ブレークタイムの始まりは?(つくし編)

一話完結と思いきや、ふにゃろば様からのコメがありました。

うんうんこれも面白いと合作完成しましたのでお届け♪

この物語に登場する人物はあとタマさんなんですが・・・

どなたかタマさんバージョンの合作に名乗りを上げてくれるかたいないかな・・・

ふにゃろば様いつもありがとうございます。

『ジェラシー ~』のネックレスの行方も気になるんだけど・・・(;^ω^)

 *

「わりっ、牧野」

「道明寺、どうしたの?」

私を見つけての第一声。

謝る道明寺はレア中のレア。

素直にその謝罪を信じるほど付き合いは浅くない私たち。

「ここんとこ、忙しくてさ。

 明日から三日くらい帰りが遅くなっちまう」

「そっかぁ…。お仕事なら、仕方ないね」

この会話の成り立ちはありふれたものだけど・・・

仕事だから我慢しろ!!

いつもの道明寺的な態度が見れないのはどうしてなのか・・・

いつものごとく私の都合も聞かずに呼びだして仕事だと告げることに気が引けた?

違和感を感じながらじっと見つめる私から道明寺が目をそらした。

なんとなく・・・

落ち着かないようにも見えるんだけど・・・

気のせい?

「ま、その代わりっつったら何だけどよ。

 お前へのプレゼント、置いとくから。

 俺の留守中に取りに来いよ」

会えないのに私を家に呼びつけるんだ?

これは・・・

遅くなっても帰ってくるから待ってろってことなのかな?

素直に俺の帰りを待ってろって言えばいいと思う。

少しの時間でも一緒に共有できるのは素直にうれしいって思うよ。

プレゼントなんていらないんだから。

って・・・

どんなプレゼントするつもり?

「え~、豪華な贅沢品とかじゃないよね?」

もらったら盗まれた時のことを考えて眠れないようなやつ?

「心配ねぇよ。ほんのチマッとしたもんだから♪」

あんたのチマッは千万ッじゃないの?

価値観の差は今でも数万年光年は離れてるもの。

「じゃぁな絶対3日間俺んちに通えよ」

ルンとした足取りで道明寺はそう残して帰っていった。

行くって言ってないから!!!

そう言いながらも道明寺は感覚はもう私が行くものだッて決めつけてるはず。

行かなきゃ・・・たぶん・・・

後の不機嫌さがもろに私にののしかかる。

身体が持たないかも・・・

ガクッと肩を落としながらも当日を迎えた。

第一日目。

自力で開けるには重そうな扉の前でつくため息。

『俺の留守の間は取りに来い』って…。

ま~た、ドレスとかじゃないだろね。

『チマッとしたもん』とか言ってたけど、

アイツと私じゃ考え方が違いすぎるからなぁ…」

私の想像力では道明寺に追いつけないのはいつものとこ。

この方程式を昨日からなんど反復したろう。

鵜飼の鵜の働きより働いた気がする。

考えては吐きだして、吐き出してはまた考える。

ドレスとか宝石とか見つけても鵜みたいに好物の魚だと飲みこめるはずもない。

消化不良ぎみ。

「いらっしゃいませ、牧野様。   坊ちゃまから伺っております。

こちらへどうぞ」

にっこりと出迎えてくれたのは顔なじみのメイドさん

道明寺邸の使用人は道明寺の機嫌がよくなるということでいつでもどこでも私のことは大歓迎で出迎えてくれる。

そして・・・

そのあと絶対道明寺の部屋には近づかない体制をとる。

これが意外と恥ずかしい。

まぁ・・・

お前が恥ずかしくならねぇようにしてやってんだよ。

そんな言葉を平気で言う道明寺が一番恥ずかしんだけどね。

「置いてある物は、 何でも召し上がってくださいませ」

召し上がってってことは・・・食べ物?

まぁ・・・食べ物なら

食べなきゃもったいないかぁ・・・

「あ、ありがとうございます」

「では、牧野様。ごゆっくり」

通された部屋はいつもの道明寺の部屋。

大きなダイニングテーブルの位置も把握している。

正直ドレスや宝石類じゃなくてホッとしてる。

さて、どんな料理かな?

