Requiemに花束を 2(100万回のキス番外編)

『100万回のキスをしよう』のオリキャラ松岡公平を主人公にした短編第2弾です。

*

「ただいま」

玄関で声をかけても全くの反応なし。

いつもならうるさいくらいの5つ違いの妹の声がまとわりつく。

開きかけたドアの隙間から「キャキャッ」と聞こえるにぎやかな声。

居るじゃないか。

「お兄ちゃん甘いもの結構好きだよ」

「生クリームたっぷりのショートケーキとかね」

「うわー、合わない」

「今度ケーキーバイキングとか誘ってみようかな」

生クリームをペロッと味見してつくしがつぶやいた。

「3人で行こうよ」

「いいわねぇ」

勝手に俺抜きで約束が出来上がってる。

「なんでつくしが来てんの?」

「「アッ、お帰り」」二人で気の合った挨拶を交わして笑い合っている。

「クリームついてんぞ」

つくしのほっぺに乗っかってたクリームを指ですくって食べた。

「ありがと」

「好きなんだ」

「えっ?」

「生クリーム」

あっ・・・生クリームね・・・。

こいつの口から好きなんて出てくると思わず全身が身構えてしまってる。

「レポート忘れてたでしょう。わざわざ届けてやったんだから」

で・・・なんで妹のハルと台所で生クリーム頬にくっ付けているのか、その流れがわかんねぇよ。

気がきく妹でしょうみたいな視線をハルに送られて苦笑するしかない俺。

俺が連れてきた女の子の中じゃ一番気が合うとハルもおふくろも牧野がお気に入りだ。

「牧野とはなんでもない」

と言ってもおふくろとハルは「ふ~ん」と言って視線を交わしてニンマリとなる。

「え----ッ!つくし、公平って名前で呼び合ってるのに何にもないの」

「ねぇっ!」

これは数週間前のおふくろとの会話。

信じられないって、普通何もない方が安心する男女交際じゃねえのか。

「お兄ちゃん、ハルがしっかり応援してやるから頑張るのよ」

そう言ってハルから肩をたたかれた。

「だから違うって」

「お兄ちゃんの気持ちはママも私もわかってるから」

「私たちが気にいってるんだからモノにしなきゃっ、つくしちゃんもお兄ちゃんのこと嫌いな感じしないしね」

それからつくしのこと「お姉ちゃん」と呼んでるハル。

そこまで強引になれねぇよ。

彼氏がいるの知ってるのだから。

俺の気持ちに気がついてないのはきっとつくしだけだ。

始末が悪い鈍さに振り回されているよなハルとおふくろ。

俺もか・・・。

「ケーキもうすぐできるから」

仲よく二人で生クリームを生地に塗って仕上げにかかってる。

「腹壊さないだろうな」

「「失礼だね」」

ハルと完全に同調しているつくし。

「もう~ハルちゃんかわいい」

「弟よりハルちゃんみたいな妹がほしかった」

「私もお兄ちゃんよりおねえちゃんが欲しかったの」

その反応が墓穴掘ってるんだけど・・・

気がついてないのはつくしだけだよな。

「お兄ちゃんと結婚すれば問題解決だよ」

「エーッ!ヤダー!無理~!」

拒否しながら頬染めるつくし。

これでまたハルが勘違いするぞ。

「お兄ちゃん良かったね、見込みある」

クスッと笑顔でハルが耳打ち。

やっぱり勘違いされたじゃねーか。

「お前、もう俺んち来るな」

言えれば苦労しねっ。

ソフィ様の公平ママ、妹目線のエピソードというリクエストをいただいて第2段をUpしてみました。

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今までコメントいただいた公平を演じてほしいイメージの俳優さんです。

私的には、まだイメージは固まってないのですがみなさんの中のイメージはどうでしょう?

つくしの大学の仲間を嵐のイメージで固めるのも面白そうと思うのは私だけ?