第14話 DOUBT!!  1

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-From 1 -

突然の消音に消灯。

暗闇に目が慣れた頃、ポッと浮かぶ小さな光り。

吐く息にゆられて小さくうごめく。

「なんで真っ暗にするの?」

「ムードあるだろう」

二人座り込んで毛布をかぶって身体をよせ合う。

目の前にはろうそくが一本。

「文明から離れた生活もおもしれーぞ」

道明寺に言われても説得力がない。

誰よりも一番高い生活水準で暮らしているくせにッ。

そう言えば数年前に電気止められてパパとママと進と私の四人で毛布にくるまっていたことあったな。

あの時は懐中電灯だったけど・・・。

水道を止められる前に何とか元の生活に戻れたっけ。

いきなりついて来いと車に乗せられたのは数時間前。

最近強引に連れまわされている。

たどりついたのは道明寺の別荘。

木々に囲まれた建物は世間から隠されている様に静かに建っている。

「道明寺財閥の御曹司結婚まじか!?」

なんて週刊誌に踊ってるせいか最近は外でのデートもままならない。

私の顔が出ないのは道明寺が圧力をかけているらしいが英徳の後輩なんて文字はあたり前の様に載っている。

名前がばれないのは道明寺の力のなせるわざか。

「俺は発表してもかまわねぇ」

豪快に言い放つ道明寺を「大学卒業までは静かにしたい」と押しとどめるこの頃。

せめて司法試験の発表までは結婚のことなんて考えられないって言うのにッ。

司法試験の発表までカウントを切った。

落ちたから、卒業しても結婚しません。とは言えないよね。

どうするんだろう私。

「何考えてる?」

暗闇にも慣れた目の前に整い過ぎた顔。

「あんまり近づかないでよ」

「もっと見たいとか思わねぇの俺の顔」

「こんなにまじかで見れるのお前だけの特権だぞ」

鼻先が頬をくすぐる。

「すぐ飽きるかもね」

「はあ?」

「美人は3日で飽きるって言うでしょう?だ・か・ら」

「このッ!ほんとに俺に飽きるつもりか!」

「もう、やめてよね」

くすぐったい笑いが頬に浮かぶ。

じゃれあうように私の身体を滑る長い指先。

皮膚をかすめる唇。

「もう!くすぐったい」

笑いと吐息が混ざる口元。

悪戯を楽しむようにふざけ合う。

かぶっていた毛布も床の上にはだけてしまってた。

そのままゆっくりと倒れこむように横たわる。

道明寺の胸に身体を預けたまんま「ハー」と一つ息を吐く。

優しく髪をなでるような道明寺の指使い。

少しの時間を惜しむように愛しむようにそっと触れる指先が心地よくて安心する。

「このままでもいいんだけどな・・・もう少し・・・このままで」

道明寺との結婚はいまだに遠い未来だと漠然とした考えしかその時の私はもっていなかった。

 

-From 2 -

プル~ッ

「ただいま電話に・・・・・」

無機質に再生される録音メッセージ。

最近こればっかりだ。

1週間道明寺の声を聞いてない。

メッセージを残す気にもなれず携帯を切った。

あの野郎ーーーーーッ。

別荘から帰って私を無視してないか?