「あ、どうも。フゥ~、お腹空いちゃったな」

山の幸海の幸の料理。

洋食、和食何でも来いの食い気満載で目をやった先でみつけたのは・・・

皿の上にのっかる白い三角を包む海苔。

道明寺も私のことわかってきた?

私に合わせた軽い軽食。

「 うわぁ、美味しそう♥ いっただぁきまぁす」

おにぎりを素手でつかんでパクリ。

この気軽さは使うナイフとフォークの順番を考えるようなマナーを覚えて食べなきゃならない料理にはない幸福感を私にもたらす。

う~ん、モグモグ…。美味しぃ~っ。

ただの塩むすびがこんなに美味しいなんて。

この絶妙の塩加減は、きっとタマさんのお手製だね。

海苔も最高っ! 

やっぱりおにぎりって日本食の芸術品だよね。

塩むすびもいいけど、中の具によって色んなバリエーションを楽しめちゃうし。

単品でも 美味しいけど、どんなおかずにも合うし。

 

手についたご飯粒をとりながら空腹が落ち着いたところでお握りの隣にある物に気が付いた。

あれ、リゾット?

こんなのもあったんだ。

気がつかなかったなぁ。

リゾットもいいけど、お腹がペコペコの時はやっぱり 手づかみで食べられるおにぎりがいいよね♡

このお握りは道明寺の案じゃなく絶対タマさんだよね。

そう思いながら塩気の残る指をもう一度舐めた。

一応泊まった私のもとに道明寺が来た形跡はないまま朝を迎えた。

そして、二日目。

今日は何だろ? 昨日ほどお腹は空いてないし。

今日なら、リゾットもいいかなぁ

大学が終わってやってきた道明寺邸。

昨日と同じく通された部屋は道明寺の部屋。

ダイニングテーブルの上に今日はおにぎりはなし・・・

おにぎりの具はたまには豪華に鮭とかいいななんて思っていた私。

……、何コレ? 

舌切りスズメ?

おにぎりのかわりにのっかっていたのは大と小の2つの箱。

あれって確か、小さい方に宝物が入ってたよね。

アイツってば、そんなこと知ってたんだ。

大きい箱には道明寺が入ってるとか?

プププッ、何だかカワイイかも♡

大きい箱は開けないほうがいいかもね。

道明寺が焦って飛びだのを待つのも面白そうだしね。

そう思いながら明けた小さい箱

うわぁ~可愛いッ

ふわつふわなクマのぬいぐるみにストラップ。

抱きしめるには気持ちよさそう。

「うわぁ~可愛い。クマさんのストラップだ。

胸のリボンが光ってて、綺麗な石だな💛 今日は一緒に寝ようね」

大きな箱に入ってる道明寺に呟く。

いない・・・

なんの反応も見せない大きな箱を我慢できずに覗き込む。

代わりに入っていたのはバカ高そうな高級品。

慌ててバタンと占めた。

小さい箱選んで正解だわ。

その日の夜もベッドは私一人で占領。

道明寺の帰ってきた様子は感じなかった。

ということは・・・

明日は会える?

