秘書西田の坊ちゃん観察日記 11(ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 番外編)
このお話は『ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 』の終了に続くお話な・の・か・な?
ということではじまり、はいじまり♪
*ジョン氏の見送りを代表に告げた数十分後「無事お見送りしましたと」にこやかな表情での報告を受ける。
「お疲れさまでした」
いたわりの念を宿して頭を下げた。
いやこれはこれから責められるであろう坊ちゃんの代わりにいたわりも含まれる。
席を立って代表の部屋に続くドアを開ける。
「どうぞ」
開いたドアの先に見えたのは不服そうな不満を身体全体で表現してる坊ちゃん。
ディスクの上の物が床に転がってないだけ救いはありますよつくし様。
無事何事もなく帰ってこられました。
告げるほどの必要性はありませんよね。
「よろしくお願がいします」
頭を下げてドアをパタンと閉めた。
しばらくドアの側でたたずむ。
盗み聞きなど滅相もない。
ただたんに状況を把握するための行動。
「無事に見送りました」
「口説かれなかったろうな?」
最初から一番気になるところを突かれる。
もう少し相手の様子を見ながらの駆け引きができないものか。
つくし様相手ではご無理か。
「ったく」
「西田にいいように扱われるぞ俺たち」
雰囲気が緩やかに落ち着きに変わる。
いいように扱ってるつもりはありませんが・・・
いつも司様のこと、道明寺財閥の未来を考えているだけです。
そっとドアの前を離れて自分の仕事に戻った。
ディスクの上に手帳を開く。
○月×日
ジョン氏見送りの件絵御報告後不機嫌度45分の持続。
物の破損なく耐えられる。
つくし様と再開後5分で代表の機嫌 ↑
付け足して記載
手帳の数ページ前と見比べる。
○月△日
つくし様のバイトの件発覚。
数日間つくし様を疑る行動犬のごとき臭覚。
不機嫌は徐々にヒートアップ中。
本日のバイトの件の発覚まで持続。
つくし様と再開後30分にて代表の機嫌 ↑
つくし様による回復力、効き目の効果は日々UPしている代表の感情コントロール。
そのまま側にいていただけたら絶大な影響力と楓様には報告しておこう。
何と安上がりな・・・投資はタダだ。
・・・・・・数時間後
「西田さん、聞いてください!道明寺のやつバイトが終わるまでは家に帰さないって言うんですよ」
どうかしてくださいみたいな目で訴えるつくし様。
ふと視線を坊ちゃんに移す。
いつのまにそんなことに?
視線で質問を投げる。
「牧野が帰って来る前にこいつの親には了承をもらった」
自慢げな代表の笑顔。
子供みたいに感情を出して喜んでいる。
代表が許可を得る前にしっかりとその手は打っておきましたが・・・。
それは知らせずに「さすがですね」と返事する。
たまには花を持たせることも肝心。
楽しくお付き合いくださいますように。
そんな気持ちでお二人を眺める。
「このまま一緒に暮さないか?」
「はぁ?」
呆れた様な視線をつくし様が司様に向けられる。
「問題ねぇだろう。俺たち結婚するんだし」
「問題あるッーの」
今にもくっくきそうな顔の距離。
周りにはうら若い秘書も数人いるのですが・・・
見ないように視線をそらすもの。
遠慮して席を立つもの。
このままでは仕事になりません。
知らせる様に「コホン」と一つ咳ばらいをした。
まだまだお二人には私が必要なようだ。