Requiemに花束を 4 (100万回のキス番外編)

『100万回のキスをしよう』のオリキャラ松岡公平を主人公にした短編第4弾です。

*

「おにーーーーーちゃん!!!!!!!」

2階から階段を駆け下り巨大化して走りよる妹。

玄関の靴を脱ぐ体制のまま固まった。

俺・・・ハルに睨まれる覚えねぇんだけど。

その上ハルの後ろには腕組みしたまんまのお袋が魔神化してる。

「なっなに?何があった?」

「何があったじゃないわよ!」

「これっ!」

見開きの週刊誌。

タキシード姿の男性と白いウエディングの女性。

優しく見つめ合う極上の表情で笑いあっている。

ベストショット!最高の写真。

結婚式?

もしかしてこの女性・・・つくし?

さすがにきれいだな・・・

「何見惚れてるのよ!」

「馬子にも衣装だと思ってな」

マジで見惚れてた。

道明寺ホールディングス代表の極秘結婚式と踊る文字。

つくしが卒業したら結婚式挙げるって大々的に発表していたから極秘じゃない様な気もするが・・・

年が明けてからあいつは大学にもメッタに来てなかった。

婚約発表の後は騒がれて外出もままならないと大学でもサングラスって・・・

必要ねぇと思った。

英徳はさすがに金持ちの子息、令嬢が多く通うだけあって幼稚舎から大学までセキュリティーは万全だ。

アリの入り込む隙間もないはず。

大学内がつくしにとっては一番静かに過ごせる場所だったかもしれない。

「あいつは何にもわかってやいないんだから」って散々婚約者の悪口を聞かされた俺。

「でも、好きなんだろう」

言葉が止まって頬を染めるつくし。

結局はあてられてるだけだった。

「正式に婚約するんだ」

ボーッと空の雲を見つめてつぶやいてたつくし

「やっぱり重圧感じちゃう」

ぽつりと言ってうつむいて心の中を隠すように必死で笑顔を作っていた。

あれから会ってないんだよな俺たち。

「結婚したんだ」

「お兄ちゃん!結婚したんだってのんきに感心してる場合じゃないでしょう!」

「どうしてお兄ちゃんがつくしちゃんの結婚式に招待されてないのよ!」

お前とお袋の不機嫌の原因ってそこ?

俺が知るわけねえだろう。

もともと招待受けるつもりもねぇよ。

好きでそのうえ告白もできない状態でどこまで心からおめでとうなんて言えるんだ?

「もう!写真いっぱい撮ってきてもらうつもりだったのにッ」

「写真?」

「当たり前じゃん、道明寺様の結婚式ともなればF4全員勢揃いのはずでしょう」

「4人並んだ写真なんてもう世界遺産なみよ」

写真だけでよくそこまで興奮できるもんだと呆れるのを通り越して関してしまう。

俺が結婚式に呼ばれなかったから機嫌を損ねてるわけじゃなくて写真がほしいだけか?

すっかり家族にもつくしにも俺の存在を忘れられてる気分。

立ち直れねぇよ。

「つくしちゃんがお姉ちゃんになることを泣く泣く諦めたのに・・・」

って・・・

お前泣いてる感じ全くなかったじゃねえか。

そのあとも時々やってきてたつくしに根掘り葉掘り聞いてたよなF4の話とか二人の馴れ初めとか・・・

落胆してるようすは微塵も感じなかったぞ。

年が明けてつくしが俺のうちに来なくなった原因は多少はハルにもあると俺は思っている。

「ねぇ・・・お兄ちゃん?」

突然甘えるような声にハルの音域が変わる。

何かねだられる時の体勢。

「なんだ?」

一歩引いて身構えた。

「司法試験・・・つくしちゃんも受かったんだよね?」

「ああ」

「今度お兄ちゃんがいく司法修習所、つくしちゃんも来る?」

「普通はな、でもあいつの場合はとんでもない奴と結婚したからな、修習受けられるかどうかわかん・・・」

・・・・・・

「わ~ッ接点切れてないじゃん」

飛び上がって喜ぶハル。

俺の話半分しか聞いてねぇ。

「おにいちゃん、つくしちゃんに会ったらハルが会いたがってたって伝えてね」

だから司法修習一緒に受けられるかどうかわかんないって・・・

ガクッと肩を落として溜息をついていた。

修習所でつくしと再会するまでの公平と家族とのやりとり。

この短編を読んで本編を読み返してニンマリしてしまいました。

自分で書きあげたはずの作品なのに新鮮に感じてしまうって・・・

内容すっかり頭の底に沈んでしまっているようです。

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今までコメントいただいた公平を演じてほしいイメージの俳優さんです。

私的には、まだイメージは固まってないのですがみなさんの中のイメージはどうでしょう?

つくしの大学の仲間を嵐のイメージで固めるのも面白そうと思うのは私だけ?