Requiemに花束を 3(100万回のキス番外編)
『100万回のキスをしよう』のオリキャラ松岡公平を主人公にした短編第3弾です。
*「お兄ちゃんこれどう言うこと!?」
朝ご飯のテーブル。
家族でテレビの画面にくぎ付け。
箸の先からウインナーをポロっと落としてハルが興奮。
道明寺ホールディング代表の道明寺司氏正式に来春の結婚を発表。
ここまではおふくろもハルもいつものワイドショーを見る感覚と大差なかった。
ギクリとしていたのは俺1人。
いまだに「つくしちゃんモノにした?」なんて聞かれてる状況。
お相手は大学の後輩で高校時代からのお付き合い。
「それじゃ英徳大学の学生?お兄ちゃん知ってるかもね」
なんて暢気に箸を動かしていたのは数十秒前。
そして・・・
ハルとお袋が口を開いたまま固まった。
「だから言ってたろう。俺とつくしは関係ないって」
口にご飯をかき込んで冷静さを装う。
本心はズキンと痛む心。
諦める時が来たかと落ち込む心。
しょうがないと自分に言い聞かせる。
「あ~だったらサインもらっとくんだった」
「つくしのサインか?」
そんなもんどうすんだ?
馬鹿言わないでって顔をハルに向けられる。
「道明寺様のサインよ」
道明寺様?
様付けって・・・
夢見心地の表情で潤んだ瞳。
両手を組んで天井を眺めるハル。
「F4って今でも絶大な人気なんだから」
「盗み撮りの写真なんて結構値が張るのよ」
ハルも英徳高校に通う3年生。
大学にわざわざ見に行く子もいるのだからと興奮気味にまくしたてられた。
「高校時代に赤札貼られて抵抗した伝説の女子生徒ってつくしちゃんだったのね」
「もう!お兄ちゃん!気が利かないんだからッ。
知り合いってみんなに自慢で来たのにッ」
俺とつくしがつきあうの応援していた妹はどこ行った?
本気で悔しがってるハル。
ハルには俺の恋愛よりF4の存在のほうが大事らしい。
おふくろも相手が大物すぎるわねぇ・・・とため息。
変わり身・・・
早くないか?
「友達になれただけでも良しとするか」
ハルとお袋は二人で見合ってガッツポーズ。
立ち直りも早いものだ。
テレビ画面に流れでる牧野つくしの生い立ちと写真。
今一番有名になってんぞ。
皇室扱い並みじゃねぇ?
牧野の幼馴染が小さい頃の思い出を喜々としゃべる。
「小さいころから男らしい女の子で・・・」
「本当は道明寺さんの友達の花沢(ピー)のことが好きだったんです」
名前を誤魔化すように入るピーの雑音。
初恋の相手の話まで暴露されてるぞ。
「これって花沢類様だ」ハルがつぶやく。
隠しても意味ないみたいだ。
今の俺なら花沢物産の御曹司だとすぐにわかる。
大学院に席をおく御曹司がつくしと会ってるのは何度も目撃していた。
「友達だよ」ってにっこり無防備な笑顔向けていたっけ。
花沢類って、俺とおんなじ匂いがするんだけど・・・
つくしは気がついてねぇよな。
「ねぇ?つくしちゃんのご学友でお兄ちゃんもテレビに出れるかも?」
「そんなの興味ねぇよ」
残念って顔を妹にしかめらる兄の存在・・・。
否定されてないか?
これでも俺・・・傷ついてんだぞ!
ほんの数日前に「卒業したら結婚するのか」と聞いた俺。
「まだ何にも決まってないから」って言っていたぞ・・・確か。
あいつはウソなんてつけるやつじゃないからあの時点では何も聞かされてなかったはずだ。
今頃驚いているだろうな。
泡食ってんじゃないだろうか?
いまさら俺が心配してもどうしようもないけど・・・。
騒がれることに慣れてないつくしは平常心でいられるのだろうか?
その辺のフォローはあるよな、きっと。
思い直しながらもやっぱりあいつの立場を想いやる俺。
「バカみてぇ」
小さくぽつりと声が漏れた。
今までコメントいただいた公平を演じてほしいイメージの俳優さんです。
私的には、まだイメージは固まってないのですがみなさんの中のイメージはどうでしょう?
つくしの大学の仲間を嵐のイメージで固めるのも面白そうと思うのは私だけ?