忙しくなるとは言っていたけど全くの音沙汰なし。

私からの発信歴ばかりが増えている。

あいつからの着信歴は1週間前のもの。

道明寺が大学を卒業してからは思うように会えない現実。

それでも声だけは毎日聞いていた。

ふとあいつがNYに留学した時のことを思い出す。

携帯での連絡が途絶えて不安になった日々。

遠く距離が離れて会えない分だけ淋しさが募ってた。

「もういい、忘れた」

そう言って花沢類に強がっていた日々。

ずいぶんほっとかれたものだ。

今は会おうと思えば会える距離。

その分が心に余裕を持たせてる。

私から会いに行くのは癪だがそんなことは小さな障害。

会いたい気持ちは押し込められなくて「声だけでも聞きたいのに」そんな思いが自然と口に出る。

あいつがその気なら私から会いに行ってやるよ。

大学の講義を終えて道明寺の屋敷に向かう。

「お帰りなさいませ」

顔見知りの道明寺邸の使用人たち。

いらっしゃいませとは最近は言われなくなってきた。

この屋敷の一員として認められてしまっている。

「つくし様がいらしてると私たちは助かるんです」

「ご実家に帰らないでください」切実に訴えられることもしばしば。

私がいると道明寺が穏やかで助かるって・・・

普段どれだけ迷惑をかけてるのか道明寺。

苦笑いでこの屋敷を後にすることもあった。

当たり前のように道明寺の部屋にと足を進める。

この部屋に来たのも1カ月ぶりか。

懐かしい感じが身体を包む。

「あっ・・・この前の写真」

1週間前の別荘でふざけ合って毛布をかぶったままで二人で並んで撮った。

楽しそうにほほ笑んで見つめ合っていい雰囲気だ。

私のこと忘れてるわけじゃないよね。

写真相手につぶやいた。

夜8時を過ぎるころ主のご帰還。

「来てたのか」

一瞥された?

ソファーに座ってネクタイ緩めてフーと溜息。

今までの体験上は満面の笑みで抱きつかれて押し倒す!

微塵もない。

不可思議な道明寺の態度。

まるで数年前のNYの再現の様な道明寺の冷たさ。

過去を思い出す様に不安に包まれた。

強気に攻めることもできないほどに焦ってる。

「私がいると邪魔?」

「そんなことねぇよ」

「・・・でも、変」

「何が」

「いつもの道明寺じゃないもん」

視線をそらしたまま道明寺はまったく私を見ていない。

「ったく」

荒々しい感じで立ち上がった道明寺が私を抱きしめる。

乱暴に唇を押しつけられた。

「何考えてるのよ、こんなんじゃ誤魔化されないんだから」

思い切り突き飛ばして唇を腕でぬぐい上げた。

「私、あんたを怒らせるようなこと何かした?」

道明寺の態度にも行動にも訳が分からず苛立ちが完全に強気の私を取り戻させている。

こうなったら納得いくまで一歩も引いてやるもんか。

「何もねぇよ」

「ただ疲れてるだけだ」

ふてぶてしい態度でつぶやく道明寺。

「私に携帯かける暇もないほど時間がないんだ」

「私のことどうでもいいとか思ってんじゃない」

「誰もそんなこと言ってねえだろうが」

「もういい」

いい終わらないうちにクッションを道明寺の顔をめがけて投げつけた。

「あぶねだろうがぁ」

クッションを無難に受け止めて道明寺は口角を少し上げる。

「お邪魔しました」

投げ捨てる様に言って道明寺の部屋のドアをバンと閉め大股で歩き出す。

ドン!

後ろでドアに何かが投げつけられる音が聞こえた。

知るもんか。

あいつから会いたいって言ってきても会わないんだから。

「どうかなされました?」

不安そうな表情で使用人に見送られて不機嫌のまま道明寺の屋敷を後にした。

続きはDOUBT!! 2

新しいお話です。

珍しくどうなるの?的感じにお話が始まりました。

不機嫌な道明寺そのわけは?

解明まではもうちょっとお時間を~

このお話、花男ファイナル前夜祭の特別番組であったF4とのやりとりにつなげたいと思って書き始めたのですが

セリフが漠然としか覚えてないんですよね。

最後に歌を道明寺が歌った記憶だけはしっかりのこっていますが、記憶があやふやで(^_^;)

つくしの司法試験合格を祝って乾杯して、「滋となんかあったの?」という話の流れがあった記憶が・・・

詳しい情報をお持ちのかたはご連絡をお待ちしております。

拍手コメント返礼

yumiko

感性と言われるとドキドキ。

楽しいお話がお届けできるよう感性を研ぎ澄ませないと♪

b-moka

そうですSPで放送されたものです。

セリフなかなかですよね。

私も何となくしか覚えてなくって(^_^;)

ありがとうございます。

hiro様

ご連絡ありがとうございます。

いい人なんてほめられると照れます。

私としては珍しい切り口で書き始めました。

たまにはこんな始まりもあったほうが新鮮味があるかと・・・。

まあ最後はどっちにしてもハッピーなんですけどね。

しな様

本当のドラマの続きのようなんて御ほめいただくとうれしくなっちゃいます。

ありがとうございます。

西田さん好きなんですか?

今日も張り切って日記UPしてみました。

どうでしょう?