まって朝まで熱弁をふるっていた夜。

あのころは彼氏がいるって思いもしなかった。

トレーナーにジャージ、その上に半纏って全く色気ねぇっていうか・・・女捨ててる感じ。

「そんなんじゃ、彼氏いねえだろ」

それが無性におかしくてしうれしかったことを覚えてる。

「失礼ね、これでも一人はいるんだから」

口をとがらせて軽く頬が赤く染まる。

今まで見たこともないような女の顔になった。

「お前知らねぇの、牧野の彼氏超有名人」

横から男友達に肘を突っかれた。

「えっ?」

道明寺司って、知ってるだろう?」

「あの財閥のか?」

「そう、その御曹司が牧野の彼氏」

「だからみんな怖がって牧野にはちょっかい出せねぇんだよ」

牧野に聞こえないような小さな声で教えられた。

自分でも驚くほどの落胆。

俺自分が思っていたより牧野に魅かれてたみたいだと知った夜。

告白も出来ないまま失恋してしまってた。

知り合った大学時代、あいつの傍にはいつも道明寺がいて・・

あいつは道明寺しか見てなくて・・・

バカとか自己中とか愚痴っているのも好きだと言っているようにしか聞こえなくて・・・

俺なんか入り込める隙間なんて見つけられなかった。

諦めた想い。

こいつが幸せならばってただのきれいごと、詭弁だ。

いつでも側にいたい思いが心の奥底には根っこをはやしてる。

F4が卒業して大学最後の年を迎えて卒業まで過ごした日々。

遠慮するものがなくなった途端に男の友達が増えたことを不思議に思ってないこいつにやきもきしてる自分。

あのころが一番楽しかったんだ。

超えることのできない一線をそれなりに楽しんでいる自分。

それでも今この場所で一番心を許してる存在が俺だって気がついてたから。

卒業まじかで発表された婚約。

あいつと結婚するんだとの思いは漠然としたものから現実へと変わる。

その時期からもう会えなくて自分の気持ちにも区切りがついたと思っていた。

修習所で再会した日。

学生時代に戻ったような錯覚。

まだお前のこと好きみたいだ、俺。

「なあ・・・もしもの話だけど・・・」

「お前が道明寺と出会ってなかったら俺達どうなってたかな?」

「えっ?」

不思議そうな顔で見つめる大きな瞳。

大学のころと全く変わってない無防備な表情。

「心配するな深い考えはないから・・・」

「ただ何となくそう思ってな」

気楽を装い軽いノリで答えてみろと催促する。

「きっと公平とは知り合ってないよ、弁護士になろうとも思ってないだろうしね」

屈託ない笑顔が返ってくる。

「俺ってそれくらいのもんか・・・」

「嘘でもどこかで会って友達にぐらいはなってるって言えないの?」

冗談抜きで落ち込んでしまってた。

「冗談」

好きだという気持ちを押し殺して笑い声を上げる。

「もっーーーッ」

頬を膨らせてあいつは俺の背中に思いっきり叩いた。

今は二人で笑い合える時を楽しもう。

秘めた想いを隠しながら。

ハル様のリクエストにお答えして「 F4卒業後の大学での公平との馴れ初め」書いてみました。

『100万回のキス~』結構内容忘れてしまってます。

読み返して私こんなこと書いてたのねぇって確認してました。

拍手コメント返礼

ぞえこ様

F4が卒業して心おきなくのんびりと~

誘われても気がつかないつくし ・・

私のお話ではやっぱりいつもどぎまぎするのは司みたいです。

ぶーたん様

ありがとうございます。

私も楽しみながら没頭していた作品であります。

何書いたかすっかり忘れてしまってましたが(^_^;)