そして、最終日。

「道明寺、三日って言ってたから、明日は早いのかな? 」

3日もプレゼント渡すためだけに私を呼びだしたのは道明寺らしくない。

「おや、つくし。いらっしゃい」

コツコツと杖の音を響かせてタマ先輩が私を出迎えてくれるのは珍しい。

最近めったに隠居部屋から出てこないんだから。

「タマさんっ、お邪魔してます。

 あ、一昨日のおにぎり、美味しかったです」

「そうかい。喜んでくれて良かったよ」

「道明寺、様子はどうですか?」

「ん? 何のことだい」

「『仕事で帰宅が遅くなる』って言われて。

アイツ、無理してません?」

私をこの屋敷に呼びだしておいて顔を見せない道明寺を不満に思いながらも、それほど忙しいのかもと私は本気で心配してる。

道明寺の仕事が大変なのはそばに見ていてわかっている。

眉を吊り上げた不機嫌そうに考え込んでる道明寺の頭の中は世界情勢が飛び交ってるんだも。

「それはアンタが自分で確かめることだね。

 ま、坊ちゃんの一番の特効薬はアンタなんだから。

アンタにしかできない方法で癒してやんな。

たまにはいつもと違う方法で、色っぽくね♡」

コツンと響く杖の音が床から直に私の心臓につながってるみたいに跳ね上がった。

「タ、タマさんっ! それってどういう」

色っぽくって・・・

私にできないことタマ先輩一番知ってるでしょう!

「おや。ヤダね、この子はカマトトぶって。

判ってるだろうに、年寄りにそこまで

 言わせる気かい?」

したからぬっと首を伸ばすタマ先輩の眼がぁぁぁぁ。

ニンマリ。

「っっっ!!!  ///」

思わず赤面の私の前からフォーッフォッフォッと笑いながらタマ先輩は去っていく。

茹蛸状態になりながら道明寺の部屋の扉を開けた。

扉が私の杖状態で身体を支えながら頼りなくあるく私。

なんだかはすごくつかれた気がする。

「もぉ~っ、タマさんったら…。

ん…、何コレ? コ、コレッてっ!!

タマさん、何を置いてんのよぉっ! 」

一気に寄れかけてたからだがピンと背が伸びた。

それはまるで熱をおびて一気に跳ねがった打たれた鉄。

この下着の意味は?

どちらかを着て道明寺に見せるってことだよね?

下着姿で出迎えるの・・・

まさかねぇ・・・

そこまでは・・・

ここは脱がしてもらうとこまで迫る?

「 ………。フゥ~ッ。でも…、道明寺だって疲れてるんだろうし。

少しは優しくしてあげても いいかな。ン~、やっぱりこっちかな」

たまには変わり映えしないいつもの下着よりレースのいろっぽそうなやつ。

少しは私でもいろっぽく見えるかな

疲れた道明寺をその気にさせられる?

いや・・・

いつも・・・

すぐに私を押し倒してくるほどあいつは元気なんだけど・・・

大丈夫か?

「牧野ッ!」

どこから飛び出さしてきたのか道明寺が突然現れた。

扉も開いてないってことは・・・

部屋の中にいた?

「えっ・・・道明寺ッ・・・いつからいた?」

「三日前から」

「三日って・・・」

「3日間俺んちに来て俺がお前の前に顔を見せねぇわけねだろう。

どうすればお前が喜ぶか情報を収集してた」

道明寺の顔が大きく見えたと思ったらあっという間に背中を壁に押し込まれてしまってる。

「仕事で帰れなくなったというのは嘘?」

「嘘・・・

ずっとお前を見てた」

握った両手の手首を広げて壁に張り付かせられてるから身動き一つできない。

どうもがいても逃げきれそうもない。

いろっぽく迫ろうって思っていた気持ちは完全に抜け落ちてる。

「迫ってくれるんだよな?」

だからもうその気持ちは・・・

消えたんだから!

「それは・・・タマ先輩が・・・

仕事で疲れてるだろうから道明寺を私しかできない方法で癒せっていうから・・・

そうしたら下着が置いてあるし・・・」

言い訳じみた声が力なく唇を動かす。

こうなった道明寺の腕から逃れるすべはないのはわかってる。

「お預けくってるのは俺じゃなかったろ?」

道明寺の主導権を握ったような態度は鼻につく。

強気で睨んだ私を見下ろす道明寺の瞳が嬉しそうに微笑んだ。

「それで、私を喜ばせる情報は集まったの?」

「ああ、俺だろ?」

会えると思って会えずにいた時間。

会えなくて寂しかったんだから・・・

とは教えてやらない。

身体を包みこんでくる道明寺の甘い熱に抗うなんてできそうもない。

「バカ・・・っ」

少しは道明寺もドキッとしてよ。

首筋に腕を絡めてチュッと肌を吸い上げてみた。